HPの「もう1人の女傑」はBPOに夢中

Ed Frauenheim(CNET News.com)2004年05月27日 10時00分

 Ann Livermoreの仕事はますます面白くなっている。

 今月初旬、Hewlett-Packard(HP)のLivermoreは、3年前から率いてきたサービス部門に加え、HPのハイエンド・コンピューティング事業も統括することになった。

 今回の組織変更は、HPのさまざまな製品をより効果的に大企業に売り込むことを目的の1つとしている。昨年度のHPの総収益730億ドルのうち、約120億ドルを稼ぎ出したLivermoreは、この再編によって、約280億ドルを稼ぐ部門のトップに就任した。

 もっとも、この「Technology Solutions Group」の長という職務でさえも、Livermoreにとっては役不足かもしれない。何と言っても、数年前にはHPのCEOの筆頭候補と目されていた人物なのだから。しかし、故郷ノースカロライナのなまりをかすかに感じさせながら話す社歴22年のベテラン社員Livermoreは、CEO選でCarly Fiorinaに敗れたことを「大昔の話」と言う。

 Livermoreは、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)などを統括する今の仕事に満足しているという。BPOは企業の給与支払や請求処理などを請け負う、注目の成長市場だ。HPは先日、Procter & Gambleとの財務・管理業務の委託契約を獲得し、この市場に参入した。

 CNET News.comはLivermoreにインタビューを行い、今回の組織変更とHPのBPO戦略、そしてLivermoreの役割について話を聞いた。

---組織変更を行ったのはなぜですか。

 Technology Solutions GroupではHPのさまざまな事業分野を扱うことになります。ストレージ事業やサーバ事業、ソフトウェア事業、そしてサービス事業もそうです。組織変更にあたって特に重視したのは、各カテゴリでHPが今後も市場シェアを伸ばし、リーダーシップを強化できるようにすること、それと同時に、HPのポートフォリオを武器に、特定の分野には強いがHPのような強みや能力を持っていない企業に対抗できるようにすることです。

---IBMの戦略と少し似ているのでは。IBMは1社ですべてを提供できることを売りものにしようとしています。

 決してIBMのようになろうとしているわけではありません。われわれはHPを業界のどの企業とも違うプレイヤー、パートナーと位置づけたいと思っています。両社の大きな違いは、システムインテグレータやソフトウェア企業とのパートナーシップの組み方にあります。パートナーであるMicrosoftやBEA、Oracle、Accenture、Deloitteといった企業とHPの関係を見れば、われわれがまったく違うやり方をしていることが分かるでしょう。こうしたパートナーシップの力が、市場でHPを際だたせる大きな要因となっています。HPは各社のセールス部門と協力し、相互にビジネスを創出しています。こうしたパートナーシップのもとでは、研究開発投資やセールスへの投資はまったく違う力を持つことになります。

---今回の組織変更に伴って人員削減を行う予定はありますか。

 ありません。今回の組織変更には3つの狙いがあります。1つは成長を加速すること、そしてセールス部門がHPのさまざまな製品やサービスの価値を、もっと容易に市場に訴求できるようにすることです。2つ目は、HPの構造と組織を簡略化することです。(コンパックを買収して)合併企業となってから2年が経過した今、プロセスや構造をもう少しシンプルにできるのではないかと思うようになりました。

 3つ目はセールス部門を統合し、顧客に今までより一層焦点をあてることです。

---直近の2つの四半期では、連続してサービスの成長率が会社全体の成長率を下回っていますね。

 直前の四半期(1月31日締め)を見ると、サービス事業のなかでもセグメントによって大きく成長率が異なることが分かります。具体的に言えば、第1四半期はコンサルティング事業とインテグレーション事業がマイナス成長となりました。

---10%のマイナスです。

 ええ、10%のマイナス成長でした。

---一方、マネージドサービスつまりアウトソースの分野は前年と比べて27%の伸びを記録しました。これはなぜですか。

 ポイントは2つあります。1つはHPがこの分野の「一流」プレイヤーであると認められるようになったこと。その結果、市場の態度がぐっと好意的になり、これまでよりも大きな契約を勝ち取ることができるようになりました。

 市場を俯瞰すると、HPはアウトソース事業を通して、企業の4つのニーズに応えられることが分かります。1つはコスト削減。企業はIT環境の管理・運営コストを削減する方法を求めています。

 2つ目は品質水準。品質やサービスの水準を高めるにはどうすればよいのか。特にグローバル企業の場合、地域によっては十分なサービス水準を実現できない場合があります。アジア、中国、あるいは東欧地域がそうかもしれません。特に成長率はきわめて高いが、成熟度はきわめて低い事業分野では、多くの企業や顧客が問題を抱えています。

 3つ目はリスク管理。企業はビジネスの継続性を確保し、セキュリティ問題が発生した場合の対処方法を明確にしなければなりません。4つ目は柔軟性や適応速度に関するもの。企業は社内のIT環境を市場の変化に合わせて迅速に変えていくためのパートナーを求めていました。

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