--ご自身でも2つの財団を所有しておられますね。
ええ。今は非営利の活動にほぼ専念しています。OSAFとMitchell KaporFoundationのほかに、Level Playing Field Instituteという団体も運営しています。
--OSAFについてお伺いします。Chandlerとは何ですか。
Chandlerは個人情報管理ソフトウェアで、中心となる機能は電子メールとカレンダーです。連絡先、住所録、そしてタスクを管理する機能もあります。
Chandlerでは一貫して、全く何もないところからアプリケーションを設計することを目標としてきました。もちろん、Outlookのような見た目と機能を持つアプリケーションを、従来のやり方で作ることも可能でしたし、それが悪いというわけではありません。しかし先ほども申し上げた通り、我々の目標の1つは、ユーザーの経験を抜本的に改善するような革新的な方法を見つけることでした。この目標を達成できるかどうかが、このプロジェクトの成否を決めることになるでしょう。
--白紙状態からの設計ということ以外に、Chandlerの重要な戦略目標はありますか。
FirefoxがIEに対抗する強力なオープンソース製品の座を確立したように、ブラウザ以外の重要なアプリケーション分野で、既存製品に取って代わるソフトウェアを確立すること、そしてその製品の開発過程で何百万人ものユーザーと何千人もの開発者を引きつけること--これらの目標を、一気にではなく、段階的に達成していきたいと考えています。
--Chandlerの電子メールとカレンダーの機能は、MozillaがThunderbirdとSunbirdで取り組んでいるものとよく似ています。あなたは両方のグループに関与しているわけですが、活動に重複があるのでは。
確かに、ChandlerはThunderbirdと同じカテゴリに属するソフトウェアです。Sunbirdはシンプルなコミュニティ用カレンダーで、機能は限られており、堅牢ともいえません。MozillaはSunbirdにさまざまなものを加えて、Thunderbirdと統合しようとしています。
OSAFがChandlerで成し遂げようとしていることと比べると、Sunbirdの目標ははるかにつつましく、目指すところも違います。これは誰もが認めるところです。われわれはきわめて丁寧に作られた、しかし基本機能だけを備えたIMAPクライアントとカレンダーを提供したいと思っています。一方、情報を有機的に連携させ、PIMが管理する異種データを統合するといったことはChandlerの領分です。Outlookではユーザーのデータは異なる場所に格納されるので、データを十分に連携させることはできません。
--Mitchell Kapor FoundationとLevel Playing Field Initiativeはどちらも、社会、環境、そして教育の問題に取り組んでいます。これらの問題に対するハイテク業界の取り組みをどう評価しますか。
一概にはいえません。一般化するのは困難ですし、危険でもあります。社会的責任に取り組んでいる進歩的な企業はたくさんあります。それに、IT産業は大規模な環境破壊を引き起こす鉱業などとは違います。
しかし、企業の社会的責任を軽視するシリコンバレー的な態度が残っていることも否めません。こうした企業は「われわれは人々が金持ちになる手助けをしているのだ。慈善活動への支援は個人でやればいい」といっている。まったく無責 任です。
企業は従業員を雇っており、そこには「よき市民となる」というきわめて基本的な責任が伴うはずです。しかし、こうした態度はIT業界の主流とはなっていません。
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