HPとコンパックの合併は正解だったか

Ian Fried(Staff Writer, CNET News.com)2003年05月08日 10時00分

 Compaq Computerの買収に際して株主の説得に長く苦しい戦いを強いられたHewlett-Packard(HP)は、事前の批判を覆すべく昨年1年間を2社の統合に費やした。

 HPの狙いは、買収によって会社の体質が強化されたとアピールすることだ。

 HPは合併によってハイエンドコンピュータ事業の収益性を確保すると共に、サービス事業のシェアを伸ばせると強調していた。CNET News.comでは、この合併が達成されてから1年後の各事業部門の現状を聞くべく、エンタープライズシステム部門のPeter Blackmoreとサービス部門のAnn Livermoreにインタビューを行った。

---まずHPの1年後の現状という一般的な質問から入りましょう。

Livermore:1年前を振り返ると、この2社がうまく統合されるのか、コスト面での相乗効果をもたらす事ができるのかといった点に疑問を呈する人がかなりいました。また、統合の過程で顧客への対応がおろそかになるのではないかと懸念を抱く人もいました。

 HPは合併の際に設定した目標、例えばコスト面での相乗効果、顧客・従業員満足度などを全て達成し、場合によっては期待を上回る成果をあげたと思います。

Blackmore:1年前、この合併は難しいという意見が大勢を占めていました。HPは顧客をつなぎとめることができるのか、製品群の統合は可能かといった疑問があったのです。しかし、今日の成果を見ればHPが目標を達したことは明らかで、顧客からも多くの賞賛を得ています。これは、HPとCompaqの合併であって、顧客の統合ではありません。彼らはその点を懸念していたのです。

 私達はブレークスルーを成し遂げました。一見単純そうですが、得意先の各社にそれぞれの取引先を選ぶよう指示したのです。これはとても意味のあることで、大変喜ばれました。またロードマップの統合も好調で、合併直後から非常に明確な方針の下で仕事が進みました。統合開始後の方針変更はなかったのです。これは当然のことのように聞こえますが、他の事例を見ると必ずしも当初の予定通りに物事が進まず、問題が起こることが多いのです。

---統合は予想以上にうまく進んでおり、コスト削減にも成功していますが、今後の業績拡大に関しては予断を許しませんね。HPはIBMやDellなどに対して優位に立っているのですか。業績はいつ頃になれば伸びるのでしょうか。

Blackmore:今、まさにそこが問われています。指摘すべき点としてまず、HPは年々成長を遂げています。ただ、市場から引き上げた製品もありますので、競合他社との正確な比較はできませんが。多少の変更はあったものの、HPのシェアは大変安定しており、伸び続けています。

---ここ2、3年間にどれだけの業務がインドへ移管されるのでしょうか。

Livermore:すでにインドでは約5000人が、アプリケーションの開発やサポート、その他ITサービス関連の仕事に携わっています。この国はHPのサービスデリバリーネットワークの中で欠かせない役割を果たすことでしょう。インドは技術を持つ人材、廉価なコスト、高度な品質を備えた資源基盤です。この3条件を合わせ持つ国や地域は大変優れた資源基盤になります。まだ具体的な数字は公開していませんが、今後インドでの業務量は相当拡大するでしょう。

---コストメリットがあるのですか。

Livermore:インドの教育・給与水準を考えると、そこで削減できるコストは相当な額になります。現在どの程度の給与を払っているか、欧米のどの地域で仕事をしているかにもよりますが、コストは3分の1から7分の1になります。

---買収統合により、HPはITサービス業界で4位以下を大きく引き離して第3位となりましたね。競合他社のうち1社は明らかに苦戦していますし、新たな合併吸収の噂も耳にします。HPもEDSとの話を進めているという報告がありますが、事実ですか。

Livermore:その話は私達に聞くよりも、EDSに聞いたほうがよいでしょう。この業界ではあらゆる形で整理統合が続くというのが私達の見解です。

---HPはEDSと話をしたのですか。

Livermore:EDSはHPの主要なパートナーであり、私達の開発した技術を販売している企業です。

---買収に関してはどうでしょう。

Livermore:ご承知のとおり、私達のポリシーはノーコメントです。

---今年度後半にエンタープライズ分野で収益を確保することが、主要戦略の一つであると以前おっしゃっていましたね。戦争などで経済の先行きが懸念されるなか、収益の確保は可能だとお考えですか。それとも不況が影を落とし始めているのでしょうか。

Blackmore:そのような事はありません。第3四半期からの連続上昇率は64%にのぼります。そして第4四半期から第1四半期にわたる上昇率は36%です。これまでの軌跡を見れば分かるように、我々は収益が確保できると強く信じています。

---統合に関する週1回の会議は、まだ続いていますか。

Blackmore:片付けなければならない問題はすでに85%以上完了しました。しかし、最初の11カ月では終わらない仕事もまだあります。ITの統合には時間がかかるのです。外からはなかなか見えにくいものですが、一夜にしてシステムを全て変換することは不可能です。

 2週間ごとに会議が開かれていますが、内容は業務関連に留まらず、業績の向上についても議論をしています。統合に関する討議は必要に応じて行っています。

Livermore:まだ統合されていないプロジェクトを担当する人員が各部署に配属されています。しかし、その数は現在かなり少なくなっているのです。

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