ゲイツ&バルマー:「戦闘準備は万端」

文:Ina Fried and Michael Kanellos (CNET News.com)
翻訳校正:尾本香里(編集部)
2006年01月13日 22時33分

 ラスベガス発--今、Microsoftは遅れを取り戻そうとしている。

 聞き慣れない言葉かもしれない。しかし、Apple ComputerのiTunesやiPodであれ、あるいはGoogleの広告エンジンであれ、Microsoftの幹部は自分たちが後塵を拝していることを素直に認める。

 「2006 International CES」に先立ち、ラスベガスではMicrosoftの会長Bill GatesとCEOのSteve Ballmerが同席する珍しいインタビューが行われた。2人はライバルに追いつくための戦略を披露するとともに、ゲーム機戦争で巻き返しを図らなければならないのはソニーの側である理由を説明した。

 Windowsに関する話題では、両氏は、消費者がWindowsの次期バージョン「Vista」を手に入れたくなる理由を並べた。また、一部のソフトウェアが広告モデルに移行しつつあることについて、Windowsが近い将来に、無料でダウンロードできるようになることはないと牽制した。

 Microsoftのゲーム機Xbox 360に話が及ぶと、自分自身や家族の感想など、両氏のプライベートが垣間見えるエピソードも飛び出した。

--いうまでもなく、どのWindowsのリリースでも、難しいのは一般ユーザーにそれが購入に値するものだと納得させることです。消費者市場での初期の売上を促進するのは、Vistaのどの機能だと思いますか。

 Gates:Vistaに関しては、その点はかなり楽観できると思います。ユーザーインターフェースにくまなく埋め込まれた検索、使いやすいタグ機能・・・。Vistaでは写真や音楽にタグやランクを付けることで、情報を簡単に見つけ出すことができるようになります。DirectXの先進的なグラフィック機能を利用することで、ユーザーインターフェースも格段にスマートになるでしょう。

 市場には常に、複数の新しいWindowsオペレーティングシステム(OS)が存在してきました。ユーザーは新しいコンピュータを買うときに、こうしたWindowsを手に入れます。優れた製品を開発している限り、コンピュータメーカーは自社の新製品に最新のWindowsを速やかに搭載してくれるでしょうし、ユーザーはマシンをアップグレードしてくれるでしょう。

 Ballmer:Vistaでは、ユーザーのアップグレードは円滑に進むと思います。コンピュータメーカーと消費者製品のOEM(Original Equipment Manufacturers)メーカーは、Vistaを搭載した製品をVistaの発売と同時に市場に投入するからです。

--過去のリリースでは、アップグレードの大半はユーザーが最新バージョンのWindowsを搭載した新型コンピュータを購入したことによるものでした。

 Ballmer:数的にいえば、今回もそれが最大の要因になると思います。

 Gates:インストールベースでは、積極的にOSをアップグレードするのはユーザーの20%です。ほとんどの人は新しいコンピュータを買うときに、新しいOSにアップグレードします。

 Windowsデスクトップアドオン、最新のIEアドオン、最新のMedia Playerアドオン、Defenderアドオン・・・これらをインストールすれば、Vistaの機能の40%を実現することができます。このように、複数のアドオンを組み合わせるという方法はあっても、それを利用するユーザーは全体のごく一部に過ぎません。

--Windows LiveとOffice Live・・・この2つのサービスは、Microsoftの既存の製品を補完するものであり、Microsoftがすでにオンラインで提供しているものを、別の形で組み合わせたものです。Microsoftの代表的な製品、たとえばWorksやMoneyといったソフトウェアの広告付きバージョンを提供する必要はあると思いますか。また、その意思はありますか。

 Ballmer:Moneyでは、両方の要素が合体しつつあります。この製品は現在の状況を示す良い例です。Moneyはパッケージ製品であり、広告収入には頼っていません。しかし、Moneyにはオンラインサイトがあり、ここでは明らかに広告が重要な要素となっています。

 今後登場するのは、リッチなクライアントエクスペリエンスとサービスエクスペリエンスの組み合わせ、広告、サブスクリプション、従来型トランザクションの混合といったものだと思います。企業が社内の電子メールや文書のすべてを当社に委ねる方向に動いているとは思われません。そのようなことにはならないと思います。

 確かに、Office LiveとWindows Liveのエクスペリエンスには広告の要素が入るでしょう。しかし、Windowsがハードウェアにバンドルされるものから、ダウンロード可能なもの、ユーザーをオンライン環境に囲い込み、広告を配信するものになる気配はありません。しかし、今後はこうしたものを組み合わせることが重要になるでしょう。

--個人ユーザー向けのパッケージソフトウェア市場は行き詰まっているように見えます。パッケージ製品の廉価版を、広告付きで提供する可能性はありますか。

 Ballmer:確かに、広告付きで提供されるソフトウェアには消費者向けの製品が多くあります。ゲームはその1つです。従来型のゲームのどのくらいが、広告を収入源とするようになっているのかは分かりませんが、多くのPCユーザーはインターネットにアクセスし、無償で利用できる広告付きのゲームで遊ぶようになっています。一方、有償のPCゲームは(グラフィックの)リッチ化を迫られています。オンラインで広告付きのゲームを無償でプレーできるなら、安かろう悪かろうのローエンドのPCゲームを売ることは困難だからです。従来型の課金モデル、広告モデルなどの観点からすれば、これまでとは少し異なる組み合わせを目にすることになると思います。

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