「RSSは携帯電話にこそ向いている」--エル・カミノ・リアルの挑戦 - (page 2)

永井美智子(編集部)2006年02月09日 08時00分

--ユーザーが自分の読みたいRSSフィードをカテゴリ別に登録できるようにしていますね。

 たとえば株価のような場合は、ちょっとした更新も重要になりますし、ブログとニュースでは更新頻度なども違う。そこで、RSSと一言でいってもカテゴリ別に分ける必要があると考えたんです。

 ただし自社ですべてをやるのは大変なので、Apple Computerの音楽再生ソフトであるiTunesのように、ユーザーが自分で情報を登録するようにすればいいのではないかと思いつきました。こちらではディレクトリだけ用意して、あとはユーザーが自分の入れたいところにRSSフィードを登録できるようにしています。

--現在はRSSの情報を表示するだけですが、サイトの情報をすべて見られるようにフルブラウザを手がける予定はないのでしょうか。

 最初はフルブラウザも考えたのですが、ユーザーがどんな情報を見たいかが事前には分からないので、どうしてもサイトのグラフィックをリアルタイムに(携帯電話向けに)変換する必要がある。そうなると大規模なサーバや回線が必要になるので、儲けが出にくいんです。

 RSSフィードの場合は事前にデータを読み込んでおいて、ユーザーのリクエストがあったときに表示すればいい。私が考えたのは「クリスマスのケンタッキーフライドチキンモデル」なんです。あらかじめ予約を受けておいて、いくつかの決まった時間帯に分かれて取りに来てもらう。そうするとトラフィックが混みませんよね。

 ECR RSSリーダーの場合、まずユーザーにRSSフィードを登録してもらいます。サーバは登録されたRSSフィードのデータを取りに行って保存しておき、ユーザーにはデータを見たいときに見に来てもらう。ユーザーからすると「見たいときにいつでも情報が見られる」というように思えるけれども、実はこちらであらかじめ用意してある。だからデータの表示も速いんです。

 フルブラウザはこれからどんどん携帯電話端末に搭載されていくでしょう。ですからわれわれは自社でフルブラウザを開発するよりも、既存のフルブラウザと連携する形を取っていきます。

--RSSフィードでPCサイトの情報が見られるようになると、公式サイトの優位性が下がりますね。

 RSSリーダーとフルブラウザが登場して、さらに番号ポータビリティが始まると公式サイトモデルはかなり崩れるでしょう。だからこそ、既存のコンテンツプロバイダは携帯電話以外の事業者と組んでビジネスをしようとしている。

 逆にいえば、今まで公式サイトになれなかったものでもチャンスが出てくる。また、RSSフィードさえきちんと提供すれば、携帯電話専用のサイトを作る必要もない。携帯電話コンテンツ市場にはもっといろいろな企業が参入してくるでしょうね。

 RSSは携帯電話にこそ向いているんです。なぜなら、更新情報というのは携帯電話にこそ必要だからです。PCでも重要ですが、常に手元にあるものに更新情報が届くほうがいい。極端なことをいえば、頭の中に何かを埋め込んで、更新情報があるたびにそこに通知が行くくらいでもいい(笑)

 シリコンバレーに行ったとき、当社のモデルがTechnolatiとどう違うんだと訊かれました。TechnolatiはPingサーバに集められた更新情報を利用する。これは西洋人の考え方で、東洋人は人の家に自分から上がりこんで確認するんです。「自社のサーバにPingを打ってください」というのではなくて、自分から“押しかけて”情報を取ってくるんです。

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