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「日本人にはBlogより日記」、はてなの人気に迫る

2003/04/11 10:08
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 京都駅から車で10分程度のところに立つ京都リサーチパーク。ここにはメールマガジン配信を手がけるまぐまぐをはじめとして、有力ベンチャーが数多く集まっている。その一角に、「はてな」という企業がある。

 はてなは2001年7月に創業された、まだ新しい企業だ。しかし、創業当初からユニークで使い勝手のよいオンラインサービスを次々と発表し、2003年3月末には月間のアクセス数が合計1265万ページビューを超えるなど、急成長を続けている。

 はてなが提供するサービスは主に3つ。ユーザーの質問に対し、他のユーザーが参考となるURLを紹介する有料Q&Aサービス「人力検索サイト はてな」、ユーザーが登録したサイトを自動巡回して更新状況をメールで通知するほか、登録されたサイトから自分の趣味に近い他のユーザーの登録リストを自動的に紹介し、他のユーザーの登録サイトを自分のリストに移植できる無料アンテナサービス「はてなアンテナ」、ユーザーが作成した用語データベースと日記中のキーワードをリンクさせ、同じ用語を使った日記同士をつなげる機能を持つ無料ウェブ日記サービス「はてなダイアリー」である。これらの開発を担当するはてな代表の近藤淳也氏に、サービス開発への思いと今後の展開について話を聞いた。

---次々にユニークなサービスを開発されていますが、どのようなことを考えてサービスを企画されていますか?

 根底には、インターネットを使って個人の生活を豊かにしたいという思いがあります。電話や車を始め、新しい技術は良い面と悪い面が常にあります。しかし、技術ができたおかげで生活が豊かになる、例えば今まで行けなかったところに行けるようになる。そういった技術の成果が重要だと考えています。

 インターネットを一般の人が利用するようになったのはここ数年のことです。インターネットにはまだいろいろな可能性があると思いますので、その可能性を実現するようなことをやっていきたいと思っています。

---近藤さんのバックグラウンドについて教えてください。

 1994年に京都大学の理学部に入学し、地球物理を専攻していました。大学のときは自転車と写真に夢中でしたね。写真関連の仕事をしていたこともあります。その後、大学院へ進み、2001年7月に起業しました。

 社員は現在、私とエンジニアが1名、それに私の妻の3人です。私とエンジニアが開発を行っていて、妻が文章などを書いています。エンジニアは私の高校時代からの友人です。

 運営側が安定していることがコミュニティにとっては重要です。それがコミュニティの雰囲気にも表れると思うのですが、そういう意味で夫婦というのは安定していていいと思っています。

---開発をご自身で行っているとのことですが、以前から経験があったのですか。

 もともと大学の研究で簡単なプログラムを書くことはありましたが、個人に向けたインターネットのサービスは経験がありませんでした。実際にはまず作りたい目的があって、そのために新しくプログラムを覚えたという感じですね。

---サービスを開発するためにウェブ構築の技術を習得するというのは、文系出身者がプログラマーとなり、技術を習得しながら開発した楽天の創業と似ていますね。

 文系と理系の融合というのは非常に重要だと思いますね。理系だけの思想だと一般ユーザーにまで広がらない、閉じたサービスになりがちです。そこは非常に気をつけています。

 技術的な見地からはいろいろなサービスが思いつきますが、ないよりもあったほうが便利だという理由でサービスをつけていくと、最終的にとても不便なものができ上がるというのはよくあることです。建築でいえば、「壁にニュースが出ていれば便利だ」とか、「家に帰ってきたときに玄関で電子メールが読めるといい」といったサービスを付けていくと、とんでもない家ができるようなものです。多機能だと逆に使いにくいこともあるように、相手の理解しやすい範囲を読み取ったり、相手の興味に合わせたりという心理学も含めた文系的な発想が、サービスを考える上では非常に重要だと思います。

---人力検索 はてなについて教えてください。

 サービスを思いついたきっかけは、私の父親がインターネットを始めたときのことです。父は初心者なので、非常に検索が下手でした。得意な人が探せばすぐ探せるものも、初心者ではなかなか探せないんです。インターネットにも104のような電話番号案内検索があって、小額の決済方法があればサービスとして成り立つのではないかと思い、「人力検索サイト はてな」のアイデアを考えました。

 はてなでは、質問する場合にまず、1ポイント1円でポイントを購入していただきます。質問者は1つの質問ごとに最低60円を回答者に支払っていただき、弊社では手数料の20円をいただいています。

 毎日数十件の質問がありますが、内容は個人の趣味が多いですね。最近面白かった質問としては、「モーニング娘。の加護ちゃんと辻ちゃんの区別のつけ方を教えてください」というのがありました。回答では判定訓練ソフトが紹介されていたようです。このように、質問をする人よりも、それをエンターテイメントとして見ている人のほうが多いですね。

---収益はどの程度ですか。

 ポイント購入がちょこちょこという感じで、最近は法人契約が増えてきています。月額980円から4680円で質問回数が無制限というものです。はてなでは5分程度で回答が返ってくることも多いので、自分で調べるよりも質問を投げている間に他の事をしたほうがいい、という感じでご利用いただいています。検索代行のようなビジネス用途が、有用かつ収益的にも可能性があるという気がしています。

---昨年はてなアンテナのサービスを開始されましたが、サービスの意図について教えてください。

 はてなアンテナは、大学生の頃に個人でフリーのアンテナソフトを使って、友人のホームページにある日記と掲示板の更新をチェックしていた体験が元になっています。友人達が自分のブックマークよりも私のアンテナをポータルサイトとして使っているのを見て、こういうサービスはポータルサイトとして成立するということに気づいたのです。

 ただ、それまでのアンテナサービスでは設定の変更が非常に面倒だったり、更新されたホームページの情報もタイトルぐらいしかわからなかったりと機能面に不満がありました。また、アンテナの設置も配布されているCGIを自分でインストールする必要がありました。そこで、機能面の改善を行い、誰でも簡単に利用できるASPの形式でサービスを提供すれば、多くの利用者を獲得できると考えたのです。

---変更を確認したい部分を指定できる点など、非常に高機能ですよね。

 簡単に使えるけど、やろうと思えば細かいことまでカスタマイズできる。そこが重要だと思っています。

---海外のサイトなどでは共通の書式でドキュメントの見出しや要約などのリストを提供し、サイトの更新情報を公開するXML/RSSでのデータ提供をしているところが多いですが、それについてはどのようにお考えですか?

 XMLによる外部へのデータ提供は、日本人の「引きこもり性」に合っていないのではないかと思うことがあります。自分のホームページのデータを誰でも勝手に使えるように公開するという方法と、日本人の持つ「ホームページ」という私物感とが相容れないのではないかと思うのです。海外では、ホームページを作成し公開するということは、万人に公開することだという認識があると思うのですが、日本では「我が家へようこそ」というのがホームページに対する認識ではないでしょうか。

 それは家の構造でも似ていると思います。日本の家屋の場合、「まず靴を脱いでください。ここからは我が家です」という感じですよね。でも海外では、個人の領域というのは部屋であって玄関ではない。靴で家の中に上がっていって、本当に靴を脱ぐのは部屋の中です。海外のウェブページというのは家の玄関と同じように、必ずしも個人の所有物ではないという意識があるのではないでしょうか。その辺の心理モデルではないですかね。

 例えばはてなアンテナでも、日記サイトを運営している人が「勝手に自分の日記をアンテナにのせるな」というケースがあります。自分が書いたものが勝手に世界中に広がっていくということが、日本人の心理モデルに合わないという根源的な問題がある。「自分の文章が勝手に他のところに掲載されている」という感覚ですね。そういった著作権の問題とXMLの問題は関連があると思います。

---将来的にXMLやRSSでサービスを提供する可能性はありますか。

 特に必要性を感じていませんでしたが、規格としては問題ないと思っています。オープンで優れた規格がすでにあるのならば、独自のものにはこだわりません。例えば、はてなダイアリーでは各日記の開設者がデザインをスタイルシートで変更できますが、これはtDiaryと同じ規格になっています。はてな自身もPerlなど無料で公開されている様々なものを利用していますので、オープンソース的な流れには反抗したくないというか、背を向けられないと思っています。

---今年の3月にサービスを開始した、はてなダイアリーについて教えてください。

 当初から有料サービスに対する疑問というのは若干あったのですが、やはりはてなの会員の伸びが当初の目標に達しないので、コミュニティとして成り立たせるためには無料サービスもあったほうがいいと考え始めました。また、その時にはすでに、はてなダイアリーのようなものをやれば人が集まるだろうというアイデアもありました。

---他のどんなサイトを参考にしたのですか。

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