林信行
2007/07/17 11:00
連載の3回目となる今回は、米国Mozilla Foundation 理事 兼 有限責任中間法人Mozilla Japan理事である伊藤穰一氏をゲストに迎え、NPOを主体としたMozillaの特殊な組織体型とインターネット社会における役割・貢献について伊藤氏独自の視点から語って頂くと共に、Mozilla 24での目玉プロジェクトについて伺ってみた。
米国 Mozilla Foundation 理事伊藤:オープンソースプロジェクトには、BtoB(対企業)向けが多いですが、MozillaはFirefoxもThunderbirdも、一般ユーザーを対象にしたプロジェクトです。
このためMozillaのコミュニティーには、アーティストやデザイナー、ミュージシャンといった多彩な人がいて、Firefoxのためだったら喜んで協力するといってくれています。
日本であれば機能や豊富な拡張性に魅力を感じてFirefoxを使う人が多いですが、海外ではFirefoxは強いブランドを築いていて、「Firefox=クール」というイメージを持っている人達がたくさんいますね。
また、マイクロソフトと正面から勝負をして、一定の成果を上げているという部分が評価されて、反体制、カウンターカルチャーの象徴と見ている人もいるようで、その部分がミュージシャンなどエンジニア以外の人にも共感されているようです。
そのような人達の中には、Mozillaが非営利団体ということを知らない人も大勢います。
そこで、「IPO(株式公開)はいつ頃する予定ですか?」といった質問を受けることもたまにあります(笑)。
伊藤:そうかもしれませんね。ただ、収益モデルがあるNPOというのは決して珍しいことではありません。
例えばインターネットのドメインを登録しているICANNは、レジストラやレジストリから登録料を取って、その予算内で組織を動かしています。
PHPやMySQLでは、企業向けのコマーシャルライセンスを用意してオープンソースと並行して、有料販売モデルを用意しています。
Mozillaの収益モデルは、製品を利用してもらうことで発生するトラフィックです。このように収益モデルが明解ですっきりしていることも重要なポイントかもしれません。
伊藤:オープンソースプロジェクトとかインターネットには人それぞれの思い入れがあり、未来に繋がる夢が秘められているのではないでしょうか。
技術者としてインターネットを駆使し、人々にパワーを与えることで社会が良くなると信じている人もいれば、インターネットがテレビに取って代わると信じている人もいます。ただ、ソフトが便利だと思って使っている人には、そうした部分は感じとってもらえていないかもしれません。
1つのビジネスモデルだけを考え、ひと儲けをしようという人達とは根本の発想が違います。
例えばMozillaの思想に共感してくれる人はMozillaに寄付をして、そうした遺伝子を残そうとするのです。
Mozillaの場合で言えば、ミッチ・ケイパー氏が最初に大きな寄付をしてくれました。
特にもともとエンジニアだった投資家の中にはそのような人が多い気がします。成功した技術者の中には、常に自分が信じられるものを探して、それに対して先行投資をしようと考えている人が多い気がします。