デザインから見るデジタルプロダクツ--第4回:NEC「LaVie GタイプJ」ノートPC - (page 3)

インタビュー・文:木村早苗2007年02月06日 22時31分

キズが消える!? スクラッチリペア塗装をPCに初採用

--今回は塗装に今までにない機能が採用されているとのことですが?

島貫 ええ。NEC Direct限定カラーの「アーバンブラウン」にのみですが、スクラッチリペアという塗装を施しています。これは塗装技術の1つで、PCを持ち歩く際に生じる塗装のスリキズを時間の経過と共に復元させるという機能をもっています。例えると塗料がスポンジのような性質を持ち、へこんだスポンジが元に戻るように、キズが復元されるという仕組みです。スポンジが切れる程の大きなキズだとさすがに戻りませんが……。

--それはすごいですね。思いもよらない着眼点ですが、この発想はどちらから?

島貫 知らず知らずにキズついていくPCを、さりげなく元に戻してあげたかったんですよ。ノートPCには機能、性能、付加価値と方向性はいろいろとありますが、日常のちょっとしたうれしさを感じてもらうというのも1つの方向性かなと。「キズを気にしないで使えるPCあります」って言われたら、「それ、いいなぁ」ってなるんじゃないかと。

田中 また、NECでは常に企画・開発部隊がPCにどんな付加価値をつけるかをいくつも検討しているんです。その中の1つが「傷が復元できる塗料」というアイデアでした。製品化に至るまでは、数年ほどかけて商品に盛り込めるかを検討して、徐々に具体化していきました。

スクラッチリペア塗装 キズがついてしまっても時間の経過とともにキズが修復されるスクラッチリペア塗装。真鍮製のブラシでキズを付けた天面(左)すぐにキズが消え、美しい天面に(右)。

--実際ユーザーニーズとして要望があがってきたことは?

島貫 これまでのノートPCは、汚れやキズはついて当たり前という意識だったので、「こうしてほしい」というよりは、「無理だろうけどあったらいいな」という思いの方が強かったのではないかと思います。今回はそんな潜在的なユーザーニーズに少しだけ近づけたのではないかと思っています。この技術によってニーズとシーズ(技術)がうまく結びつけられたと思います。

--スクラッチリペア塗装の技術は社内開発なのですか? 

島貫 いえ、塗料メーカーと弊社の技術者が共同で開発しました。すでに車などに採用されている塗装技術らしいのですが、PCへの適用は今回のモデルが初めてだと思います。

田中 このモデルは軽量にするため、筐体にマグネシウムを採用しているんですが、マグネシウムはただでさえ塗装が難しい素材なんです。その上にさらにスクラッチリペア塗装を施すのは、もう至難の業で……。初めは全然うまくいかなかったらしいです。それを試行錯誤しつつ、量産化までにはかなりの苦労がありました。

--スクラッチリペア塗装モデルはブラウンを採用されていますね。

田中 スクラッチリペア自体は透明の塗料なので、カラーは選ばないのですが、今回はデザイナーから、美しい曲線をいかすカラーとしていくつか候補をあげてもらいました。当初はブルーグリーンなど明るい色もあったんですが、最終的にはブラウンや黒といった落ち着いた色の方がシックな雰囲気に合うかなと。

島貫 このモデルはツヤ加工をしているので、光の角度で見え方が異なるのが特長です。パープルっぽく見えたり、ワインレッドのように見えたりします。そういう面でもブラウンベースにして良かったかなと。

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