文:Alex Navarro(GameSpot)
翻訳校正:アークコミュニケーションズ、大久保崇子
2008/02/25 13:54
バーンアウトパラダイスのビジュアルプレゼンテーションは、シリーズ最高の精細度を誇る。また、レースゲームにあるべきスピード感という点でも新しいスタンダードを確立している。このゲームの展開は非常に速いが、画面上のアクションがいかに激しかろうと、画面更新のフレームレートは「Xbox 360」と「PlayStation 3」のいずれのバージョンにおいても十分だ。破壊シーンをくまなくとらえたカメラワークとダイナミックなパーティクル効果のおかげで、臨場感あふれるカークラッシュアクションを再現できる。また、正面衝突時にアコーディオンのようにへし曲がるほか、ねじれたり折れ曲がったりするなど、車体の変形効果も抜群だ。ただし、前作に引き続き奇怪な印象を与えるのは、シティ内を走り回るどの車にもドライバーの姿がまったく見られないこと。開発元のCriterionが対象年齢10歳以上のE 10+レーティングを固守するために、傷だらけの遺体を画面に映したくないという事情はよくわかるが、それでもやはり80年代のTVアニメ「Turbo Teen」のシーンのように、無人車が走り回るというのには違和感を覚えてならない。
またバーンアウトパラダイスに関して注目すべきもう1つの点は、グラフィカル効果をフルに楽しむため以外の目的で、HDディスプレイが必要となるということだ。今回のレビューはSDテレビで行われたが、必死に目を凝らさないと、ミニマップはほとんど使い物にならなかった。ミニマップの精細度は、HDテレビで表示した場合に非常に高くなるが、SDテレビでは使うのが億劫に感じるほどだ。
プラットフォームに基づく2つのバージョン間の違いはほとんどない。PlayStation 3バージョンの方が360バージョンより多少鮮明に見えるが、視覚的な違いはせいぜいその程度だ。その反面、360バージョンは、サウンドトラックをカスタマイズできるという点で一歩リードしている。これによってユーザーは、販売元EAから提供されたお粗末な楽曲コレクションをカスタムサウンドトラックでかき消すことが可能になる。ハイエネルギーレースのテーマにぴったりの楽曲もいくつかあるが、大半は、耳障りでまったくしっくりとこないモダンロックばかりだ。Avril Lavigneの「Girlfriend」は、曲自体は迫力満点かもしれないが、ゲームの雰囲気には全然フィットしていない。また、前作のバーンアウトにも収録されていた、Criterion制作のオリジナルギターロックコレクションは、Joe Satriani氏の駄作ばかり寄せ集めたようなサウンドで、聞いていて不快に感じるだけだ。ゲームのさまざまなシーンでヒントを与えるために登場するDJは、プレーヤーが何かへまをするとあざ笑い、口達者に言葉を並べるばかりで、神経に障ることこのうえない。このDJは、話題に出すのも惜しまれるほどに不快な存在にもかかわらず、非表示にする設定が用意されていないというのだからお手上げだ。せめてもの救いは、サウンド効果が以前と同様に絶品なこと。車が大破したときの轟音やエンジンのうなり、タイヤのこすれる音は、リアリスティックなプレーをこの上なく盛り上げ、サラウンドスピーカーがあればいうことなしだ。
方向性を一新したバーンアウトパラダイスが一部のプレーヤーのお気に召さないことは大いに考えられる。バーンアウトシリーズの単なる続編を期待していたファンからは、特にそのような反応が返ってくるだろう。実際、パラダイスには続編的な要素が一切含まれておらず、一部のプレーヤーにとってはまったく対極的なゲーム体験となるかもしれない。しかしそれでも、今回の180度の方向転換を快く受け入れるプレーヤーが大半であろうと考えられる。オープンワールドデザインが採用されたことは、目新しさを狙ったいかさまな試みではない。このコンセプトが導入されたからこそ、高速ドライブと破壊アクションという、本シリーズ最大の魅力が失われずにすんだとさえ言える。バーンアウトパラダイスのデモを試してみて、ネガティブな印象を抱くプレーヤーは少なくないだろう。しかし、バーンアウトシリーズに少しでも愛着をもっているプレーヤーならば、フルゲームを試してから結論を出してもらいたい。バーンアウトパラダイスの奥は深く、デモを試しただけで、レースゲームとしてのその真価を探ることはできないのだ。
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