最終更新時刻:2008年5月12日(月) 13時39分

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【斑鳩】こんなドキドキが味わえるのは、開発者冥利に尽きます--トレジャー前川社長インタビュー

小川陽平(GameSpot Japan)

2008/04/10 20:00  

斑鳩

 さて、前回の「バンガイオー魂」のインタビューから時間が経ってしまったが、前川氏のインタビュー第2回をお送りしたい。
 いよいよ配信開始された「斑鳩」は、なぜXbox Live アーケードでリリースが決まったのか。そして、なんでこんなにリリースまでに時間がかかったのか。さらに、今後のトレジャータイトルはどのようなプラットホームを健闘しているのか。

 まず、なぜ「斑鳩」をXbox Live アーケードでリリースすることにしたのか、その経緯について伺った。


斑鳩

「それはやっぱり要望が多かったというのが1つ。あと、やっぱりネームバリューがないと"Xbox Live アーケード"や"バーチャルコンソール"でも厳しいというのが現状で、ウチのタイトルでバリューがあるものとして、斑鳩を持ってくるのは妥当だろうと。コレで失敗したら先がないなあ(笑)、とも思ってます。

 プラットホームについては、斑鳩の海外展開を考えていたときにドリームキャスト(DC)がなくなっちゃって(苦笑)、やむを得ず急きょゲームキューブ(GC)版を制作したという経緯があり、Wiiユーザーは普通にGC版をWiiで遊んでもらえますのでXbox Live アーケードでのリリースは、迷うことなく決意しました」


 プラットホームと販売方法がXbox Live アーケードとなることについてはすんなり決まったとのことだが、発表から配信まではかなりの時間がかかってしまった「斑鳩」。なぜ、それほどまでに時間がかかってしまったのだろう。

斑鳩

「これはまあ、いろいろ理由があったんですが……(苦笑)。

 1つは、開発チームのこだわりですね。
 ぶっちゃけ、最初は、まずベタ移植部分を外注に出すことも考えたんですけれど、やっぱり思い入れがあるタイトルですし、Xbox Live アーケード1作目ということでヘタな物は出せないですし、何よりも開発スタッフが自分たちで作りたいといってきたんですね。
 だから社内で丁寧に、かつ気合いを入れて作りました。本当は半年で作る予定だったんですが、結局2年くらいいじってまして、最後には「いつまでいじってるんだ?」って事になってましたね(笑)。

 ただ、DCやGCから、ゲームそのものは変わっていません。基本は忠実な移植が最も重要な部分ですから。
 でも、細かい所まで手を入れてあります。グラフィックも出力がD4端子がスタンダードになったんで全データ調整しなおしたり、やはりネットワーク2P協力プレイも入れたいとか、縦画面モードも入れるならしっかりとした仕様で入れたいとか。こういうネタが、もうホントに山のようにある。

 でも、開発からもっと良くしたいといわれると 「しょーがないなあ、開発延期しよう」 って認めちゃうんですよね(苦笑)。やっぱり、こういうことができるからこその、自社ブランドなんですが、結果としてユーザーのみなさんを大変お待たせしてしまったことについては、反省しています。

斑鳩

 追加機能の中で一番大きいのは、リプレイ機能の実装だと思っています。2人同時プレイも新たな機能ではありますが、リプレイの方が嬉しいと思ってくれる人は多いのではないかと思います。

 確かに斑鳩のトッププレイヤーのプレイって、ものすごいんですよ。
 「うわ、そんなプレイするのか!」
 って見ていて声が上がるくらい。

 一応、敵キャラクターのセットは、あらかじめ計算されているので、開発チームもある程度の究極プレイは想定内なんですが、攻略DVD製作中のビデオを見ていたときにも、驚愕プレイに開発者も大笑いしてましたからね(笑)。

 攻略DVDには、成功率の低い危険なプレイを最後に収録しているんですが、そういうようなプレイも完全につなげられるようになれば、もうちょっとスコアは伸びるはずですけどね。

 ですから、Xbox Live版の斑鳩では、そういうものすごいプレイをするプレイヤー同士のせめぎ合いが見られるんじゃないかって、とても期待しています。だって、ワールドワイドで展開しますからね。まだ見たことのない海の向こうのスゴいプレイヤーが登場するかも知れない。こんなドキドキが味わえるのは、開発者冥利に尽きますよ。プレイだけでなく、リプレイもかなり楽しめると思っています。

 リリースが遅れたもう1つの理由は、仕方ないことなんですが、Xbox Live アーケードにタイトルが殺到しちゃってる事が一因ですね。

 ワールドワイドで見るとこれだけ大きなマーケットに成長しましたから、ものすごい多くのメーカーが注目してます。ですから、どうしても順番待ちみたいなことがおこって時間がかかってしまうのも事実です」


"今冬リリース"と発表していたため、2008年の冬なのでは? といわれたこともあったという「斑鳩」。ならば発売スケジュールについて見えやすいパッケージ販売は、視野に入れなかったのだろうか?

「それは考えませんでしたね。やっぱりXbox Live アーケードのワールドワイドが前提でしたから。

 別に"10万売れないと困る"という話ではなくて、普通に良作シューティングで国内3万本がコンスタントに狙える市場ならば良いのですが、今の国内市場で3万本を狙えるかどうかというと、やはり厳しい。

 セガサターンやDCで3万本売れればいいやと思ってレイディアント・シルバーガンや斑鳩は作っていましたが、今は状況が違うのでソコを自社で狙うのはリスキーすぎる。3万本予想が1万本とかになると、さすがにキツい(苦笑)。

斑鳩

 だったら海外販売でってことになるんですが、条件交渉や在庫リスクとか考えると、その選択肢もウチでは難しい。良い条件を出してくれる海外パブリッシャーに出会えればいいですが、それも難しいですし。

 ですから、バーチャルコンソールやXbox 360 ライブアーケードは粗利が小さいですけれど、ワールドワイドで出せるので可能性が高いんですよね。良作ならば、3万ダウンロードとか5万ダウンロードが軽く見えてくる。10万だって狙えるんです。

 しかも、在庫リスクもコントロールも必要ないですから、手間はかかりますが自社でもまかなうことができる。これはウチみたいな小さい会社にとってはありがたいです。

 それに、ユーザーさんもその辺りのリテラシーが高い人たちですから、ウェブできっちり情報配信していければ、それなりに知ってもらえる。

 条件交渉なんかもありませんから、唯一の関門は、マイクロソフトさんの企画承認が降りるかどうかですね(笑)」


 前川氏の言葉を聞く限り、ダウンロード販売は中小のソフトメーカーにとっては福音のように思える。しかし前川氏は、今後の競争はダウンロード販売でも苛烈になると見ている。

「心配しているのはタイトル数が増えすぎていくことなんですね。
 ユーザーが欲しいソフトにたどり着くのに、時間がかかっちゃうのはツライですよ。

 あと、当然ですが総タイトル数が増えれば、1タイトル当たりの売上げは減っていきます。例えば、バーチャルコンソールの立ち上げのときに出したガンスターヒーローズは、すごい勢いでダウンロードされビックリしたのですが、タイトルの増加にともなって、だんだん厳しくなっていくのではないかと思います。

 今はまだ大丈夫でしょうが、1000タイトル、2000タイトルとなってきたら個々のタイトルが目立ちにくくなっちゃう。この辺をどう解消するのかな? とは思いますね。

 やはり、ウチぐらいの規模の会社は、パッケージタイトルの開発受託をしながら、ダウンロード販売で自社タイトルをリリースしていくというのが、精一杯って感じですね」


 ダウンロード販売で久しぶりにメーカーとしての顔を見せたトレジャー。しかし、メインはパブリッシャーからの受注を受けて開発する、ディベロップメント事業だ。彼らの今後のタイトルは何が予定されているのだろう。

トレジャー 前川様インタビュー トレジャー 代表取締役社長 前川正人氏

「Wiiで2本作ってます! タイトルの内容については……すみません、カンベンしてください(苦笑)。

 え? 触ってみての感触ですか?
 うーん、Wiiはコントローラーに特徴があるので賛否両論ありますが、この辺りは時間が解決してくれると思うんですよ。ニンテンドーDSのときだって、最初は、
 「えー、2画面? しかもタッチペン? 良く考えて作らないとなあ〜」
 なんて言ってましたから。ですから、現状だと、今までと同じ作りのゲームを作りたいと思ったときに、Wiiリモコンが逆にネックになってしまう。

 アクションゲームをWiiでやろうとした場合、プレイヤーに縦振り・横振りとかしてもらうと、とてもじゃないけれどフレーム単位で入力が遅れたらアウト! なんてゲームは作れないじゃないですか(笑)。
 後は、照準を合わせるにしても、Wiiリモコンと普通のコントローラーとでは、ゲームが変わっちゃたり。

 だから、そういった部分をあらかじめ考えた上で、Wiiリモコンを活かした企画を考えなきゃならない。中途半端に使うとろくでもないことにしかならないので。

 今は、そういったノウハウというか新しいゲームの作り方を開発者が色々考えながら作っている時期だと思います。
 全てが従来通りにはいかないので、悩ましいっていったら悩ましいですね。クラシックコントローラーやGCコントローラー必須で作れば楽なんですが、いきなりWiiリモコン非対応では厳しいですしねえ(笑)」


やはり入力デバイスはパッドやジョイスティックがいいと語る前川氏。そういえば、2Dから3Dに開発体制が移行した頃にも「ウチは最後まで2Dでいきます」と語っていた。今後のトレジャーの作品作りは、どこを見ているのだろう?

「2D、3Dって話は、もう話し飽きちゃいましたが、やっぱり2Dは作り続けていきたいです。セガサターンが出た頃は"ずっと2Dでやっていきます!"なんて言い張ってましたからね(笑)。ただ、Wiiで作ってる2タイトルは3Dですし、据え置き機では3Dならではの良さを出しながら、ゲーム性を確立していく必要がありますね。

 世間一般のイメージとして、2Dより3Dの方が制作が大変っていうのがあると思うんですが、今のスペックのハードで2Dをやる方が、3Dのタイトルを作るより絶対にシンドイです。Xbox 360で2Dなんていったら、グラフィッカー倒れちゃう(苦笑)。

 でも、ニンテンドーDSをメインで遊んでいる小学生の子たちを見て思うのは、2Dとか3Dとか関係なく好きなゲームを遊んでいて、その中には結構、私たちが若い頃に遊んだり作ったりした昔ながらのスタイルのゲームも多いということです。そういう、昔ながらのゲームがもつ"面白さ"が子供たちに広がっていくのは、純粋に嬉しいですね。

 だから、喜んでもらえる限り、これまで通りの作り方でノウハウをぎっしり詰め込むことができる2Dタイトルは作り続けていきたいと思います。その方がウチのカラーが出せると思うんですよ。

 なんだかんだいって、20年近く2Dゲーム作ってますし(笑)」

【斑鳩】
配信日:好評配信中(2008年4月9日)
価格:800マイクロソフトポイント
プラットホーム:Xbox 360(Xbox Live アーケード)
ジャンル:シューティング

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トレジャー公式ホームページ
http://www.treasure-inc.co.jp/

トレジャー 前川氏インタビュー 第1回
【バンガイオー魂】僕らの作りたかったのはコレです--トレジャー前川社長インタビュー

(C) TREASURE 2001,2008

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