ブログを核にリストラしたライブドアのポータル戦略 - (page 3)

インタビュー: 別井貴志(編集部)
文: 永井美智子(編集部)
2006年07月03日 11時00分

GyaOへの誘導でCGMを収益化

--USENとの連携についてはどうしていきますか。

 (無料動画配信サービスの)GyaOはインターネット的というよりテレビ的ですよね。ネット的でないサービスの最大の弱点は、ユーザーが自己増殖的に増えないということです。ですから、我々のブログやCGMサービスを使って集客していきます。

 さきほどCGMサービスは収入源の開拓にまだまだ課題が残っていると話しましたが、単価の高い媒体面にトラフックを積極的に誘導するためのツールとして利用するという方法があると思うんです。GyaOはまさに広告単価が高い媒体なので、我々が集客エンジンになってGyaOに誘導するという役割分担を大きな方針として掲げています。

 ですので、細かい話ですが、GyaOプラグインをブログやSNSに組み込んだり、コンテンツマッチ広告としてGyaOに誘導するという手法もあると思います。

--でも、それだとライブドアから見ればトラフィックを流しているだけになりませんか。

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 その分の対価をもらおうと考えています。まだそこまでの仕組みはできていませんが。

 私はそれが1つのCGMビジネスの方向性でもあると思います。それから、YouTubeのようにプロモーション用のビデオを混ぜ込むというような方法もあるかと思います。いずれにしろ、最終的には広告単価の高いサイトに誘導するという発想ですね。

 ただ動画の場合はものすごい帯域を必要とするので、CGMの中では最も高コストなプラットフォームだと思います。動画のプラットフォームがコストに見合うかというのが次の課題ですね。

--YouTubeのような動画の共有についてはどう考えていますか。

 私は今のところやらないほうがいいと思っています。Googleのように検索でたどり着けるようにするのはありだと思うんですが、自らホスティングするということに関しては懐疑的ですね。

 もし自らホスティングするのであれば、やはり「管理されたCGM」という概念で行かなければいけないと思っています。その場合、用途を広げすぎると管理しきれない。しかし、管理しきれる母数では流行らないという、痛しかゆしになるでしょう。

 我々が実際にやっているのがネットアニメの「livedoor デイリー4コマ」なんです。媒体としても成立しているし、コンテンツビジネスとしても、権利ビジネスとしても成立し始めているので、これはこれで成功かなと思っています。

ブログがあるから社名は変えられない

--あれだけの大きな事件があって、社名変更は考えなかったのですか。

 その議論もあったんですが、例えばリクルートも(リクルート事件で)すごくブランドが傷ついたけれど、今はすっかり復活している。社名を変えることはたやすいんですが、ポータルの名前を変えるのは大変です。

 まず、ドメインを変えるというのが考えられない。ブログにも1つ1つにライブドアのURLが入っていますよね。今、130万人以上いるブロガーの全員のURLを変えて許されるとは思えない。現実的じゃないと思うんです。

--APIの公開についてはどう考えていますか。

 公開したいと思っているんですよ。ただ、ユーザーに対してモチベーションを与えられるような公開の仕方をしないと意味がないので、どのサービスでAPIを公開するかというところがまだ決まっていません。

 やっぱり、新しいサービスのイノベーションというか、「これはGoogleもやっていなかった」というところを出せない限り、技術的に地味なイメージは払拭できないと想うんです。

 例えば、私はメールをやめようと言ったんです。「ライブドアのメールは捨てアカウントで使われるばかりで、金ばかりかかるからもうやめよう」と。みんなすごくびっくりして、「代わりに何をするんですか」と聞かれたから、「RSSでやる。RSSのインターフェースをメールっぽくして、RSSでメールみたいなものが送れるようにしたらどうか」って。そうしたら、「それはおもしろいけど、メールをやめたらみんなびっくりするから」って(笑)。

 でも、それぐらい斬新なことをやりたいんです。そうすれば「おっ!」と思ってもらえるじゃないでしょうか。みんな内心気づいているはずなんですよ。メールの世界はもうスパムが多すぎて限界に来ていると。その点、RSSにはまだまだいろいろな可能性があると思うんですよね。

 これからは新しい技術を作るだけじゃなくて、新しい技術の使い方、いわばネットの文化をどんどん提唱したいなという感じですね。

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