Vista開発責任者:「それでも1日の大半を心配しながら過ごしている」 - (page 2)

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:尾本香里(編集部)2006年06月09日 19時10分

--Vistaの開発プロセス全般から得られた教訓は何かと聞かれたら、一番に何を挙げますか。

 2004年8月に仕切り直してからは、ほとんどすべてのことがうまくいっていると思います。それ以前は、改善の必要があるさまざまな点について私が個人的に書いたメモが山のように溜まっていました。開発工程の変更とか、依存性の解決、どのレベルでどの程度の依存性を吸収するのか、それをシステム内のどのレベルのプロジェクトで行うのか、つまり階層化の問題です。こうした問題の中で、おそらく最も大きな問題は依存性の問題だと思います。よく、「ああ、それならよい方法がある。インターネット上でソフトウェアを出荷すればよい。そうすれば、なぜか品質が向上し、開発期間も短縮される」という人がいますが、これは単なる幻想だと思います。そのようにうまくはいきません。

 依存性をコントロールすることは、Windowsにとって極めて重要なことです。それができれば、大きく前進できます。サーバを例に説明しましょう。サーバに新しい機能を追加するとします。われわれは各機能が、その機能だけに取り組む小さな開発チームによって独立に開発を進められるようします。各チームは他のチームのことを気にする必要はありません。

 あるときあなたは将来を考え、「複雑になる一方じゃないか」と思うかもしれない。モジュラー化を進めると、各機能を独立させると同時に、管理コンソールなどから共通の方法で協調動作させることもできるというが、実際には複雑になっているだけじゃないかと。しかし、モジュラー化を進めると、モノリシックな(一枚岩の)システムと違ってチームを小さくすることができ、開発スピードを上げることができるのです。同じことがクライアント側にも当てはまります。

 将来的には、モジュラー化を進め、機能間の依存性を減らすことが鍵になります。私は、車とソフトウェアは将来どんどん複雑になり、同時に、よりシンプルにもなると信じています。各部品の構築方法、そしてそれらを組み合わせる方法を機械化し、近代化してゆけばよいだけですから。車では、部品を接続するバス構造が実によく定義されています。バス構造をいじる必要はまったくないようにできている。だから、交換も簡単だし、部品の接続も簡単です。どんどんこういう方向に進めていく必要があります。

--今後は「仮想化技術」が鍵になりそうな気がします。対応しなければならないアプリケーションの数はWindowsよりはるかに少ないとは言うものの、AppleはMac OS Xに移行したときや、Intelチップを採用したときも、「将来に向けて何らかの変更が必要だ。これからは、この方法で互換性を維持していく」と言っています。これは大変な作業になると思いますが、Microsoftもいつかの時点で同じことをする必要があるとお考えですか。

 われわれがAppleと同じ方法を採用するということにはならないと思います。Appleの問題は、技術的にさまざまな点で、われわれの問題よりもはるかに簡単ですから。しかし、最も重要な問題は、アプリケーションの互換性であるということは断言できます。われわれは、今後、この問題をどのように解決してくのか、さまざまなプロトタイプを作成する開発チームも編成しています。既に、この問題のためのソリューションはいくつかあり、プロトタイプも既にできあがっています。これは非常に複雑で、Appleのケースよりも難しい問題です。

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