M・ケイパー--オープンソース革命の真っただ中で - (page 2)

Paul Festa(CNET News.com)2005年01月27日 10時00分

--どういう意味ですか。なぜIEの改善にFirefoxのような製品が必要なのですか。

 そうでなければ、Microsoftが腰を上げ、製品を改善することはないからです。Mozilla Foundationに収益目標はありません。したがって、Firefoxであれ何であれ、ブラウザが改善されることが組織の成果になる。つまり Mozillaの基準に照らして、IEの根本的なセキュリティ問題が改善されたと考えられる場合は、それも1つの勝利とみなすわけです。もっとも、アナリストがこれを成功の基準に加えることはないでしょう。

 Microsoft製品以外に選択肢がないという状況には、企業も決して満足していません。この問題は以前から指摘されていましたが、企業が重視するすべての面でMicrosoft製品に匹敵し得るような、満足度の高い製品はありませんでした。

 Firefoxは法人市場を開拓しつつありますが、問題は「企業の反応」です。重要なのはFirefoxの経済性ではなく、Firefoxが企業のコンピューティングインフラの管理に貢献するかどうかです。Firefoxが実力以上の評価を得ているかどうかは、今後の展開をもとに判断しなければなりません。

--Mozilla Foundationで、あなたは具体的にどんな役割を果たしているのです か。

 肩書きは取締役会長です。仕事内容は一般的な営利企業や非営利団体の取締役と変わりません--日常業務には関与せず、組織全体の管理や、戦略的な方向性の決定に協力するというものです。ですから、(Mozilla Foundation代表の)Mitchell Bakerとは定期的に会っています。

--私はMozillaが誕生した頃から取材をしていますし、Mitchell Bakerとも何度も話をしたことがありますが、いまだに彼女のことはよく分かりません。

 残念ながら、彼女は過小評価されていると感じることが少なくありません。たとえば、このプロジェクトがまだNetscape/AOLの内部にあった頃、 AOLの幹部らは彼女に十分な敬意を払っていませんでした。彼女は本当に敬意を払われてしかるべき仕事をしていたと私は思います。Mozillaはとても面白い反面、複雑なプロジェクトであり、組織なのです。

 Mozillaはオープンソース界のハリー・ポッターでした。ご存じの通り、あの映画の冒頭ではハリーは叔父や叔母と一緒に暮らしています。彼らはハリーに何の敬意も払わず、家のなかに閉じこめていました。それと同じように、Mozillaも周囲から何度となく失敗の烙印を押されていました。こうした特異な厳しい状況のなかで、Mitchellはプロジェクトの先導役として、控えめながらもすばらしい仕事をしていると感じましたし、今もそう思っています。彼女の存在なくして、FirefoxとThunderbirdによる復活劇は実現しなかったでしょう。

 私は彼女のリーダーシップを尊敬しています。それはとても控えめで、カリスマ的とはいえない--Larry Ellisonとは正反対のスタイルです。しかし、彼女は数々の難局を見事に切り抜けてきました。私がMozillaに参加したのは、このプロジェクトを AOLから分離させたときのことです。

--そのいきさつを教えてください。

 当時から、このプロジェクトがAOLの内部にあるのはおかしいという意見はありました。しかしMozillaは産道の途中で身動きが取れなくなっていた。そこで私が仲介役、いわば助産婦の役割を果たすことができるのではないかということになりました。私はOSAFのMitchellのことも、AOL副会長のTed Leonsisのことも知っていたからです。当時のTedはAOL Time WarnerでAOL部門を担当おり、そし全体を見ている一握りの重役の1人でした。私はある会議で彼と偶然に顔を合わせ、話をしたのですが、このときの会話がことのきっかけとなったのです。われわれはMozillaを非営利団体として独立させるためのお膳立てをしました。1年半前のことです。

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