10周年を迎えたヤフーの意気込みと憂い - (page 2)

別井貴志(編集部)2006年04月19日 10時00分

--携帯電話に対する取り組みはどうでしょう。

 ヤフーもインターネットサービスをやっていて、パソコンだけに限定するつもりはもともとないです。携帯電話も積極的に取り組んでいきます。また、今度テレビがインターネットにつながるかもということにも取り組んでいきます。いまあるヤフーのサービスを、パソコンだけではなく、移動中に携帯電話からでも使えるし、テレビを通じても使えるというように幅広く扱っていきます。

 携帯電話をソフトバンクという半分身内みたいな会社がやることによって、いままでの携帯キャリア3社とのつきあい方とはもう少し違うつきあい方ができるチャンスだと考えています。特に、いまの携帯電話のインターネットはインターネットではないと思っています。昔のパソコン通信じゃないかと思っているので、これを本格的なインターネットにしていきたいです。Yahoo! BBの時にソフトバンクと一緒にやって、日本をブロードバンド大国にできました。それと同じようにいまの閉ざされた携帯電話をもっとインターネットにしていくということをやりたい。

--ところで、ヤフーの最近の新サービスを見ると、アフィリエイトにしてもYahoo! 360°にしても、サービス開始が他社に比べて遅いのではないでしょうか。

 Yahoo! 360°についていうと、ソーシャルネットワークサービス(SNS)というのはどの範囲を指して言ってるのかがあまり理解できていないのですよ。根本的にヤフーに今後重要だと個人的に納得しているのはソーシャルネットワークなんです。日記公開サービスが本当に重要かというと個人的にはまったく納得していなくて。

 一方で、ネットワークを作るために非常に重要な呼び水にはなっていることはあるでしょう。自分の日記を他の人に公開することがモチベーションになって、そのネットワークを広げていける人たちがいますので。それはそれでいいのですが、僕はそれだけではないと思っている。たまたま日記がいまははやっているけれども、ほかのサービスからソーシャルネットワークを拡大していくものもあるのではないかと考えている。

 ソーシャルネットワークができると、先ほど言ったとおり、かならずしも信頼性の高くないテールコンテンツをはじくような、コンテンツの重みづけができるようになるでしょう。なので、ソーシャルネットワークが拡大していくことはきわめて重要なのです。

 たしかに出遅れた感はあります。しかし、とりあえずアフィリエイトにしても他社に追いついたと思っています。追い越すことは可能なので。

--そうは言っても、たとえばアメリカではソーシャルブックマークサービスのdel.icio.usと写真共有サービスのFlickrを傘下に収めており、これを単純にまず日本語化して日本で提供してみるということはできないのでしょうか。

 それも1つの方法としてあるんですけど、アメリカと日本でヤフーIDを分けたマイナス面もあります。設備を日本に持ってこなければならないので、ちょっと大変です。IDが一緒ならば……。そのほか、システムのセキュリティをどうする、課金をどうする、広告をどうする、既存サービスとの連携をどうするなど、いろんなことを考えちゃうと頭を悩ますことは多いです。

 サービス開始の遅れを指摘されましたが、やっていることが多すぎて、なかなか新しいことに手が回らないという面もあります。セキュリティも考慮しなければならないので、開発プロセスそのものも昔に比べると時間がかかります。

--ヤフーと共に、社長としても10年経ちましたが、もちろん今後も社長として邁進していかれるのですよね。

 どうですか? 今後もがんばろうとは思っていますが、どうも……、最近のSNSみたいなのを見ていると、おれはどうもこれは無理だなあと思ってみたり。まず自分で日記を書きたいと思わないんですよ。ブログもそうですが。そもそも、子供の頃から日記を3日以上書いたことがありません。社長ブログをやっている社長もいますが、ああいうのはあまりやる気にならないんです。2.0に乗り遅れているかなあと自問自答したり、そればっかりじゃないぞと自分を励ましたりもしていますが。

 まあ、やりたいこともやらなければならないこともたくさんあるので、「おまえもうそろそろ代わったほうがいいんじゃないの」と言われるまではやるかなあ。

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