デザインから見るデジタルプロダクツ--第6回:パイオニア「music tap」 - (page 3)

インタビュー・文:山口優2007年04月03日 15時40分

「不要の機能をそぎ落とすこと」を徹底させたシンプル設計


--PLCという技術はどのようにデザインに落とし込んでいったのでしょうか?

高橋 コンセントに挿すだけで音が出るという、PLCならではの簡単で分かりやすい使い勝手を表現するため、ハイテク機器じゃないたたずまいにすることを第一に考えています。ですから、PLCじゃなかったら、このフォルムは生まれなかったでしょうね。

一樂 ふつうは、スペック競争を意識してどんどん機能を付け足していくところなのですが、この製品は出発点が「不要な機能をそぎ落とす」というところにあったんですよ。それで、雰囲気的にもこれまでとは違うユニークな製品に仕上がったのではないかと思います。

高橋 あと、通常の製品だとジャック類などを搭載する必要があったりますが、PLCの場合はACコードさえあればいいというのも大きかったですね。そのため、いかに何もないのを美しく見せるか、という点も考えました。たとえば、ACコードは、花器の水穴をモチーフにした底面の穴から通すようにしています。そのため、背面から見てもすっきりしていてきれいなんですよ。

背面 水穴をモチーフにデザインされたACコード。各種端子類をサウンドステーション側に持たせることによって、シンプルな配線デザインが実現した

一樂 リモコン受光部も、サウンドステーション側ではなく、スピーカー本体についているんです。だから、サウンドステーションに接続したUSBメモリ内の音楽ファイルも、スピーカーのある部屋でリモコンを使って頭出ししたりすることができるんですよ。それも、PLCならではの特長であるといえます。

--music tapの今後の展開について教えてください。

一樂 今回の製品は、基本セットにサウンドステーションとスピーカーのSとLが1台ずつ付属していますが、それ以外に4台のスピーカーを増設することが可能です。そのため、オプションでスピーカー単体製品も用意しています。現在は、基本セットに含まれるものと同じデザインのものですが、将来的には違うデザインのものも考えていきたいですね。その意味でも、この製品が実際に世に出てどういったふうに受け入れられるかに注視していきたいと思います。

高橋 いろいろとイメージのふくらむ製品なので、デザイン的にもおもしろい展開が考えられると思います。スピーカーのバリエーションを増やしたり、テイストの違うものをつくったりしてみたいですね。

インターフェイス 機能名称に小文字を用いたインターフェース。大文字だけのものよりも柔らかい印象になる

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