デザインから見るデジタルプロダクツ--第7回:NTTドコモ「P703iμ」(パナソニック) - (page 3)

インタビュー・文:木村早苗2007年05月17日 12時44分

エッジを効かせたデザインの秘密はダイヤカットとスクエアモチーフ


--11.4mmという薄さは美しい分、デザインをまとめ上げていくのが難しそうですね。

リー 携帯電話という複雑な機構・構造を持つ製品に相応しい形をいかに表現できるかに尽きますね。今回はスクエアな表現にこだわったので、余計なアールや曲線がつけられず、処理が難しかったです。

 トータルイメージとしては、ジュエリーのダイヤカット技術(ダイヤを原石から削る時に使うジュエリー用の工法)を使って、削って必要な部分だけを残すようにしました。形自体はシンプルですが、角部やライン部にはC面(面と面が直角にぶつかっている稜線を45度でカットする面取り)を取ったりして、光が当たった時のハイライトと影の調整をしてあります。

 またヒンジも四角ヒンジを採用しています。通常のヒンジは丸形のものがほとんどだと思いますが、閉じても開けても90度に立てても、どんな状態でもスクエア面が出るようこだわりました。もちろん、機構とも調整しつつ最適な角度や斜面を計算しています。余計な曲線のない真のシンプルさ、それが重要でしたから。

ヒンジ部 細部に至るまでスクエアなモチーフを徹底させるため、スクエア型のヒンジ部を採用。閉じても開いてもスクエア面が出るにこだわってデザインされた

--携帯電話はの小さな面積中にあらゆるパーツが内蔵されていますが、それらが統一性を持ってデザインされているのは、その辺りがポイントなんですね。

リー ええ。カメラ、LED、ボタンといったパーツは全部スクエアモチーフです。エッジの効いたデザインに仕上げるためには、細かなパーツでもラウンドにしてしまうと、商品としての魅力が落ちるなと思い、そこは死守しました。

 このスクエアというモチーフは「シンプルとは何か?」と考え時に出てきた形なんです。そこに素材を最も美しくスリムに見せる、ハイライトと影の効果を合わせることで、シンプルかつ繊細なこのデザインが生まれたと言えます。

--傾けた時に各面に映り込む感じがジュエリー的ですよね。

リー その通りです。今回の表面処理はその辺の上質感や素材感をいかに出すかを第一に考えたので。

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