自由、平等、平和--運営者が語るSecond Lifeの魅力 - (page 2)

インタビュー:西田隆一(編集部)
文:永井美智子(編集部)
2007年01月09日 19時00分

 ほとんどのユーザーは、膨大な時間を自分のアバターの外観や環境をパーソナライズするために費やしていますね。Second Lifeで魅力的でないアバターというのはほとんどないと思います。

 こんなメールが届いたことがあります。

 「私は過食症で、毎日ほとんど家の中で過ごしていました。ある時、Second Lifeを知って、すごいと感じた。世の中から逃げて、ここで生きようと思ったんです。自分の見た目を良くすることにたくさんの時間をかけて、楽しかったですね。いろいろな所に出かけて、自分が思う通りの自分を見せることができた。

 でもログアウトして、自分の姿を鏡で見ると、とても受け入れられない。これが自分だから。それで、外に出歩くことを始めて、ダイエットをして、100〜150ポンド(45〜68キログラム)の減量をしたんです。いまは素晴らしい生活を手に入れました。Second Lifeでも、現実でも」

 Second Lifeは人を自分の世界に閉じこめてしまうから良くない、なんて言う人もいますが、それはまったくもって正しくないですね。Second Lifeは、人が世の中でどうあるべきかを教えてくれるんです。他人がその人のことをどう見るかなんて、本当は関係ありません。それに気が付けば、外に出て、現実の世界をもっと良いものに変えていけるのです。Second Lifeを使うことでそういうことはたくさん起きます。

 私たちは、Second Lifeが人生をどうしたらもっと良くできるかを教えてくれると信じています。これは私たちのミッションといっても良いですね。

 面白いのは、Second Lifeでは見た目で人を差別できないんです。差別というのは、見た目からの想像に基づくものですよね。でもSecond Lifeでは、見た目を自由に変えられる。だから、差別しようがないんです。男性、女性、肌の色、動物――いくらでも変えられるし、それは本当のその人とは違います。

 面白いですよね、その人が望む通りの見た目なんだから、これこそ本当のその人なのに。もちろん、現実に起きている差別なんてばからしいし、差別を正当化する理由なんてありません。でも人間は差別をしてしまう。人間の歴史があるから、どうしようもない部分があります。でも、Second Lifeは差別を生み出す土壌がありません。意味がないですから。

――Linden Labではユーザーの行動履歴を記録しているのですか。

 そのようなことはまったくしていません。Second Lifeの中ではいろいろなことが起きています。私はLinden Labに1年半前に入社したんですが、その時はまだ社内の誰かがSecond Lifeで起きていることを把握していて、「中で起きていることで一番面白いものは何ですか?」というような質問にも答えられた。でも、もう無理ですね。

 世界は大きくなりすぎていて、Second Lifeのすべてを体験しようと思っても無理でしょう。すべてを見る前に現実の人生が終わってしまう(笑)。メディアの記事や、Linden Labに届いたメールなどから中で起きていることを知ることはありますが、本当に信じられないくらいさまざまなことが起きています。

 ユーザーの管理もほとんどしていません。ユーザーはやりたいことをして、作りたいものを作るべきだと思っていますから。

 ユーザーから「隣の家が近すぎて気に入らない。Linden Lab、何とかしてよ」と言われても、Linden Labが何かをすることはありません。でも、本当にそれを望む人がいるなら、それはチャンスですよね。ユーザーの誰かが広大な土地を買って、コミュニティを作って、ルールを作ればいい。「隣の人の近くに家を建ててはいけない」とか、「大きな音で楽器を演奏してはいけない」といったように。そこでコミュニティの人から住民税を取ってもいいんです。その土地にほかの人が入って来られないようにしたり、コミュニティを管理したりできるようなツールもありますから。

――しかし、何か悪いことをしようと考える人に対しては、何らかの法律のようなものが必要になるのではないでしょうか。

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