S・バルマーが語る「マイクロソフトだからできること」 - (page 2)

Mike Ricciuti(CNET News.com)2005年11月16日 11時47分

--「Windows 95」は、インターネットブームとほぼ同時に登場するという幸運にめぐまれました。今はブログ、IM、ウェブメール、検索といったウェブベースのコンピューティングが勢いを得ています。Microsoftは「Windows Live」と「MSN」を携えて、この分野に参入しました。しかし、これらのサービスはVistaの成功に貢献するのでしょうか。「Vista」と「Windows Live」はどう連携するのですか。それとも、まだ発表されていないことがあるのですか。

 Windows LiveはどのバージョンのWindowsでも動くように設計されています。Windows LiveがVistaの成功に貢献するかどうかは分かりませんが、Vistaの特徴を活かしたサービスは登場します。しかしOffice 12と同様に、LiveはVista以外のWindowsでも利用することができます。

 当初、Officeの新バージョンはWindowsの新バージョン(Vista)と同時に、両者が補完し合うような形で発売するつもりでした。しかし、Vistaの開発計画が見直され、WinFSなどの機能を切り離すことになったため、この決定は変更されました。Windows LiveではVistaの新機能を活かしたサービスも提供されますから、Vistaの成功に貢献する可能性はあります。しかし、Liveと連携しなくても、Vistaは十分に成功を収めることができるはずです。

--Windows Liveと「Vista」の連係に関して、わたしたちの耳にまだ入っていない事項はありますか。

 Liveはサービスなので、今後はコンスタントに新しい発表を耳にすることになるでしょう。サービスベースのビジネスとはそういうものですから。現在は、例えば、Liveで「Avalon」を利用することなどを考えています。

--それでは、LiveのコンセプトをWindows Serverに適用することもあり得ますか。

 Windows Server向けのLiveサービスということですか。

 ええ、そうしたサービスが登場することは、想像に難くないと思います。Windows Liveがあり、「Office Live」があり、さらに「Xbox Live」があるのですから、次に何がLiveと連係しどういったものになるのか、答えは明白です。もちろん、実現までには多くの作業をこなす必要がありますが。

 Microsoftが実現した、アイデンティティおよび「Active Directory」と「Passport」の連係は、Windows ServerにLive機能を適用したものと言ってよいでしょう。しかし、何よりも重要なのは、開発者が、みずからのサーバで稼働させているアプリケーションと、Microsoftの(ネットワーク上の)クラウドベースサービスを連動させられるようになったことでしょう (関連記事)。

--Microsoftの財務諸表を見ると、依然としてクライアント部門とInformation Worker部門が売上高の半分以上と、利益の相当部分を占めています。均衡を取るために、今後の成長が期待されるのはどの部門ですか。Microsoft Business Solutions部門でしょうか、それともMSN部門でしょうか。

 私はそのような見方はしていません。重要なのは、成長の見込みのある分野に投資することです。では、成長率が最も高いのはどの事業かというと、Mobile & Embedded部門です。売上の絶対額は少なくても、成長率は群を抜いています。

 現在、われわれは2つの活動に対して対価を得ています。1つは適切な分野に投資すること、もう1つは、それらの投資をもとに効果的に事業を展開することです。現在、われわれは広い範囲に投資を行っています。Xbox 360では、製品のライフサイクルを通して、多額の利益をもたらすようなビジネスモデルを採用し、巨大な市場に挑んでいます。テレビ関連の事業も急速に成長しています。Windows部門とInformation Worker部門はきわめて規模が大きく、今後も長きにわたって当社の事業の柱となるでしょう。

 次にブレイクする可能性が高いのは、まずはLiveサービスとMSN、次がXboxとテレビ事業だと思います。これらの事業は当社に多額の売上をもたらすことになるでしょう。

--Windows Liveが発表された時、アナリストやオンラインメディアからは手厳しい意見も聞かれました。それと対照的に、Apple Computerのやることは通常、非常に好意的に受け止められます。Googleも同様です。こうした温度差を、腹立たしく感じるときはありますか。どうすれば状況を変えることができるのでしょうか。

 必ずしも、悪くとらえる必要はないと思います。率直にいえば、こうした反応はMicrosoftが他のどの企業よりも期待されていることの表れではないでしょうか。当社を批判する人々は、当社のことを熱心に考えてくれている人々でもあります。しかし、その要求に常に応えることは困難です。当社が大企業であることも、批判を受ける一因でしょう。Microsoftもかつては取るに足らない新興企業でした。最初の10年ほどは、われわれも人気者だったのです。

 Appleは新興企業ではありませんが、長いトンネルを抜けて、ようやく復活したということもあり、再び人々の人気を集めています。Googleは、企業としてはまだ初期の段階にあります。私は、Microsoftが良い仕事をしていると思っています。良い仕事、革新的な仕事、刺激的な仕事をしている限り、顧客はそれを見ています。アナリストのレポートがすべてではありません。顧客はMicrosoftが提供する実際の製品を見て、判断することになると思います。

--1年ほど前、あなたは低価格コンピュータ、いわゆる100ドルPCを実現することが業界にとっていかに重要かを説きました(関連記事)。最近ではMITのNick Negroponteや、Advanced Micro Devicesなどの企業が、低価格PCに積極的に取り組んでいます。低価格PCの実現に向けて、Microsoftは何をしていますか。

 まず、何を低価格にするのかをはっきりさせる必要があると思います。PCの価格を下げるのか、それともPCを利用するための価格を下げるのか。これは重要なことです。今では300ドルでPCを買うことができます。しかし、ブロードバンド接続には年間400ドルかかる。つまり、ブロードバンド接続の方がコストがかかっているのです。新興市場でも、ブロードバンド接続を手に入れるためには年間約150〜200ドルが必要です。

 ハードウェア、ソフトウェア、そしてサービスのバリュー・プロポジションを総合的に考えなければなりません。ハードウェア、ソフトウェア、コネクティビティ、ビジネスモデル--あらゆる面で解決すべき問題があり、当社はそのすべてに積極的に関与しています。Starter Editionやその他の実験的な試みはその一例です。コンピューティングの普及が万人の願いだとすれば、万人にとっての課題は、複数のプロポジションから、総合的に状況を判断することです。新興国の世帯が安価なPCを手に入れたからといって、インターネット接続の費用までまかなうことができるとは限らないのです。

--今朝の講演では、ローエンドのホスティング市場に積極的に参入したいという話がありました。このような発言は、これまであまりなかったと思います。この市場にどのような魅力を感じているのですか。また、この市場ではどの企業がMicrosoftのライバルとなるのでしょうか。

 ポイントはサーバの数です。ローエンドのホスティング市場には多数のサーバがあります。Linuxサーバが最も多く利用されているのは、ローエンドのホスティング市場と、科学技術関連のコンピューティングです。

 どちらの領域でも、当社は市場のニーズに合った技術と取り組みを持っています。われわれは革新と優れた発想によって、この2つの重要市場での存在感を高めていきたいと思います。Microsoftにとって、これは大きな市場であると同時に、大きなチャンスでもあるのです。

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