オプトが唱える「広告」だけではないインターネットマーケティング

西田隆一(編集部)2006年03月13日 10時00分

 2005年12月末に電通との業務資本提携で、インターネット広告業界を沸かせたオプト。業績も好調で2005年12月期は前期に比べて、売上が76%、営業利益が67%の伸び率となった。電通との提携も含めて、インターネットマーケティングの動向について、同社の代表取締役CEOの海老根智仁氏に話を伺った。

--2005年末に電通との業務資本提携がありました。

 インターネットマーケティングの“全分野”において電通と業務資本提携をするという発表をしました。われわれは「eマーケティングカンパニー」と名乗っているように、インターネットマーケティングが会社の事業ドメインです。つまり、企業のインターネットマーケティングをトータルで支援する会社なのです。

 インターネットマーケティングの領域でも、結果としてインターネット広告の市場が最初に伸びています。われわれの売上の中でもインターネット広告の割合が大きく、世の中からは「インターネット広告のオプト」とか、「インターネット広告専業代理店のオプト」とか言われているのですが、実際は、企業に対してインターネットマーケティングを支援するナンバーワンの企業を目指しているのです。

--具体的にはインターネットマーケティングといった場合に、どのようなことを行っていますか。

 まずはインターネットならではの商品開発があります。つまり、コンセプト作りから入っています。

 また、企業は自分たちのウェブサイト上のインターネットの本店だけでなく、支店をどんどん展開していきたいと思っています。たとえば、どこかのポータルサイトに出店したり、商品ごとにウェブサイトを用意したりするというのが今後のあり方だと思っています。つまり、サイト戦略ではなくてチャネル戦略です。マルチチャネルを展開するためのアドバイスだとか、制作や開発なども含めた支援もしています。

 それから、商材を作ってチャネル展開を考えた後は、実際に売る段階になるので、インターネット広告を使った新規顧客を獲得するためのプロモーションと、リテンションと呼ばれる2回、3回と商品を買ってもらえるようなシステムの提供やコンサルティングを行います。

 このサイクルをトータルでサポートするのが弊社の靱帯なのですが、現在はプロモーションやリテンションの案件が非常に多くなっているのです。

 このサイクルをインターネットマーケティングの定義とするのであれば、これをカバーしている事業が、「インターネット広告」、「テクノロジー」、「ソリューション」、「コンテンツ」の4事業分野になります。実際の商材は、「テクノロジー」であれば広告効果測定、「ソリューション」であればウェブサイトの制作やリサーチ、「コンテンツ」であればマーケットプレイスというものになります。

--提携後にはどういったことが実現されるのでしょうか。

 電通と4つの事業分野で提携をしたのですが、たとえば、広告であれば制作技術だとか広告効果の測定システムなどで両者にメリットがあるものを模索していきます。また共同での海外展開なども検討しています。

 ただ、結局何をするのかと言えば、現在は分科会をいくつか作りそこで協議をしています。分科会での方向性が決まるのが3月末ぐらいで、「この分野で注力してやっていきましょう」というのを4月ぐらいに決めて、それ以降、両者で実際に成果を出すことを考えていきます。

--現時点では電通との提携による具体的な事業内容というのは決まっていないということですね。

 決まっていません。ただ、インターネット広告の代理事業という分野では、電通も弊社も上位であるので、基本的にクライアントというのは両者ともに競合する場合もあるのですが、一番手と二番手があわされば何かできるだろうというのがこの提携の原点になっています。

--インターネット広告の代理事業では両者ともに一定の地位を確保しているわけですが、今後はテクノロジーやソリューション、コンテンツといった分野の伸びが期待されます。広告以外の分野でも電通との提携によって成長させていこうと考えているのでしょうか。

 広告以外のテクノロジー、コンテンツ、ソリューションの分野については2005年度に投資した会社がたくさんあります。ですから自社でも推進しております。テクノロジーであればブログのソリューションを提供するホットリンクを子会社化したり、コンテンツであればゴルフ関連のALBAを子会社化したりしています、あとは、ファッション関連のコマースを手がけるスタイライフの筆頭株主になりました。

--実際には、インターネット広告事業以外の売上比率はどうなっていますか。

 インターネット広告事業以外の売上比率は15%を超えています。今後はインターネット広告以外の3分野の売上比率を上げていきます。ただ、意識的に上げるというよりは、結果として上がってくるだろうと思っています。

--インターネットマーケティングを考える上でユーザーの行動に変化が見られるのでしょうか。

 ヤフーで行われたアンケートの結果ですが、「あなたがウェブサイトを見る目的はなんですか」という問いに対して、「情報収集のためにウェブを使っている」というのが一番多いのは当たり前なのですが、この4年間で何の回答が一番伸びているかというと、「商品の購入を検討するため」という答えなのです。エンドユーザーがこういう視点に立っている限り、インターネットを1つの販売チャネルとして企業は真剣にとらえていかなければならないと思っています。

 企業がインターネットを、売上を上げるためのチャネル、大きなツールだと認識する時代に、やるべきことはインターネット広告だけではありません。ユーザーが商品を購入するためにネットで情報を収集する方法は、検索エンジンで探すだけでなく、モールで探したり比較サイトで探したりするのです。

 比較サイトで探すというユーザーがいるかぎり、単純にインターネット広告だけでは、企業のニーズを満たすことができないと思っているので、そこには売れる商材作りとか、チャネル自体を提供するといった行為も必要になってきます。実際にマーケットプレイスという事業によってチャネル自体もわれわれが作っているのです。

--マーケットプレイスについて詳しく教えてください。

 たとえば、カードローンや住宅ローンのサービス内容を比較する「ローンギンザ」というサービスを提供しています。ここでは、ローンを提供する企業はクライアントとしてほとんど入っています。クライアントが何のためにマーケットプレイスを使っているかというと、クライアントにとっての支店の1つなのです。金融の会社であれば、自社のメインサイトで金融商品を売って、自分たちが所有する別のサイトでも金融商品を売って、さらに、オプトのローンギンザ支店でも金融商品を販売するというのがチャネル戦略の支援のやり方なのです。

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