最終更新時刻:2009年7月11日(土) 10時00分
The road to Mozilla 24

【第2回】ウェブブラウザの歴史とFirefox誕生との繋がり、Mozilla24の開催趣旨(後編)

林信行

2007/07/03 11:00  

 9月15日正午、Mozillaが主催する24時間連続イベント、「Mozilla 24 -Worldwide Continuous Event」が開催される。

 同イベントはインターネットの未来、あるべき理想像を追求する実験の場として、これまでにはない画期的なイベントになりそうだ。ウェブにおけるオープンソース文化をリードするMozillaらしく、会期中のイベント企画を一般から公募するという試みも行われている。

 前回はMozilla Japan理事の砂原秀樹氏と代表理事の瀧田佐登子氏にウェブブラウザの黎明期〜ウェブブラウザ戦争までの流れ、さらにはNetscape Communicatorのソースコード公開を皮切りに、Mozillaがオープンスタンダードな技術を元に全く新しいアーキテクチャを開発してきた経緯について伺った。

 今回はMozillaの視点から見るオープンソースの文化や経営論、そして「Mozilla 24」イベント誕生に至るきっかけや、どのようなイベントに発展させていくかといった話題について触れてみよう。

オープンソース化で再びウェブブラウザ戦争の舞台に

--Mozillaプロジェクトは、Firefoxをリリースしてからは一気に注目の的になりましたね。

有限責任中間法人 Mozilla Japan 代表理事 瀧田 佐登子 有限責任中間法人 Mozilla Japan
代表理事
瀧田 佐登子氏

瀧田:Netscapeがオープンソース化されたことで、エンジニアの一部の層から関心を寄せられているのは実感していましたが、それだけに、実はFirefoxをリリースした当初は、オープンソースという観点からエンジニア向けという印象が強くなってしまうのでは、と思いがありました。しかし、蓋を開けてみたら、我々の予想を裏切り、意外にもコンシューマーの皆さんに注目していただけたのは嬉しい誤算でした。

砂原:Firefoxが受け入れられたのは、オープンソースのおかげで、エンドユーザー寄りの視点の開発者が多数参加してくれて、よりユーザーのニーズに響く部分があったのかもしれないね。

瀧田:確かにユーザーの多くはオープンソースという概念を意識して使ってはおらず、セキュリティ面でも安心で、クールなイメージがあるし、無料ソフトと聞いたから…くらいの感覚なのかもしれませんが、それにしても、ブラウザというものに選択肢を与えて、ユーザー側が吟味して使うという時代になったことを実感しました。

砂原:ユーザー側も、もの選びの目が肥えてきているということでしょう。

瀧田:結果として、Firefoxが登場してきたことはInternet Explorerにとっても、良い刺激になったのではないかと思っています。それまでの競争がない時代、Internet Explorerは進化が遅かった。Firefoxの登場後、Internet ExplorerもやっといくつかFirefoxと同じ新機能を搭載しているバージョン 7 が出てきました。

砂原:競争もある意味、技術革新には必要な要素だということでしょう。

オープンソース化の強み

--オープンソース化することで、どのようなメリットがありましたか?

瀧田:まず貢献者からたくさんのフィードバックが返ってきます。コードに対しても1人より10人で見ることで色々な目、色々な発想が集まることにより、幅も広がり問題解決も早くなります。開発者間のコミュニケーションも枠を超えた形になり、企業での手法を外に出してワールドワイド規模の言ってみれば大会社になるようなものです。

奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授 兼 有限責任中間法人 Mozilla Japan 理事 砂原 秀樹氏 奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科 教授 兼
有限責任中間法人 Mozilla Japan 理事
砂原 秀樹氏

砂原:単にソースコードだけではなくて、多くの人々の知恵や、コミュニケーション、創意工夫、哲学といった要素を終結する社会実験みたいな側面がオープンソースプロジェクトには出てきましたね。

瀧田:オープンソースは、企業の枠をある意味超えるところでの発想が大事だと思います。それを企業に持ち帰って企業独自の色に変えることもありますが、そこに至るまでのプロセスが重要です。Mozillaのやり方は企業体に近いところがある気がしています。それに比べて他のオープンソースプロジェクトはもう少しコミュニティ的な印象が強いかもしれません。どちらが良いかについては賛否両論があると思いますが、1つの成功例として「こういうやり方もあるんだ」ということにはなるのではないでしょうか。

砂原:Mozillaが他のコミュニティと違ったのは、問題に直面したときの対処とかも含めてリリースエンジニアリングがしっかりできている事だと思います。いずれにしても昔からの組織論や経営学をやっている人には少しわかりづらい存在でしょうね。

重要なのは「だいたいの合意」

--Mozillaはどのような形でまとまっている組織でしょうか。

瀧田:Mozillaでは最低限のマインドの部分は共有していますが、それをどう行うかは個人の自由に任せています。何のためにやるかという理由も人それぞれで、単にコードを書きたいからという人もいれば、プロジェクトの一員として活躍したいという人もいます。

砂原:インターネットの世界には「We believe in rough consensus and running code.(我々はだいたいの合意と動くコードのみを信じます)」というマインドがずっと前からあります。偉い人が何を言ったかは関係なく、みんながそれぞれの意識と自由を持って仕事をしながら1つのものを作り上げていくというものです。

 そうした中で、エンジニア達もコミュニケーションの難しさや、「自由に取り組む」というやり方、「自由の裏側にある責任の取り方」といったことについて学んでいるように感じています。そうしたところから面白いものが生まれてくることも多いのです。

瀧田:9月に行なわれるMozilla24でも、そうした自由な発想を元に何か新しいものを生み出す実験の場として面白いイベントにしていければ良いですね。

INDEX

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ウソをつけないブラウザ、Firefox。
Mozilla 24 - Worldwide Continuous Event
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