林信行
2007/09/04 11:00
9月15日正午開催の24時間連続イベント「Mozilla 24」。同イベントでは、世界各国の会場を繋ぐインターネット中継も目玉の1つになっている。インフラ部分で協力をしている慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)の「Global Studio」では、それに加えMozilla 24へのセッション参加も予定している。同スタジオの大川恵子氏は、このイベントにグローバル時代の社会のあるべき姿を重ねて見ているようだ。
シリーズインタビュー最終回となる今回は、引き続き大川氏にイベントへの抱負を伺うと共に、これからの地球市民が考えるべき課題について考えてみたいと思う。
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授大川:私には常々「学ぶ環境がグローバルになってきた」ということを、多くの人にアピールしたいという気持ちがあります。
DMC機構は「創造社会」をどうやってつくっていくかということを考える研究機関です。その中で「グローバル」という視点も無視できない重要な要素だと信じていますが、一方で「本当に海外から授業をしたいという人がいるのか」「そんな必要があるのか」といった声も聞こえてきます。
そうした中で「こうしたことが普通になっていく一歩」として今回のイベントをお見せできればと思っています。
大川:慶應義塾大学、スタンフォード大学、京都大学、九段会場そしてバンコクとパリの拠点はDVTS(Digital Video Transfer System)という動画配信技術で繋ぎます。またアジア諸国とはIPv6のマルチキャスト技術で繋ぎます。さらにハワイ大学にはポリコム(遠隔会議システム)で繋がってもらいます。これに加えて、なんらかの形でアフリカからも参加してもらえないか画策しています。
また、三田のDMC拠点から、インターネット経由で参加する個人向けの配信を行うことにより、街中から参加してもらう方法も画策中です。このようにいろいろな環境から接続できるようにしたいと思っています。技術プレゼンテーションではないのですが、どういう形でコミュニケーションができるのかということをアピールしつつ、スタジオコミュニティーも築いていきたいと思っています。
大川:「音」ですね。ただし、すごく難しいので成功しないことも多いです。
実は技術的な課題以外にも問題があります。それはアクセントの問題です。アジアでは一番西のネパールでも3時間15分ほどと、時差的にみても範囲は狭いのですが、この狭い範囲で非常にバラエティ豊かな英語が話されています。もっとも、こうした多様性は今後の世界規模のコミュニケーションの中で受け入れていかなければならないものだと思います。
大川:はい、私個人としてはこのイベントを通して、アジアの人々が世界にコントリビュート(貢献)するという感覚に目覚めてくれれば嬉しいですね。
これまでアジアの国々では、ネットワークの帯域が狭かったり、政治情勢の問題があったりといった理由で、国の中には活気があるのに、自らが世界に向けて情報発信していこうと考えるには難しいという背景がありました。そこでMozilla 24をきっかけにアジアの人々にも「世界にコントリビュートしていこう」と呼びかけていきたいと思っているんです。今回、同イベントのA-2枠で「SOI A+zilla」というイベントをやる予定です。
大川:私達はGlobal Studioとは別に「SOI Asia」という活動もしていて、現在12カ国の25大学と提携しています。
アジア諸国ではインターネット接続インフラが整っておらず、帯域が確保できないこともあるのですが、慶應大学湘南藤沢キャンパス(SFC)にアジア全域をカバーできる衛星アンテナがあって、それを利用してアジア全域に13Mbps片方向通信を利用したマルチキャスト動画配信ができるんです。グローバルスタジオとSOI AsiaはSFCをゲートウェイとして有機的に連携しています。先生の側が、ある程度の帯域を確保できる環境にいれば、そこからSFCに繋いでもらうことにより、アジア全域に対して授業をすることができます。
大川:アジアの人々にAdd-On Programを書いてもらうというものですが、プログラマーではない人にも参加して頂きたいので「今、流行しているもの」というテーマでビデオを制作してもらって投稿してもらうということも考えています。Add-Onの開発については先日、Mozilla Japanの方々に半日間の日本語によるワークショップを開催して頂いたので、それを聞いた人々が、その内容を英訳したワークショップを開催しました。