デザインから見るデジタルプロダクツ第1回:東芝「REGZA」液晶テレビ - (page 3)

インタビュー・文:木村早苗2006年10月24日 18時56分

デザインは、デザイナー、営業、企画全員のチームプレイ

--前モデルからデザインが大きく変わった部分にスタンドがありますが。

伊豆 モニター部やスピーカー部はとにかくストイックに仕上げたので、スタンドの部分で柔らかさや広がりを持たせたいと思い、このデザインを採用しました。このスタンドも最終形に至るまでに数十個のモックアップを作っています。最初はアールを少しつけただけのデザインにしていたのですが、安定感や軽快な感じを出すためには、もう少し丸みがあった方がいいなとか、長めの方が美しいなとみんなで手を加えていく中で、この形に決まったんです。

--モックアップをずいぶん作られていますね。すべて手作業ですか。

伊豆 通常は3D CADを使って作っていくのですが、先端の丸みがここまで繊細になるとコンピューター上では表現できないんですよ。ですから最終的には職人の方にお願いして削り出してもらいました。

本村 左右に開いた足の長さは、実際の形状にはあまり関係ないんですが、心理的に安定感や安心感を感じる幅や、威圧感や不安を与える幅については、綿密に調査をしています。

スタンドモックアップ スタンドのモックアップは実際の材質をそのまま使用したものから、紙でできたものまで数々のタイプのものが作成された

--REGZAのストイックなまでのシンプルデザインや細部にまだこだわり抜いた作りは、テレビの新デザインと一言では片付けられない、力強い思いを感じますが、このデザインを実現できた要因というのは。

伊豆 デザイナーだけでなく、グラフィック、技術、営業、みんなが同じ方向性でやろうと思ってくれたからできたことです。いろんな意味でチームプレイですね。東芝の総合力とでも言いましょうか(笑)。

--最後に今後のテレビで取り組んでみたいデザインはどんなものですか。

伊豆 新しいライフスタイルを提案できるような、インテリアの一部としてのテレビを追求することですね。テレビのデザインは今後、高級感を出す方向と存在感をなくしていくレスな方向の二極分化が進んでいくと思います。また一方で小さなサイズのテレビのあり方も問われるようになってくる。そうした動きを1歩でも先取りしていきたいですね。実は最近、古典に戻って日本建築の勉強をしているんです。昔の日本人のセンスは他の国に比べてすごく高かったと思うんですよ。当時から、何が美しくてどんな素材がいいのかをきちんとわかっていた。だから、そういう日本古来の良さをデザインにも感じさせられることができればいいなと思っています。

本村 今回のREGZAは使いやすいけれど、デザイン性を損なわないという部分を綿密に計算して作りました。そうしたこだわりはユーザーのみなさんの「良かった」という言葉で広がるはずだと信じています。これはREGZAの1つのブランディングです。物を作る人間としてこれほどうれしいことはないです。

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