「ネットエイジ」は次世代グローバル企業へ--西川、小池両代表が語る世界戦略構想

別井貴志(編集部)、島田昇(編集部)、撮影:赤司聡2007年06月07日 19時12分

 5月10日。ネット業界に衝撃が走った。老舗ネット関連企業ネットエイジグループが、大幅な組織改正と人事を実施すると発表したためだ。

 企業統治のさらなる徹底を目指して委員会設置会社に移行するとともに、機動性重視の戦略を実現するための組織改正および社名変更を行うというのがその骨子

 しかし、業界関係者の耳目を集めたのは、創業者である西川潔氏が代表権のない会長に就くという内容の人事だった。

 ネット革命の夜明け以前から、ネット事業を志す者たちの「梁山泊」的な存在だった同社。「ngi group」として生まれ変わらなければならなくなった経緯、新たに示した方向性を導き出した真意は何なのか──。

 6月22日に行われる株主総会の承認を経てそれぞれ新たに取締役会長と取締役代表執行役社長CEOに就任する見通しとなった、同社代表取締役社長CEOの西川氏、代表取締役CEOの小池聡氏に聞いた。

投資事業依存から脱却する

--なぜこの時期に委員会設置会社へ移行するのですか。

小池:ネットエイジはもともと、社外取締役が多く、欧米並みに企業統治をきかせた透明性の高い経営を目指してきた会社です。これを徹底させるため、上場前から委員会設置会社への移行を検討してきました。

西川:実務面の決定事項が多くなる一方で、月1回の取締役会を待たなければならないのでは、機動性に欠けてしまうという問題があります。そのためには、執行役へ大幅に権限を移譲させる必要性があったのです。

小池:つまり、企業統治と機動性の問題を解決するため、経営と業務執行を完全に切り離したわけです。この時期だったのは、単に株主総会に間に合わせるためで、恣意的な意図は全くありません。

--西川氏が代表権のない取締役会長に就任した理由は。

画像の説明 研究開発分野に特化した仕事に専念すると語る西川潔氏

西川:4年間、共同代表制で取り組んできました。これは良い面もありますが、1人でできることも2人でやるという、無駄な時間が多い側面もありました。

 わたし自身の資質としては、どちらかというと実務より発想力を生かす仕事に向いているので、ラボ(研究所)的な活動をした方が、この会社の企業価値が高められると思い到りました。また、単純に最終意思決定者は1人であるべきだとも思いました。

小池:今回の経営陣刷新は、グループ全体の事業の位置付けを見直し、主力のインターネット事業とファイナンス・インキュベーション事業の相乗効果をさらに高めたいという狙いが大きいのです。

 最終意思決定者はどちらがやっても良いとは思うのですが、西川は創業時からアイデアと技術で新しいサービスを創るというところに軸足を置いているので、であればそちらに専念してもらった方がいいだろうと。

 そのため、ネットエイジは世界の英知を集結したラボとなるため、相当すごいことを考えています。

--御社は「ネット事業が主でファイナンス事業にも注力している」というイメージがあるのですが、それが「ファイナンス事業が主でラボもある」という企業に変わると見ている人もいるようですが。

小池:そこは誤解の多いところですが、全く逆です。業績的にはミクシィの上場による売却益が寄与し、ファイナンス事業の収益が大きかったのは確かです。

 しかし、今期(2008年3月期)はミクシィの大きな含み益があるにもかかわらず、前期と比べ増収減益の業績予想を発表しました。これは、前期はミクシィ上場の影響で予想以上に利益が出てしまったため、今期は正常な利益水準に戻ったという意味とともに「投資事業依存から脱却する」というメッセージが込められています。

 そのためにまずは、地に足のついた数多くの事業をこれからもっと伸ばしていきます。また、我々は投資先に海外を意識した経営を行うよう助言しているのですが、当の我々が海外に出て行かないのでは「言っていることとやっていることが違う」ということになる。海外、特に成長著しい中国を中心としたアジアを視野に入れた事業展開を積極的に実践していくための組織改変でもあるのです。

西川:当社は純粋持ち株会社の下に投資事業も含めた革新的な事業を多数保有しており、これをさらに強化していくということなので、投資事業だけに軸足を置くということでは全くありません。

画像の説明 機動性重視の戦略を実現するために中間2社を省いた組織体系に改めた

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