マイクロソフトのCOO、新生マイクロソフトを語る - (page 3)

文:Mike Ricciuti(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年08月04日 08時00分

 われわれがCIOや意志決定者やIT専門家のためにやらなければならない最も重要なことは、彼らのビジネス価値を作り出すお手伝いをすることです。彼らは毎年、一定基準以上の予算を獲得しています。それがなくなることはありません。彼らはこの予算の活きた使い方をしなければなりません。

 しかし、ハードルは高くなっています。私は、これは進歩だと考えています。そして、ソリューションの向上に遅れることのないように、販売能力も引き続き向上させていく必要があります。Microsoftの全米規模の販売会議では、超一流の販売技法に関するセッションを設ける予定です。「超一流のセールスマンになるとはどういうことなのか」についてさまざまな点から議論します。人の話を聞く、「ありがとうございます」を言う、そういった小さなことももちろん含まれます。しかし、それはMicrosoftがソリューションを販売する企業にどのように移行していけばよいのか、ということでもあります。ソフトウェア製品のロードマップをどのようにして明確に分かりやすく伝えるのか。ビジネス価値にどのように結びつけるのか。顧客のビジネスを学び、それに対応するソリューションが見えるようになるには、どうすればよいのか。そういったことです。

--ソリューション販売企業への転換は、販売部隊に難題を突きつけることになると思いますか。つまり、ソリューションの販売は、Microsoftの営業担当者にとって、ある意味で、未知の分野なわけですよね。

 彼らはやる気まんまんですよ。なぜなら、顧客とパートナー企業がそれを求めているからです。ですから、わたしから後押ししてやる必要はありません。やりやすい環境を整えてやればよいのです。

--Ballmer氏は先日、VistaとOffice 2007のリリースまでにやらなければならないことが山積みになっているとおっしゃっていました。リリースまでにあと何が必要なのか教えていただけますか。あなたはこの件にも関わっておられるのですよね。

 もちろんです。私の仕事は、マーケティング、広報活動など、そうした分野すべてに関わっています。VistaとOffice 2007のリリースに関しては、言うまでもなく、ここ数年の最重要課題ですが、Microsoftはそうした大きな製品のリリースをこれまでにも本当にうまく切り抜けてきました。環境がどのように変化したのか、それにどのように適応する必要があるのか、という点を認識することも重要ですが、過去の実績からも多くを学ぶことができます。

--スピーチのなかで、「one Microsoft」という概念に触れておられましたね。これはパートナー企業との関係のことを言われたのだと思いますが、Microsoftのさまざまな分野を1つに統一するという意味で、Microsoft社内についても同じことが当てはまりますか。

 もちろんそうです。現在実施中の「People Ready」キャンペーンもMicrosoftの運営方法に関するものですが、私はこの運動の主唱者であり、支持者であり、推進者でもあります。これは、ヒトを中心に置く考え方です。われわれ全員が同じ方向を向いていることを確認するものです。皆に同じ方向を向かせること、全社員の意思統一を図ること、それが上に立つ者の仕事です。

--Googleとエンタープライズ検索に関して興味深いコメントをされていましたね。Googleの動向に関して、エンタープライズ検索以外で気にかかる分野はありますか。

 われわれには多くの競争相手がいます。これだけ幅広い分野でビジネスを展開していれば、当然、競争相手も増えます。私は、競争はわれわれを高めてくれると信じています。ですから、そのスピーチでも、Microsoft製品の中で最も売るのが難しいのは他社製品と競合しない製品だ、と言いました。それに、われわれがエンタープライズ検索市場に参入するのは、競争に勝つためではありません。顧客が求めているから、その分野で他社より優れているから、参入するのです。ですから、これからGoogleを追いかけて、われわれのエンタープライズ検索ソリューションが企業で採用されるようになることを、とても楽しみにしています。Googleが進出している気になる分野については、確かに他にもあります。彼らはさまざまな分野に進出していますから。

--「ソリューションを売る」というのは、長い間、IBMが行ってきたビジネスです。大企業のCIOに会って話すとき、IBMと比較されてやりにくいと感じることはありませんか。

 いいえ。IBMとは、考え方が違うと思っています。われわれは、顧客企業がビジネスを運営する方法をお手伝いするつもりはありません。そうではなく、「あなたが会社の運営を成功させるためにわれわれはいくつか機会を提供できる」と言いたいのです。われわれのテクノロジーをその会社の業務に適用し、最適化する。それを、パートナー企業や顧客といっしょになってやっていきたいのです。サービス、パートナー企業、およびソリューションに対するアプローチ全体がIBMとは異なります。それは、これまでの長年に渡るMicrosoftの足跡をたどれば、分かっていただけるでしょう。問題は、その違いを明確に打ち出し、展開し、活用していく、その方法です。それが、われわれがこの新しい分野で成功するかどうかの分かれ目になります。

 顧客とパートナーは、ソリューション提供企業としてのMicrosoftを求めています。それを必要としているのです。われわれには、この分野に参入し期待に応える力があります。Microsoftの社員は団結力にすぐれていると同時に、個人個人の力も大きいからです。それがMicrosoftソリューションのすばらしい点です。競合他社では必ずしもこうはいきません。常にうまくいくとは限らない。われわれはその強みを活かさなければなりません。われわれが本当に得意とすることを自覚して、顧客とパートナー企業のためにシームレスな環境でそれを実現していくことです。

--今、一番気にかかっていることは何ですか。Microsoftのことで眠れなくなるような心配ごとはありますか。

 寝るときと朝起きたときに考えるのはいつも社員のことです。スキルがあり、トレーニングを受け、資格を持った人材が十分に確保されているだろうか。顧客と製品の面倒をきちんとみれるように彼らを教育しているだろうか、といつも考えています。私の仕事には2つの側面があります。1つは、社員の面倒を見ること。もう1つは、顧客とパートナー企業の面倒をみることです。3つめを加えるとすれば、何が自分の仕事なのか混乱しないことでしょうか。社員、顧客、パートナー企業の面倒をきちんとみることがすべてです。それが私が拠って立つ基盤です。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]