伊豆 それはもう日々いろんな素材を探していますから(笑)。最近では、イギリス製のミネラルウォーターのボトルのデザインが美しいなぁって思いました。素材探しのときは、例えば文房具店に行って手帳カバーでちょっといいな、と思うものがありますよね。そうしたら、まず作っている会社を探して、どのくらいのコストで、どのくらいの大きさのものを提供してもらえるか調べる。その一方でテレビの工場へ出向いて実際に製品化できるかどうかを聞く。ちょっとしたきっかけとそれを製品化につなげるための足がかりを日々積み重ねることで、アイデアレベルだったものが具現化していくんです。
伊豆 デザイナーがこんなことやってるの? ってことばかりですね(笑)。やっぱりいい物を作りたいという気持ちがあるから、手間暇かけてもやってしまうんだと思います。コストの問題がなければ、手間暇の部分をショートカットできるとは思います。でも僕らインハウスのデザイナーは、制限の中でユーザーにどれだけいいものを安く提供出来るか、どれだけ使いやすくできるかが重要になる。そして実際に、現在の技術力で製品化できるものかどうか、を考えますから。
伊豆 東芝デザインセンターのスタッフでチームを作り、チーム全員でスケッチを出し合いながらデザインを進めていきます。
伊豆 いいアイデアが出るまでですね(笑)。ただ締め切りの時間は決まっていますから、その範囲内で決めてあとは全員で詰めていく感じです。多くのデザインから選ばれた数点を元に、それをまたデザインし直す。ですから、デザインは天才が一人でやるわけではなくて、チーム全員の共同作業なんです。
本村 そうしてデザイナーの方が上げてきてくれたデザインを見て、今度は私みたいな、デザイン以外の関係者、商品企画、営業、技術といったメンバーが「もうちょっとスリムな方が見栄えがいい」とか「ここの強度が心配」とか、各専門分野の意見を言い、それをまたデザインに落とし込んでいくという……。
伊豆 モニター下に設置したスピーカー部分ですね。厚さ15mmという大変スリムな新開発スピーカーを搭載しているのですが、あえてシンプルなデザインに仕上げています。大型液晶テレビに期待される高性能さと高級感、その2つを両立できたと思います。
本村 スピーカー自体は目立たないけれど、でも音はすごくいいんです。通常テレビのスピーカーは誇張することで、目で見ても良い音、というデザイン上の演出が必要なんですが、REGZAに関しては、そうした演出を排除しても十分にいい音が出せる、スピーカーの高性能さあってのシンプルデザインと言えるかもしれませんね。
伊豆 今回のREGZAはシンプルかつ緊張感のある形、シンプルだけど何か惹きつけられるようなデザインを目指しました。スピーカーを強調させるよりもデザインで緊張感を表現する方を選んだのです。この緊張感はフレームのデザインにもつながっていて、横から見ると、モニターの角度がスタンドに対して前に倒れそうなデザインになっています。この辺りも緊張感を高めたデザイン演出の1つですね。
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