文:James Yu(GameSpot)
翻訳校正:アークコミュニケーションズ、大久保崇子
2008/01/15 10:00
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Advanced Micro Devices(AMD)は2007年11月、グラッフィクスメーカーATIとの合併後、初の2社共同製品となる「Spider」プラットフォームをリリースした。このSpiderプラットフォームは、「ATI Radeon HD 3800」シリーズGPU、「AMD Phenom」CPU、「AMD 7」シリーズマザーボードチップセットという3つの製品ラインで構成されるものだ。AMDはこれによって、プロセッサ、グラフィックス、マザーボードシステムプラットフォームの3つの主要機能すべてを、AMD製チップ搭載プラットフォームに初めて統合することに成功した。またSpiderは、AMDの最先端技術を結集したものとしても注目に値する。
ATI Radeon HD 3800グラフィックスチップは、パフォーマンスと電力効率の面で「Radeon HD 2900」シリーズに勝る。AMD 790チップセットラインは、マザーボードプラットフォームの「HyperTransport 3.0(HT 3.0)」「PCI Express 2.0」および「CrossFireX」クアッドGPU対応を可能にする。GPUの更新プログラムと新規チップセットが、ユーザーにとって常に喜ばしい存在であることに変わりないが、このプラットフォームのうち最も待望されている要素は、AMD Phenomプロセッサだ。
AMDは、過去4年間にPCゲームコミュニティーで多大なる信頼を得ている。その要因として挙げられるのは、強敵Intelにパフォーマンス面で差をつけるCPUをついに設計できたことだ。当時Intelの最高の切り札であった「Pentium 4」は、AMDの「Athlon 64」ラインによってパフォーマンス面で打ち負かされることとなった。Intelはその後、「Core 2」プロセッサラインを新たに発表することによってパフォーマンス面で首位の座を取り戻すことに成功した。しかし、AMDは既にゲーマー市場で支持基盤を固めており、AMDの最新プロセッサ、AMD Phenomは多くのゲーマーが首を長くして待ち焦がれる存在となっていた。
AMD Phenomプロセッサの特長は、AMDいわく「真のクアッドコア」設計だ。この設計では、Intelのクアッドコアプロセッサのように2つのデュアルコアプロセッシングユニットを横に並べるのではなく、4つのプロセッシングコアが1つのシリコンダイ上にすべて集積されている。1つのシリコンダイに4つのプロセッサをすべて集積することにより、Phenomチップ上の全コアが単一のL3キャッシュを共有できる。コアごとに専用のL1キャッシュとL2キャッシュがあることは以前と同じだが、L3キャッシュを共有することにより、各コアが共有データにアクセスするのにかかる時間を短縮して、マルチコアのパフォーマンスを向上させることができる。
Phenomには、電力効率を高めるための省電力機能が豊富に備わっている。このシステムでは、各コアの周波数を個別に調整し、CPUの未使用部分を自動的に無効にすることにより、電力消費量を削減することが可能だ。また、温度センサも搭載しているため、CPUファンの不具合時などに排熱がついていけなくなった場合は、プロセッサの速度が自動的に低下する仕組みになっている。
Athlon 64には、システムメモリのアクセスタイム短縮に役立つ統合メモリコントローラが内蔵されているが、この機能は、DDR2メモリコントローラをCPUダイ上に組み込むかたちでPhenomにも継承されている。新しい統合メモリコントローラでは、DDR2-400からDDR2-1066にいたるまでのDDR2メモリ速度を処理できる。また、HyperTransport 3.0のI/Oデータバスサポートも追加されている。これにより、プロセッサがHT 3.0対応のマザーボードに取り付けられている場合に、データ通信に使用できる帯域幅が大幅に拡大された。ただし、マザーボードをアップグレードしないとPhenomを使用できないわけではない。
Phenomは「Socket AM2+」チップだが、現行のSocket AM2対応マザーボードで実行できる。こうした下位互換性サポートにより、Socket AM2搭載Athlon 64のユーザーは、新規のマザーボードを購入しなくてもPhenomプロセッサにアップグレードできる(場合によっては、マザーボードBIOSの更新が必要となる)。ただしAMDでは、この下位互換性はさておいて、Phenom CPUと共にAMD 7シリーズのマザーボードが購入されるようになることを期待している。
AMD 7シリーズのチップセットは、Socket AM2+、HyperTransport 3.0、およびPCI Express 2.0のサポートを完備している。このシリーズには、超ハイエンドの「AMD 790FX」、ハイエンドの「AMD 790X」、メインストリームの「AMD 770」という3つの異なるチップセットが含まれる。これらチップセット間の主な違いは、それぞれがサポートするビデオカードの数だ。AMD 790FXは、「CrossFireX」構成で最大4枚のビデオカードをサポートする。一方、AMD 790Xは最大2枚のカードに対応し、AMD 770はシングルカードシステム用のチップセットとして導入される予定だ。
(Longer bars indicate better performance)
System Setup: Intel Core 2 Q6700, Intel Core 2 Duo E6700, Intel 975XBX2, AMD Phenom 9900, AMD Phenom 9600, ASUS M3A32-MVP Deluxe, 2GB Corsair XMS Memory (1GBx2), 750GB Seagate 7200.10 SATA Hard Disk Drive, Windows XP Professional SP2. Graphics Card: GeForce 8800 GTX, beta Nvidia ForceWare 169.09.
AMDからマザーボードメーカーには、「AMD OverDrive」という、CPU速度、メモリタイミング、電圧などの設定を調整するためのユーティリティが供給される。経験豊富なユーザーは、こまごまとしたオプションを駆使して、設定を詳細に調整することができる。また、初級ユーザー用の自動オーバークロック機能、「Auto Clock」も用意されている。
GameSpotでは、2.6GHzクアッドコアのAMD Phenom 9900と2.66GHzクアッドコアのIntel Core 2 Q6700をテストすることにより、2つのプロセッサのパフォーマンスをクロック単位で比較してみた。
今回行ったどのテストでも、軍配はIntel Core 2 Q6700に上がった。Intel製チップの場合、帯域幅が60MHz余分にあることは確かだが、クロック速度にいたるレベルではなく、パフォーマンスのギャップの大きさを説明するには足りない。また、デュアルコアとクアッドコア間のパフォーマンスの違いを調べるために、Intel Core 2 E6700もテスト対象に含められた。コア数の多さに起因するパフォーマンスの向上は、3DMark06 CPUベンチマーク、Valveパーティクルテスト、およびCrysis物理テストで特に明らかになった。
現在のPhenomチップ設計にはバグがある(もっともAMDでは、「誤り」を意味する「erratum」という表現を好んで使っているが)。そのため、4つのコアすべてで使用率が高くなる仮想モードでの実行時など、ごく一部の状況ではシステムがハングする可能性がある。コア向けのバグ修正プログラムは、2008年第1四半期中盤から後半にかけて出荷予定のPhenom 9700および9900も含め、すべてのPhenomプロセッサに適用される予定だ。マザーボードメーカーからは、現行のPhenomプロセッサでこの問題を解決するための新しいBIOS更新プログラムがまもなくリリースされるが、これに伴いパフォーマンスが多少低下することは避けられないだろう。
AMDはGameSpotに対し、この問題がきわめてまれであることを強調した。問題はめったに起こらないため、ユーザーはAMD OverDriveユーティリティを使ってバグ修正プログラムを無効にし、プロセッサのパフォーマンスを最大化することが可能だという。実際、今回テストしたAsus製マザーボードには、BIOS修正プログラムが適用されていなかったが、工場出荷時のBIOSを使用したPhenomエンジニアリングサンプルのベンチマークテストでは、システムの不安定性は一切認められなかった。テストの結果、Phenomはバグ修正の制約を受けることなくフル稼働することが明らかになっている。
ベンチマークテストの結果から判断すると、AMDがIntelに対抗していくには、Phenomのクロック速度を高めるか、価格を下げることが必要だと考えられ、AMDは現在、この両方のアプローチを少しずつ進めているようだ。AMDがGameSpotに語ったところによると、Phenom 9900は「350ドルを切る」価格で2008年春に発売されるという。それとは対照的に、Intel Core 2 Q6700の現行の販売価格は550ドルを少し下回る程度であり、Phenom 9900を迎え撃つIntelが今後値下げすることは十分に考えられる。AMDは、ほぼ同時期に2.4GHz Phenom 9700を「300ドル以下」で出荷することも予定している。現在、消費者市場では、2.2GHz Phenom 9500と2.3GHz Phenom 9600がそれぞれ約250ドルと275ドルで出回っている。
AMDのPhenomは、多くのAMDファンが待望したIntelキラーでないことは明白だ。アメリカバスケットボール界にたとえるならば、Lebron James選手のような輝かしい存在ではない。しかし、それと同時にKwame Brown選手のような期待はずれでないことも確かだ。このCPUに競争力があることは、テストの結果が示すとおりだ。AMDがクロック速度を高め、手ごろな価格水準を維持すれば、Phenomがスターの座に躍り出る可能性はきわめて高い。
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