S・バルマー氏:「標的はIBM」

文:Martin LaMonica(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年03月27日 08時45分

(編集部注:この記事の英文オリジナルは米国時間3月17日-Windows Vista等の発売延期が発表される以前に公開されたものです)

 Microsoftは、今や技術だけに目を向けているわけではない。

 Microsoftは長年にわたって、大企業のIT担当者に自社製品を売り込んできた。しかし今は全社を挙げて、企業の経営幹部に攻勢をかけようとしている。

 その理由について、Microsoftは、経営やマーケティングなど、非技術部門のトップがIT製品の購買決定に関わるようになったからだと説明する。方向転換のもうひとつの理由はIBMだ。ビジネスソフトウェア市場でMicrosoftの最大のライバルとなっているIBMは、何年も前から企業の最高経営責任者(CEO)を標的に据え、専門知識を持つコンサルタントの助けを借りて、契約を勝ち取っている。つまり、MicrosoftはIBMと同じアプローチを取る必要性に迫られているのだ。

 米国時間3月16日、MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は、ニューヨークで開催された記者発表会に出席し、約500人の企業幹部を前に、ビジネスコンピューティングに関する包括的な計画を披露した。

 企業幹部に語りかけるBallmer氏の言葉には、いつもとは違う響きがあった。Ballmer氏は開発者向けのトークで社員にハッパをかけることで知られているが、今日の話の主役は「人々(People)」だった。適切なツールを使えば、エンドユーザーの生産性と創造性を高めることができるとBallmer氏は訴えた。

 Ballmer氏は自社とIBMの手法を比較し、IBMはますますサービスとコンサルティングに重点を置くようになっていると述べた。もちろん、IBMの見方は違う。

 基調講演の後、Ballmer氏はCNET News.comの取材に応じ、IBMとの競合関係、ホステッドサービスの役割、今後の成長見通しなどについて語った。

--今日の講演はCEOと経営幹部に的を絞ったもののようでした。これはなぜですか。企業はこれまでとは違う形で、Microsoftのソフトウェアを購入するようになったのでしょうか。

 ITに関する企業の意思決定は、実は非常に複雑です。4つの視点--つまり、エンドユーザー、中央のIT部門、業務部門ごとの責任者、そしてビジネスリーダーのニーズを考慮しなければなりません。ビジネスリーダーとは、営業部門のトップかもしれませんし、財務部門や経営部門のトップかもしれません。

 当社の企業向けIT製品の顧客やパートナーは、こう言っています。「上空援護が必要だ。われわれの事業をMicrosoftの『People-Ready』構想に沿ったものとするためには、われわれだけでなく、Microsoftにも論陣を張ってもらう必要がある」。実際、IT製品の顧客からは、「業種を問わず、Microsoftには上空援護をしてもらいたい。そうすれば、われわれも技術の話をすることができる」という要望が数多く寄せられています。

--あなたはMicrosoftとIBMを比べて、IBMはコンサルティング会社だが、Microsoft はソフトウェア会社だと主張しました。IBMがコンサルティングに関心を持っていることは事実だとしても、今日のデモに登場したような「Office」ベースのアプリケーションを売るためには、Microsoftもコンサルタントを必要とするのではありませんか。

 話を整理しましょう。われわれはコンサルティングが不要だといっているわけではありません。事実、私はつい先日まで、Accentureの取締役を務めていました。4、5年は務めたと思います。私は、コンサルティングを否定しているのではなく、人々に力を与え、それぞれの企業を強化できるようにすることが重要だといっているのです。

 IBMが興味を持っているのは、コンサルティングプロジェクトとアウトソーシングだけです。一方、当社は人々が連携し、問題を洞察し、例外に対処するためのツールを提供することが重要だと考えています。「そこそこの企業」と「卓越した企業」の大きな違いのひとつは、問題と例外への対応です。卓越した企業は、そこそこの企業よりもはるかに効果的に問題と例外に対処しています。

 IBMに最大のライバルはどこかと尋ねれば、Microsoftだと答えるでしょう。この意味で、両社を比較することは理にかなっています。どちらも最近、新しい広告キャンペーンを始めたので、両社の違いは何かという問題ははぐらかされています。

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