ゲイツが我が家にやって来る(後編) - (page 3)

Michael Kanellos(CNET News.com)2005年01月18日 14時03分

--近年多くの人が特許や著作権といった知的財産権の改革や制限を主張しています。当初は一部の人だけでしたが、最近では大勢の人が「特許を見直すべきだ、著作権を見直すべきだ」と訴えている。その理由はなんでしょう。法的改革は必要だとお考えですか?

 いいえ。歴史をひもといても、世界経済で現在ほど知的財産が重視されたことはありません。共産主義者もかつてより少なくなりましたが、今は現代版の共産主義者ともいうべき人々が、様々な口実で音楽・映画・ソフトウェア製作者のインセンティブを取り除こうとしています。こうしたインセンティブは存在するべきではない、というのです。

 この議論はこれからも続くでしょう。もちろん、特許制度はいつでも修正できるものですし、米国の特許制度も例外ではありません。確かに、特許のなかには改革の足かせとなるものもある。しかし、米国がどの国よりも多くの企業を生み出し、雇用を創出することができたのは、この国に最良の知的財産権制度があったからです--私はそう確信しています。インセンティブ制度を抜きにして、競争力のある経済を実現することはできません。そして知的財産こそ、未来の製品を生み出すインセンティブ制度なのです。

--では、今後の10年、20年を考えたとき、テクノロジー産業が真剣に取り組むべき大きな問題は何だと思われますか。

 テクノロジービジネスが提供するのは「エンパワーメント」のツールです。人々が創造性を発揮し、交流するためのツールです。これには上限がありません。ですから、10年をかけてこれらのツールをさらに使いやすく、強力なものにするということは、十分にやる価値のあることです。たとえば、会議を開き、その内容を映像と音声で記録するとしましょう。議事録を作成し、関係者に周知し、各自に関係のある部分を見てもらう。今のところ、そのための技術はレベルの低いものばかりですが、これは解決できる問題です。

 複数の企業が関与するプロジェクトを管理する場合はどうでしょうか。データの漏洩を防ぎ、プロジェクトの進捗を追い、最新情報を把握する--そのための技術も、潜在的な可能性に比べると、きわめてレベルの低いものばかりです。

 われわれはOfficeファミリーによって、労働者の生産性を飛躍的に向上させたいと考えています。アイデアはいくらでもあります。現在の電話は相手がつかまらなかったり、話し中だったりして、効率のよいツールとはいえません。電子メールも不要な情報と必要な情報が混在し、情報整理が困難で、現時点ではとても効率的とはいえない。この分野ではBlog風の機能を取り入れることが非常に重要になるでしょう。

 経済のあらゆるセクターの生産性を高めるような、水平型の劇的な革新が起こる余地は十分にあります。それは科学的発見かもしれないし、ヘルスケア、工学、マーケティング、セールスに関するものかもしれない--いずれにしても、WindowsやOffice関連のツールは本来の半分も登場していません。

 これを家庭に当てはめると、映画、音楽、ゲームのアイデアが沸いてきます。この領域でもやはり、われわれはデジタルライフスタイルが提供し得るものの半分も提供できていないのです。

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