「RSSは携帯電話にこそ向いている」--エル・カミノ・リアルの挑戦

永井美智子(編集部)2006年02月09日 08時00分

 ブログの普及やポッドキャストの登場により、RSSフィードの活用に注目が集まっている。マイクロソフトが2006年後半にリリースする予定のInternet Explore 7.0にはRSSリーダー機能が搭載される予定だ。また、サイボウズのFeedpathのように、タグ機能などと組み合わせたRSSリーダーも数多く登場している。

 RSSリーダーはPCでの利用を前提としているものが多いが、いくつか携帯電話向けのRSSリーダーも登場しはじめた。外出中でもニュースやブログの更新情報を確認したいというユーザーのニーズに応えたものだ。

 その携帯電話向けRSSリーダーを開発する1社が、Javaを使った携帯電話用アプリケーションや、バックヤードシステムの開発を手がけるエル・カミノ・リアルだ。シリコンバレーを横断する道の名前から社名をとったというエル・カミノ・リアルは、スペイン語で「真実の道」「王の道」という意味を持つ。

 同社が開発した携帯電話用RSSリーダー「ECR RSSリーダー」は2005年10月にリリースされ、現在のユーザー数は約750名となっている。新しいアプリに敏感なイノベーター層からのフィードバックをもとに改良を重ね、少しずつ支持を広げる戦略を採っている。

 同社は2005年8月にエイベックス ネットワークから1億7510万円の出資を受けており、今後はエイベックスのコンテンツを活用したポッドキャストやビデオキャストも展開したい考えだという。同社代表取締役社長の木寺祥友氏にECR RSSリーダーを開発した経緯や今後の戦略について話を聞いた。

--ECR RSSリーダーを開発したきっかけは。

 「携帯電話でメールを使わなくなるようなサービスを作ろう」と考えたのがそもそもの始まりです。携帯電話で現在最もよく使われている機能はメールですが、その状況を変えるようなものを作りたいと考えたのです。そこでまず、4年ほど前に社内や自分の友人など、親しい人たちだけでコミュニケーションできる携帯電話向けのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)ソフトの開発を始めました。日記を書いたり、その人の日記に対してコメントをつけたりするときに絵文字が使えるのが特徴で、実はこのシステムに関して10個ほど特許を持っています。

 2004年の夏ごろから自分の友人たちだけでテスト用として使っているのですが、やはりそのうち使わなくなる人も出てくるんです。その話を米国の知人にしたところ、「インターネット上にはいろんな情報があるから、それを見られるようにしたらいい」と言われました。2004年8月のことです。その時に初めて、RSSという仕組みを知りました。

 同時にRSSリーダーのアプリケーションサイズがちょうど携帯電話に搭載できるくらいの大きさであることを知り、携帯電話でRSSフィードが読めるアプリを作ることにしたんです。

--開発は順調だったのでしょうか。

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ECR RSSリーダーの操作画面。登録したRSSフィードはフォルダに分けられる。更新があったフィードは左側にアイコンが表示される

 RSSリーダーのアプリを作ること自体は簡単でした。ところが運営するのがむずかしい。携帯電話の場合、PCと違ってインターネットにつなぎっぱなしにすることはできないので、常に更新情報を取得するわけにはいきません。けれど、RSSリーダーの場合はサイトやブログの更新があったかどうかが分からないと意味がありませんし、更新情報はすぐ見たいですよね。

 そこでECR RSSリーダーでは、専用サーバーを設置して常にサイトやブログをクロールし、更新状況をチェックするとともにデータをキャッシュしています。端末のアプリ上では更新の有無を表示して、その内容が見たいユーザーにはサーバにデータを取りに来てもらう仕組みです。

 サーバでは、データを圧縮して表示速度を上げているほか、画像を携帯電話の画面で見やすいように、すべて240ピクセル四方の独自形式に変換します。また、RSSフィードのデータをすべて保存していますので、本体のサーバで消えてしまった日記なども表示可能です。

 ただ、更新があったからといって単純にその情報をユーザーに知らせればいいというものでもありません。RSSフィード上の広告が変わっただけでも更新ですし、ブログによってはコメントが付いただけでも更新と見なされてしまう。しかしそれはブログの読者にとっては更新とは呼べません。ですから常にサーバでキャッシュしたデータと突き合わせて、ユーザーに意味のある更新があった場合だけ通知するようにしています。

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