MSNは「万人の心」をつかめるか

Stefanie Olsen(CNET News.com)2004年05月06日 10時00分

 MicrosoftのMSNでは「万人の心をつかむ」ことを目指しているというが、 同社でポータル戦略を統括するYusuf Mehdiと話していると、そんな野心的な目標も決して手の届かないものではない気がしてくる。

 先頃、MSN VideoやMSN Premiumを立ち上げたMehdiだが、今後もさらに新しいサービスをMSNに組み込むことを計画している。現時点でわかっているだけでも、次世代検索エンジンやApple ComputerのiTunesに似た音楽ダウンロードサービス、ソーシャルネットワーキングサービスが組み込まれるという。

 12年前にMicrosoftに入社し、以来駆け足で出世の階段を上ってきたMehdiだが、1990年代にはInternet ExplorerがNetscape Navigatorを打ち負かしたブラウザ戦争で重要な役割を果たし、大きな功績を挙げた。

 現在、Mehdiの仕事の大半を占めているのは、オンライン広告市場の復活への道を探ることだ。MSNは今後5年で、企業のメディア支出における自社のシェアを約4倍に拡大したいと考えている。1993年の設立以来ずっと赤字を続けていたMSNは、昨年第3四半期に初めて黒字に転じたが、この原動力となったのは目下話題の「検索エンジンマーケティング」だ。同社の発表によれば、MSNは昨年、商用検索を含めて10億ドルのインターネット広告収入を上げたという。

 CNET News.comは先頃、ワシントン州レドモンドのMicrosoft本社で、約500人の主要顧客を集めて行われたMSNの広告サミットの会場で、Mehdiに話を聞いた。

---新しい検索エンジンの開発・発表スケジュールを教えてください。

 まずはベータ版を提供することになります。1年以内に最初のバージョンをリリースする予定です。

---広告型検索技術の状況はいかがですか。

 われわれは、ブランド広告ビジネス向けの技術に莫大な金額を投じています。また独自の広告サーバを立てて、毎日何十億もの広告を提供しています。今のところはこの2つですが、今後どのようにこれらのサービスを拡大していくかを検討しているところです。広告主がもっと簡単に広告を掲示できるようにするべきだという意見はもっともです。現在、この分野を強化すべきか否かについて、いつくかの選択肢を評価しているところです。

---検索市場ではMicrosoft、Google、Yahooの3社が繰り広げる競争が大きな注目を集めています。Microsoftはこの市場でどんな位置を占めているのでしょうか。また、検索技術をどう進化させるつもりですか。

 われわれ自身は、Googleのライバルであるとは思っていません。しかし、GoogleとYahooがいつくかの点で熾烈な戦いをしているのは事実です。そして、われわれも今後両社と競争することになると思います。

 検索技術はまだまだ発展途上です。当社の調べによれば、検索を行うユーザーの2人に1人は質問に対する答えを得ていません。われわれは、こうしたユーザーの質問にもっと的確に答えられる仕組みを作りたいと考えています。理想は質問そのものに回答できるようになること、つまり「1ガロンは何カップか」「地球と月の距離は」「フェリーはいつ出航するのか」「株式市場の値上がり率上位10銘柄は」といった問いに答えられるようになることです。

---オペレーティングシステム(OS)とウェブ検索はどこまで一体化するのでしょうか。

 検索にはさまざまな側面があります。ローカルPC内の検索もあれば、イエローページのような検索もある。今日はまだ触れることもできないようなデータベースの奥深いところに保存されている情報を検索するウェブ検索もある。このすべてを慎重に見ていくつもりです。まずは数多くの分野でそれぞれ最高の検索サービスを実現したい。OSに大きな変更を加えるのはその後です。

---ドットコム全盛期以来、オンライン広告はどのように変わってきましたか。また今後はどんなテーマが重要になるのでしょうか。

 昔はバナーなどを掲示して、ウェブユーザーがそれを見てくれることを願っていました。従来の広告モデルをそのまま適用していたのです。しかし、現在では科学的知識やノウハウがふんだんに活用されるようになっています。

 インターネットがユーザーの生活に占める割合は、時間の面でも感覚の面でも、ぐんと大きくなりました。次世代のインターネットユーザーである12歳から21歳までの若者は、生活のなかで最も重要なメディアはインターネットだと言っています。つまり、インターネットが主流メディアとなっているわけです。

---音楽サービスを始める計画がありますね。これはiTunesのようなダウンロードサービスになるのでしょうか、それともRhapsodyのような会員制サービスになるのでしょうか。

 あらゆるモデルを検討するつもりです。私の考えでは、最初のモデルは会員制ではなく、iTunesのように曲単位、アルバム単位など、好きな形で楽曲を購入できるものになると思います。

---メジャーリーグ(MLB)の配信契約を結ばれましたが、この契約の重要性と、MSNの新サービスMSN Videoの長期戦略との関係を説明してください。

 この契約は消費者の興味と時間をMSNネットワークに引きつける、またとない機会になるでしょう。MLBの試合を中継することで、MSNへのトラフィックは増え、さらに多くのユーザーにリーチし、彼らを楽しませることができるようになります。

 われわれはオンライン広告も販売しており、MLBとの契約では、すべてのビデオ配信のオンライン広告枠を販売する権利を手にすることになります。ブロードバンドを使ったビデオ広告は、ブランド広告の次の波となるものです。そのため、われわれはこの貴重な財産を手に、フォーチュン500企業のもとに出向いて、ほかではできないようなブランド広告の提案をしています。

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