最終更新時刻:2008年7月7日(月) 10時48分

ゲームチャネル

抜け道、裏道を走り抜ける【バーンアウト パラダイス】レビュー

文:Alex Navarro(GameSpot)
翻訳校正:アークコミュニケーションズ、大久保崇子

2008/02/25 13:54  

 ゲーム開発元の間でよく使われる流行語の中で、「オープンワールドゲームプレー」ほど無意味になっているフレーズはほかにないだろう。というのも、オープンワールドゲームプレーはすでに飽きるほど多くのゲームに取り入れられており、開発元が新ゲームのセールスポイントとしてこのコンセプトを売り込んでいるときは、多少疑いの目を向ける必要さえある。その意味で、「バーンアウトパラダイス」のコンセプトが眉唾物に聞こえたとしても無理はない。そもそもバーンアウトといえば、あらかじめ決められたコースでレースを楽しむレースゲームとして位置づけられており、派手なクラッシュ体験を楽しむ同シリーズのプレー法にオープン環境がどのようなメリットをもたらすか、首をかしげる人は少なくないだろう。しかしどうやら、そのメリットは大いにあるようだ。開発元Criterionが今回つくりだした世界は、バーンアウトならではのゲームプレーにもってこいのシティ。このパラダイスシティは、プレーヤーの破壊欲を満たすことだけを目的に設計されたものだ。設計上の問題があちらこちらに見られることは確かだが、概して言えば、バーンアウトの名にふさわしいゲームプレーを斬新な感覚で楽しむことができる。

バーンアウト パラダイス
「バーンアウト パラダイス」はオープンワールドになっても、これまでと同様にバーンアウトならではのゲームプレーを満喫できる

 このゲームで一番注目すべき点はパラダイスシティそのものだ。タイトルの由来になったGuns 'N Rosesの楽曲(同グループのほかの楽曲をもじって「バーンアウト:ナイトトレイン」や「バーンアウト:ミスターブラウンストーン」などとしても、パラダイスシティほど聞こえがよくなかっただろう)も収録されたパラダイスシティは、一見したところ、お決まりのランドマークや何の変哲もない車の往来など、いたって平凡なレースゲームシティのように思える。しかし、パラダイスシティがレースして走り回るためだけの場所でないことは、プレーを始めればすぐにわかることだ。まっさらなスレートづくりの市街地はあたかも純白のキャンバス。プレーヤーは、想像上のマスターピースを思いどおりに描くことができる。パラダイスシティをあてもなく走り回るだけで、新しい道路や抜け道、破壊可能なオブジェクトが次々と表示される。また、ほとんどすべての十字路に新しいイベントが用意されており、クラッシュライセンス(このゲームの設計の中で唯一直線的に続く要素)の最高レベルまで到達した後も、あっと驚くような新鮮なイベントを体験することができる。

 バーンアウトがこれまで売りにしてきたレース感覚に慣れているプレーヤーにとって、ここまでの説明は少し新しいこと尽くめすぎるかもしれない。実際、最初はそう感じざるを得ないだろう。ゲーム内のチュートリアルには、イベントのタイプや基本的な操作方法がわかりやすく説明されているが、最初のうちは、さまざまな難関を切り抜けるのに役立つミニマップしか与えられない。もちろん、一時停止ボタンを頻繁に使って大型マップに頼ることもできるが、それも面倒だ。従来のバーンアウトで採用されていたコースベースのレースモデルに慣れているプレーヤーは、ゴールまでのベストルートを自分で見つけなければならない今回のモデルに多少の不安を感じるかもしれない。しかし、シティの細部を把握するまでには大して時間がかからないので、その点は安心だ。

 もちろん細部を把握できるようになるまでには、さまざまな試行錯誤が必要となるわけだが、たとえレースに負けても、スタートに戻って同じレースに何度も挑戦しなければならないとは限らない。バーンアウトパラダイスでは、どのレベルでどのイベントをプレーするかではなく、プレーヤーの感じるままにプレーすることに重点が置かれている。そのため、あるレースをクリアできなくても、フィニッシュラインの近くにほかのレースのスタートポイントが用意されている可能性が大いにあり、まだ挑戦していないレースがあれば、好きなレースを選んでライセンスのレベルアップを図ることができる。ゲームの終わりに近づき、大半のゲームイベントをクリアしたころには、レースのスタートポイントに戻るクイックリターン機能がないことを残念に感じるようになっているだろう。

 今までと違うゲームの仕組みは、最初はとっつきにくいかもしれないが、ひとたびプレーし始めれば、その魅力にすぐに気づくだろう。数時間続けて走り回っているだけでも、ゲームを着実に前に進めることができる。レースする気分でないときは、抜け道のゲートを突き破ったり、ビルボードを大破したりするだけでも十分に楽しく、これらのオブジェクトを破壊するたびにスコアもアップする。また、アンロックした車を追跡してクラッシュさせ、コレクションに加えることもできる。さらに、道路を選択して、それを自分のものにするためにチャレンジすることも可能だ。ゲーム内の主要道路には、それぞれ2種類のイベントが関連付けられている。タイムトライアルはその名のとおり、道路の一方の端からレースをスタートし、最短の時間で反対側まで到達しようというイベントだ。もう1つのショータイムイベントは、バーンアウトシリーズの前2作に入っていたクラッシュモードに取って代わるものとして位置づけられている。厳密に計算された車の流れの中から精巧なカークラッシュをつくりだすという意味で、クラッシュモードが一種のパズルのようなものであったのに対し、ショータイムはそれとは正反対のモード。ショータイムのカークラッシュは、周りの車を巻き込んでクラッシュさせることによって生み出される直感的な破壊シーンだ。

 ある意味、ショータイムモードは遊び心に満ちている。たとえば、いかに大きなダメージをライバルに与えられるかを目標としている点ではクラッシュモードと似ており、破壊する車のタイプによって、最終スコアに追加されるキャッシュボーナスは違ってくる。しかしその一方で、ブーストボタンを押すことによって、ダメージを受けた車体のシェルを動かし、ゴムボールのように跳ね回れるなど、遊び心も忘れてはいない。クラッシュモードのようなパズル的な要素は欠くかもしれないが、鳥肌の立つようなスリル感と抱腹絶倒の破壊プレーなら、ショータイムモードが群を抜いて優れている。クラッシュモードとショータイムモードは、どちらか一方をなくして他方がその代わりになるというわけではないので、両方のモードを共存させられればそれが一番なのだが、ショータイムモードだけでも存分に楽しめることは確実だ。

バーンアウト パラダイス
J.G. Ballard氏の小説にも出てこないような、性的興奮をもたらすカークラッシュシーンを収録している

 バーンアウトシリーズの前2作にあって本作にはない要素、または変更が加えられている要素も多数ある。たとえば、アフタータッチ(ぼろぼろになった自分の車をレース中にライバルの車にぶつけて、相手を倒す仕組み)がなくなったことは実に残念だ。アフタータッチがなくなったことで、レース中の破壊行為が単なる迷惑行為となり、それを逆手にとって楽しむチャンスはなくなってしまった。また、影響はさほど大きくないものの、トラフィックチェック機能もなくなっている。さらに、レース用の人工知能にも随所に調整が加えられた。ラバーバンディング現象はこれまでと同様に認められるものの、ゲームの展開が進んでレーサーの難度が高まると、フィニッシュライン寸前でライバルが突然負けるといったことは起きなくなった。全般的に見て、バーンアウトパラダイスは前2作より難度が低いが、後半ステージに向かうにつれてどんどん難しくなる。

 レース自体の興奮度はこれまでと同様だ。スリル満点のスタンダードレース。破壊アクションを存分に楽しめるロードレイジイベント。ジャンプやバレルロール、フラットスピンを駆使したスタントラン。フィニッシュライン寸前まで複数のライバルから破壊攻撃を仕掛けられるマークマンレース。タイムトライアルに挑戦して新しい車を獲得できるバーニングルートなど、挙げ出したらきりがない。しかし、ゲームデザインそのものの欠陥をあえて指摘するとすれば、それはおそらくイベントの種類が少なすぎることだろう。イベントやランダム要素の数は十分にあるものの、同じ種類のイベントや同じイベントを何度も繰り返し実行していると、そのうち退屈に感じるものだ。ライセンスがアップグレードされるたびに、バーニングルート以外のイベントは、すでにレースしたものも含めすべてリセットされるので、同じイベントに何度も挑戦しなければならない。イベントの種類が少なすぎるため、レースやマークマンイベントを繰り返し実行するうちに飽きてしまう可能性は否めない。

 ただし、シングルプレーヤーアクションに飽きたら、いつでもオンラインモードに切り替えて、ほかのユーザーと対戦できる。オンラインモードへの切り替えはいたってシームレスだ。Dパッドを押してオンラインメニューを表示するだけで、既存のゲームに参加するか、新規のゲームを作成するかを選択できる。バーンアウトパラダイスのオンラインバージョンは、前2作のそれと大きく異なる。ロビーメニューにアクセスしてレースを選択する以前のスタイルと異なり、今作ではパラダイスシティそのものがロビーになっている。また、ホストが攻撃内容を決定する間、プレーヤーは好きなようにアクションを楽しむことができる。

 ホストプレーヤーは、レースとチャレンジの両方の機能に基づいて、スタート地点とゴール地点を任意の場所に設定し、好きなようにレースをカスタマイズできる。チャレンジは全部で数百個用意されているが、プレーヤーの数によってその数が限られるという欠点もある。つまり、チャレンジの数は2プレーヤーの場合も、8プレーヤーの場合も、3〜7人の場合もいずれも50なので、2プレーヤー用のチャレンジをすべてクリアした後で、ほかのチャレンジもすべて制覇するには、3人、4人、5人というようにプレーヤーの数を増やしていかなければならない。オンラインゲームの対戦相手を多く持たないプレーヤーにとって、このことは足かせとなりかねない。しかし、少なくともチャレンジそのものはクリエイティブで楽しい内容になっており、ドリフトやクラッシュ、ジャンプなどをほかのプレーヤーと競い合うものから、互いに協力し合ってこれらのアクションを繰り広げるものまで実にさまざまだ。オンラインでプレーし合える友達がいれば、楽しさが倍増すること間違いなしと言える。

 また、オンラインモードに関しては、「PlayStation Eye」や「Xbox Live Vision Camera」を使って対戦相手の写真を撮影できることも注目に値する。カメラを接続してある対戦相手に見事打ち勝つと、相手のリアクションがマグショットとして撮影される。なんとも楽しい機能だが、ヌード画像を掲載するためにこの機能が濫用されることはおそらく避けられないだろう。

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