インテルの「空飛ぶセールスマン」 - (page 2)

文:Michael Kanellos(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)
2006年01月18日 18時41分

--これらの市場にも、ViivやCentrinoのようなプラットフォームブランドが登場するのですか。法人市場にブランドは不可欠なのでしょうか。

 市場によって異なると思います。家庭向けの製品市場では、ブランドを通して独自の取り組みをアピールしていくつもりです。これはCentrinoと同じ発想です。Centrinoブランドを作ったのは、複数の製品をまとめて売りつけるためではありません。これらの製品は同時に使用されることを念頭において設計されていたため、ユーザーが4つのベクトル(ワイヤレス、重さ、バッテリ寿命、性能)が揃った状態で、これらの技術を利用できるようにしたかったのです。ブランドがなければ、これは不可能だったでしょう。

 Viivもこれとよく似ています。Viivにはさまざまな機能が搭載されていますが、Viivを構成しているすべての製品を購入しなければ、このエクスペリエンスを確実に提供することはできません。

--しかし、Centrinoにバンドルすることで、チップの販売数は増えたのではありませんか。Centrinoによって、IntelがWi-Fi分野に本格的に進出したことも事実です。ViivはIntelが新たな市場に参入することを可能にするのでしょうか。あるいはバンドルを通して、売上高の増加に貢献するものとなるのでしょうか。

 それはViivの主たる目的ではありません。Viivを開発したのは、新しい市場分野に参入するためでも、特定の製品のシェアを伸ばすためでもなく、当社が約束しているエクスペリエンスを、ユーザーに確実に提供するためです。Viivの目的は領土の拡大ではありません。

--しかし、売上が増えるのは悪いことではないでしょう。

 副次的な結果としてビジネスが拡大するなら、それはすばらしいことです。家電とコンピュータの世界は交差しつつあり、家庭向けの市場には未知のチャンスが広がっています。Viivがいくつかの基本的な利益と機能を、PCという枠組みの中で提供することができるなら、他の分野に波及効果が及ぶ可能性はありますし、そうあってほしいと思います。

--Intelは2年前にもViivのような取り組みを行ったことがあります。E-PCがそれです。しかし、E-PCの売れ行きは芳しくありませんでした。市場がViivを受け入れるとすれば、前回とは何が変わったのですか。

 理由はいくつかあると思います。E-PCは新しいカテゴリを創出するものでしたが、それには多少の時間がかかります。テクノロジー業界の人間は、新しい技術の普及を過大に期待し、古い技術の衰退を過小に評価するものです。また、E-PCの多くは家電製品(CE)にあるべき機能を備えていませんでした。当社はこれらの機能の実現に取り組み、Viivでそれを実現しました。

 家電製品と聞いて、人々が思い浮かべる特徴のひとつは、ボタンを押せばすぐに利用できるというものではないでしょうか。テレビはその良い例です。しかし、PCの場合はボタンを押してから、利用できるようになるまでに30秒はかかります。家電製品では、そのようなことは許されません。当社は技術を応用してこの問題の解決に取り組みました。Viivでは家電製品並みのスピードでシステムを起動できるようになっているはずです。

--最近、海外出張には出かけられましたか。

 前回の出張では、まず中国に1日、台湾に2日滞在しました。台湾にはしばらく行っていなかったので、今後1年間のロードマップを説明しに行く必要がありました。その後は、一度米国に戻ってからロンドンに出発し、そこで1日を過ごした後、ポーランドのワルシャワに1日滞在しました。今年はおそらく20カ国から30カ国を訪問することになると思います。

--新興市場での売上はいかがですか。

 非常に好調です。新興市場の特徴のひとつは、a)ITの普及率の低さと、b)現地企業や外国投資が牽引する驚異的な成長率が共存していることです。もうひとつの特徴は、住民が自分を向上させるための手段として、技術を自然に受け入れる傾向があること、そして政府がそれを支援していることです。

--インドと中国以外に、技術拠点が誕生する可能性があるのはどの国ですか。

 ロシアは中国やインドに匹敵する潜在能力を備えていると思います。国民の教育水準は高く、地域全体としてみれば、人口もかなりの数に上ります。

 ラテンアメリカも、全体として見ると、かなり大きな地域です。国内総生産(GDP)も悪くありません。たとえば、アルゼンチンには巨大なソフトウェア産業が存在します。実際、当社はまもなくアルゼンチンにソフトウェアに特化した研究所を開設する予定です。中東に目を転じれば、エジプトには工学関連の基盤が整っています。エジプトはアラビア語圏の開発ハブのような存在であり、優秀な人材が大量に揃っています。

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