ゲイツ&バルマー:「戦闘準備は万端」 - (page 2)

文:Ina Fried and Michael Kanellos (CNET News.com)
翻訳校正:尾本香里(編集部)
2006年01月13日 22時33分

--新興企業やGoogleなどの大手企業は、Microsoftがパッケージの形で販売してきたソフトウェアと同等のものを、広告付きで提供しようと考えていると思いますか。

 Ballmer:もちろんです。

 Gates:そうでしょうね。しかし、それはいくつかの点で、問題の核心とずれているということもできます。当社のライバルは本当の意味でフリーなソフトウェアです。こうしたソフトウェアは、ユーザーに広告を押しつけたりしません。当社は信頼性が高く、革新的で、ユーザーが毎日何時間でも使いたいと思うソフトウェアを提供することによって、このようなソフトウェアと渡り合っています。広告を収入源とする企業は、本当の意味でフリーなソフトウェアを提供する企業よりもコストがかかります。そして当社は、本当の意味でフリーなソフトウェアを提供する企業からの挑戦を確実にかわしてきました。

 Ballmer:広告付きのOpen Officeは、これまでのOpen Officeより優れているといえるのでしょうか。

 Gates:広告を導入したとたんに、手強いライバルになるというのでしょうか。そんなおかしな話はありません。この業界では、詐欺のような発表が行われることがたまにあります。これもその1つでした。それを暴露したのはマスコミです。その最初のものは、SunとGoogleの具体的な提携内容を伝えた記事です。この記事を読んだ読者は、大いに落胆したものでした。

 Ballmer:当社は手強いライバル--もっとタフで、広告を利用することなく、本当の意味でフリーなソフトウェアを提供している企業と競うことによって鍛えられたといってもいいかもしれません。

--Googleについてはいかがですか。

 Ballmer:あれは何といったかな・・・そう、「金槌を持った人間には、あらゆるものが釘に見える」という表現があります。広告を売る人間には、すべてが広告の問題であるように見えるものです。人々は当社についても、同じようなことを思っています。Microsoftは金を集める方法、ソフトウェアに課金する方法を知っている。だから、あらゆるものに課金するはずだというわけです。ですから、あなたの質問には慎重に答えなければなりません。サブスクリプションモデルが適している場合もあれば、広告モデルが適している場合もあります。それと同じように、ユーザーがそれを完全に所有したいと考える場合もあるのです。

 当社の広告事業は今や、かなりの規模に達しています。広告事業の売上は10億ドルを超えていますが、今後はこの分野を徹底的に拡大していくつもりです。パッケージ事業も徹底的に拡大していくつもりです。それから、サブスクリプション事業は比較的小規模ですが、この事業も大きく育てたいと思っています。

 あらゆる競争相手に対抗するためには、この3つの力がすべて必要です。もっとも、このすべてを手に入れようとしているのは、当社くらいのものなのですが。

--しかし、広告事業をどうやって拡大するのですか。

 Ballmer:すぐにというわけにはいきません。まず理解する必要があるのは、広告は必ずしも検索とセットではないということです。検索は広告の配信に適した媒体ですが、優れた媒体は他にもあります。この2年間、当社は検索市場において、ほぼ一定のシェアを維持してきました。多少シェアを獲得した企業もありますが、当社は安定したシェアを確保し、堅調な成長を続けています。

 広告事業をどうやって拡大するのか、という問題ですが、コミュニケーションであれ、検索であれ、コンテンツであれ、そこに刺激的なエクスペリエンスがあれば、人々は参加したいと思うものです。

 したがって、われわれは引き続き、エクスペリエンスの拡大に取り組むつもりです。率直なところ、収益性を向上させる方法についてはどんどん洗練させることができると考えています。やり方は2つあります。1つは、企業が見せたいと思うものではなく、ユーザーが見たいと思う広告コンテンツを選り分けることです。この分野では、多くの作業が必要となるでしょう。もう1つは、オンラインエクスペリエンスをもっと向上させ、ユーザーがもっと長い時間をオンラインで過ごしたいと考えるようにすることです。滞在時間が長くなるほど、ユーザーに適した広告を表示するチャンスも増えます。

--検索をもっとおもしろく、魅力的なものにするためのアイデアはありますか。

 Gates:今日の検索は満足できるものではありません。検索には平均5分かかります。検索結果に表示された項目が、ユーザーの居場所から遠いのか、近いのかの判断もできません。「ピザ」と入力すると、1000マイル(約1610キロメートル)も離れた場所のピザ屋が検索される始末です。今日の検索は、ユーザーが製品の使用方法を調べようとしているのか、それとも購入前のアドバイスを得ようとしているのかを理解することができません。ユーザーは専門家なのか、過去のデータを調べようとしているのか、それとも最新のデータを求めているのか--こういったことを検索エンジンに理解させることは可能なはずです。

 Ballmer:そもそも、現在の検索の半分はユーザーが求めている情報を提供していません。

 Gates:今日の検索はパーソナライズされていないのです。検索に関しては、当社はいくつかの進歩を成し遂げました。ユーザーが求める情報との適合率はどんどん上がっています。サードパーティの専門能力を取り入れ、検索をプログラミングすることも可能になりました。

 今後数カ月は、検索分野でどのようなビジネスモデルの変更やソフトウェア関連のブレークスルーが可能かを検討していくつもりです。

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