ビル・ゲイツ氏に聞く「Windows開発とビジネス市場の可能性」 - (page 3)

文:Ina Fried 翻訳校正:坂和敏(編集部)2006年04月10日 10時28分

Gates:コードの統合に関しては、かなり保守的な戦略を採用しました。ソフトウェアの残りの部分に影響を及ぼすことなく、役割機能などの新しいユーザーインターフェースをすべてのユーザーに提供したかったからです。ユーザーインターフェースは改善されつつあります。OfficeとSharePointでも、ユーザーインターフェースは見直されました。使い勝手ががらりと変わるのではないかと不安でしたが、おおむね問題なく進んでいます。少なくとも、Axapta、Great Plains Software、Navisionのユーザーには、われわれがコードベースの統合にどう取り組んでいるかを、正確に理解していただいていると思います。

Burgum:Billとは、コアのビジネスロジックを統合する方法や時期、その結果を、モデルに基づいて各ソフトウェアのユーザーインターフェースに反映する方法についても、多くの議論を重ねました。統合は2008年中に完了する予定ですが、これは大きな転換となるでしょう。Billがいった通り、われわれはこのプロセスをパートナーのビジネスモデルを損なうことなく、顧客への投資を維持し、移行を円滑に完了できるようなやり方で進めたいと思っています。

--Microsoftは一貫して、自社のビジネスソフトウェアの対象はFortune 500企業ではなく、中規模企業か、企業内の部門だと述べています。この考えは変わっていませんか。業界では再編が進んでおり、Oracleは非常に多くの企業を囲い込んでいます。小規模企業や大企業ではなく、中規模企業を標的とすることは、今も現実的な判断といえるのでしょうか。

Gates:当社のソフトウェアは拡張性が高く、どの国のどんな企業にもほぼ例外なく対応することができます。新しいソフトウェアアプリケーションベースを探している企業があれば、95%の確率で、当社の製品が選択肢に入るでしょう。しかしごくまれに、当社のソリューションでは対応できないケースもあります。このような場合、当社の製品を売り込むことはありません。しかし、どのような企業が当社の製品の顧客となるのかを、明確に定義することは非常に困難です。多くの企業は、一度選んだアプリケーションを5年以上にわたって使い続けます。この場合は、導入済みのアプリケーションを強化するものとして、生産性を高めるソフトウェアやその他のソフトウェアを勧めます。このように、アプリケーションをどの企業に売り込むかは、ひとことではいえない問題です。必要であれば、これらのコードベースはかなり大規模なシステムにも対応することができます。

Burgum:MBSが扱う製品の拡張性は、Microsoftのその他の部門で進んでいる大型の投資とも関連しています。たとえば、SQL Serverとは多くの共通点があります。現在、SQL ServerはSmall Business版が非常に好調ですが、この製品は非常に大規模なシステムにも対応できます。MBSが扱う製品が、同じようなパターンをたどる可能性はあると思います。

Gates:その通りです。ただ、「拡張性」という言葉は少し紛らわしいかもしれません。というのも、最近の問題は性能ではないからです。当社の製品が非常に高い性能を備えていることは間違いありませんが、最近はあらゆる階層において、製品の性能よりも、製品の説明の複雑さや、製品を説明するために使われる表の数が重視されるようになっています。どの産業にも、この種の複雑さを求める企業があり、こうした企業のために、非常に複雑なERP製品が開発されています。その代表格がSAPの製品です。

--MicrosoftがGreat Plains Softwareを買収した後に、この業界で起きた大きな変化のひとつはサービスとしてのソフトウェア--つまり、Salesforce.comのアプローチの登場です。Microsoftはこれを必要な機能のひとつとしながらも、最良のアプローチとは認めていません。ビジネスソフトウェアに関する限り、この考えは今も変わっていませんか。

Gates:将来的には、当社のすべての製品がサーバ上--つまり、顧客のサーバ上で運用されるか、ホスティングサービスとして提供されるようになるでしょう。MBSが扱う製品のほとんどには、ホスティングサービスを提供するパートナーがいます。われわれはホスティング作業を容易にするために、ソフトウェアにさまざまな工夫を加えています。単にハードウェアのリソースプールを走らせている時と、企業が情報アクセスに関するパラメータを設定する時の管理方法を変えることはそのひとつです。自社サーバでソフトウェアを運用したいと考える企業は少なくありません。こうした要望には、確実に応えていきたいと思っています。これは完璧に有効なモデルです。Salesforce.comのやり方は、ホスティングの面でも、販売の面でも、ある意味で非常に高価なアプローチです。ホスティングサービスを利用する企業は、売上高もマーケティング予算もそれほど高くはありません。それを考えると、これはややちぐはぐな組み合わせだと思います。

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