2008年以降、検索連動型広告の成長速度は鈍化する - (page 2)

西田隆一(編集部)2006年04月13日 16時02分

--他社はツールの提供によって付加価値をつけようという動きもあるようですが、御社の中で効果測定ツールを開発したり、(最適な広告入札を行う)ビッディングツールのようなものを提供したりといった、P4Pの周辺のツール類の開発を自社で行うことはありますか。

 基本的にP4P周りのサービスを開発したいという意向はありますが、いま言われたようなログの解析やビッディングツールについて開発する意向は全く持っていないですね。これは3年ぐらい前に方針を一応決めています。

 これはオーバーチュアとグーグルがやるべきことであって、一部はもう出ていますが、私の中ではおそらく彼らはそういったものを無償で出してきますので、同じものを開発するのに投資するのは経営的におかしなことになるので、3年ぐらい前に投資をしないという方針を決めています。

--例えば具体的にこんなものをやりたいのだという、ツール類はありますか。

 ツールについては、グーグル、オーバーチュアがやらないことをやります。どう考えても、インターネットでいうと資本力や技術力はグーグルがたぶん世界で一番高いと思いますので、そこと同じことはやりません。

--グーグルが広告分析ツールやログ分析ツールを提供したのが昨年、今年だったわけですが、類似するツールを3年も前に開発しないといった早い段階で決定をできたのはなぜでしょうか。

 私どもは検索エンジンマーケティングしかやっていませんので、そこにフォーカスしてアンテナを高くしてやっているので、そういった優位性があるのではないでしょうか。他社はほかにもバナー広告とかメール広告とかいろいろなものがたくさんあるので、いかにそれを品揃え多く、幅広くお客様にご提供するかというのが彼らのミッションですから、位置付けが違うと思います。その分だけ、われわれはいろいろ情報が入ってきたりするのではないでしょうか。

--ただ、2008年以降はそういったバナー広告やメール広告といった新たな事業分野にも進出せざるを得ないのではないでしょうか。

 バナー、メールはないでしょうね。利益が出ないですから。利益の出ないものはやりません。私どもは市場に対して経常利益率10%コミットしていますので、バナー広告は5%値引きすれば、その時点でほんのちょっとしか残りません。各社さんは今は経常利益率が4%ぐらいですから同じことはできません。

--昨年ヤフーがメインの検索サービスをディレクトリー検索からロボット検索に変えました。御社に影響はありましたか。

 やはり問い合わせは増えました。ワールドワイドで言うと基本的にはロボット型が前面であって、それが前に出てきただけですが、日本のユーザーはそれを基本的には誰も知らないですから、皆さん、びっくりされて問い合わせが結構来ました。

--今までグーグルだけSEO対策していればよかったのが、もう1つできたわけですね。マイクロソフトもこれから仕掛けてくるでしょう。その動きはどのようにご覧になっていますか。

 私どもとしては、マイクロソフトさんも、ロボットやP4P分野をやっていただいいたほうがいいので基本的には歓迎です。多ければ多いほどいいので。ただマイクロソフトさんがどれだけ力を入れているかというところがあって、ある程度は力を入れていると思いますが、検索で首位に立てるとは思っていません。やっぱりワールドワイドで言うとグーグルが勝ち組というのは確定していますので、日本国内だとヤフーが強いかもしれませんが、ワールドワイドで言うとグーグルの一人勝ち状態に入ってきていると考えています。

--バランスで見るとP4Pの売り上げはオーバーチュアが多いです。なぜでしょうか。やはりヤフーの検索量が多いからということでしょうか。

 そうですね。

--単純にそこに比例しているのですか。

 はい。あと、もしもあるとすれば代理店戦略でしょう。オーバーチュアは代理店をきちんと使って伸ばしたという経緯があるので。グーグルは一応は代理店さんと協力関係にありますが、今まではそんなになかったのです。ただこの4月以降、グーグルは相当数てこ入れをしてくるので、おそらくはグーグルが伸びてくるでしょう。

 また、コンテンツ連動(型広告)は現在はグーグルしか提供していませんので、ここがたぶん急激に伸びてくると思います。

 イメージ的にはおそらく売上比率はオーバーチュアが6に対してアドワーズが4ぐらいですが、これは1年半ぐらいの中でおそらくイーブンぐらいになってくると思います。

--それはユーザー側の検索量ではなくて、代理店戦略だとかコンテンツ連動で扱うことによってイーブンになるだろうということですね。

 はい。コンテンツ連動はもっと伸びると思うのです。これはたぶん爆発的に伸びると思います。グーグルの場合で言うと、ラジオ広告会社を買収していますし、テレビなどもこれからやっていくと思いますし、印刷物なども入ると思います。ここはたぶん無尽蔵にマーケットがあるのでまだまだ伸びるところです。

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