デルCEO：「iPodもIBMも恐れるに足らず」 - (page 3)

--Appleの新製品Mac miniをどう評価しますか。この製品はPC市場を変えるものになるでしょうか。

　おもしろい製品のようですから、一部で市場シェアを奪うかもしれません。しかし、世界的なPC市場におけるAppleのシェアはすでに大幅に縮小しています。しかも、Appleがこのところ成功を収めているのはコンピュータビジネスではなく、iPod関連の音楽ビジネスです。Mac miniは興味深い新製品かもしれませんが、業界をひっくり返すようなものにはならないでしょう。

--この数カ月、あなたはAdvanced Micro Devices（AMD）との提携をほのめかす発言を繰り返してきました。年内にAMDとの提携が実現すると考えてよいですか。

　それは分かりません。確かに、私はAMDの技術を高く評価する発言を明確に繰り返してきました。多くの分野で、AMDの技術は先進的なものだったからです。しかし、この世界は移り変わりが激しい。この四半期にはある会社が首位に立っていたが、次の四半期には別の会社が首位に立っているといったことも珍しくありません。われわれは自分たちが見たものに関して、その時点での感想を述べたまでです。現在でも、当社の最大のパートナーはIntelです。AMDと共同発表を行ったことはありませんし、計画中のものもありません。しかし、われわれは顧客に最高の技術を提供する方法を常に模索していますから、顧客が求めている技術があるなら、即座に採用するつもりです。しかし現在のところ、当社の主なターゲットは法人なので、AMDの技術に対する需要はありません。

--共和党と民主党、どちらを支持しますか。

　私は両方の陣営に献金をしていますが、どちらかといえば共和党に傾いているかもしれません。なぜなら、私は基本的に自由市場を支持する人間だからです。私は閉鎖市場をよしとしません。ブッシュ政権が直面している問題を考えると、対立する民主党候補には米国市場を閉鎖し、保護主義を掲げるおそれがありました。そうなれば、米国の成長と自由貿易を、この国が必要としている形で促進することはできなくなります。

--今回の津波災害では、Dellは企業としては最大規模の寄付を行いました。このような状況で、企業はどんな役割を果たすべきだと思いますか。

　支援の機会を得られたことは本当に光栄でした。われわれにはその責任があると思います。西欧諸国の人々は、自分たちがいかに恵まれているかを考える必要があります。被災地の人々は、津波に襲われる以前から、恵まれない状況で暮らしていました。今は1人ひとりが、そして可能であれば企業も、支援の手を差し伸べるべきだと思います。

--これは株主の倫理にも一致するのでしょうか。

　われわれは株主の資金も利用しましたが、従業員にも寄付を頼みました・・・つまり、今回の寄付は両者が共同で行った取り組みなのです。株主もこれを正当だと考え、寄付を申し出てくれました。われわれの行動を株主は誇りに思っているでしょうし、少なくとも取締役会はそう思っています。