「アイデア工場」の実現に挑戦するマイクロソフト元CTO - (page 4)

Michael Kanellos(CNET News.com)2005年05月24日 09時00分

--やけどをした本人は災難でしたが。

 記念の盾くらいは授与されたと思いますよ。しかし、ほとんどの発明家がその発明に見合った給与を得ていないことは事実です。

--知的財産権企業はロイヤリティ目当てに、適用範囲のはっきりしない特許を申請しているという批判があります。これについてどう思いますか。

 特許の質が問題とされていることは事実です。しかし、そのような主張をする人の多くは、その前から特許に反感を持っています。彼らはそう主張することで、特許制度に対する自分の立場を正当化しているのです。しかし、大半の特許はきわめて妥当なものだと思います。株式市場では、風変わりな企業やいかがわしい企業の株も取引されています。だからといって、すべての証券市場を避けるべきなのかというと、そんなことはないはずです。

--しかし、特許制度改革の必要性は繰り返し叫ばれています。状況を改善するための施策はないのでしょうか。

 イの一番にすべき事は、特許使用料を特許庁が利用できるようにすることです。連邦議会は特許使用料を他のことに流用する傾向があります。嘆かわしいことです。特許庁には莫大なニーズがあり、それは大勢の人が特許使用料を支払っていることからも明らかです。これらの収入は少なくとも、特許制度をよりよいものにするために、再投資されるべきではないでしょうか。

--特許審査官の給与も十分とはいえません。

 このように、特許に関しては改革の余地が多々あります。資金はここにとどめるべきなのです。特許審査官の給与を上げるべきです。給与に限らず、さまざまな問題に対処することで、特許制度を改善することができると思います。

--特許の強制実施権(訳注:政府が特許権の所有者以外に、特許権の使用を許可すること)についてはどう思われますか。これも繰り返し提案されているアイデアです。

 米国社会のどこを見ても、強制実施権のようなものは存在しません。唯一、似ているといえるのは土地収用です。これは政府が市民の財産を収用することであり、新しい高速道路などを建設するために、その土地がどうしても必要な場合、土地を政府に売却することを強制できる権利のことです。

--特許訴訟が企業を脅かしているという主張についてはどう思われますか。これらの主張は、80年代に騒がれた医療過誤危機(訳注:医療過誤訴訟の増加と賠償金の高騰により、医療関係者が保険を利用できなくなること)をほうふつとさせます。

 これはさらに不可思議です。この件については、われわれも調査を実施しました。確かに、特許関連訴訟は増えていますが、それと同時に特許の件数も増えている。それが理由だと思います。

 これらの訴訟のうち、製品を持たない知的財産権企業によるものはどれくらいあると思いますか。約2%です。では、大手技術企業によるものがどれくらいあるかというと、その割合もやはり約2%なのです。

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