最終更新時刻:2008年5月14日(水) 1時00分
The road to Mozilla 24

【第6回】バグ探しのおもしろさにはまってあっというまに8年〜大島秀夫・秀の介さん/Bugzilla-jp運営・ばぐじら救援通信発行〜

野々下裕子

2007/08/28 11:00  

トランクにわくわくドキドキ

「コミュニティーを支えるというよりは、仲間の力になりたいという思いが活動の継続につながっています」という大島さん。趣味のサッカーよりも活動にはまっていた頃もあったそうだ。現在もマイペースでコミュニティーを支え続けている。 「コミュニティーを支えるというよりは、仲間の力になりたいという思いが活動の継続につながっています」という大島さん。趣味のサッカーよりも活動にはまっていた頃もあったそうだ。現在もマイペースでコミュニティーを支え続けている。

 アプリケーションの開発にバグはつきものだ。どんなに頑張っても完全にバグを取り除くのは難しく、ソースコードを公開し、多くの人達にバグ探しを協力してもらうオープンソース型の開発スタイルが広まりつつある。Mozillaの開発も世界中にいる熱心な協力者たちによって支えられており、秀の介さんの愛称で親しまれている大島秀夫さんもそうした協力者の一人である。もじら組のメンバーが中心になって立ち上げられた「Bugzilla-jp」に創設から関わっており、FirefoxやThunderbirdなど、さまざまなMozilla製品のバグチェックを行なってきた。Linux(Debian)ユーザーであることから、バグ修正やテストを行なう際にユーザーとしてアドバイスするだけでなく、必要に応じてWindows環境もチェックするなど対応範囲は幅広く、日本の開発を影で支えてきた。

 「98年からLinuxを使い始めたんですが、使えるブラウザがほとんどなくて、99年ぐらいにSeaMonkey(Mozillaが開発するブラウザのコードネーム)が登場した時に、『おっ!これは使えそうかも』と思って、関連情報をウォッチするようになりました。その関係でMozillaコミュニティーの人達とも関わりができたんですが、バグのチェックを手伝うようになったのは、もじら組のメンバーが中心になって“Bugzilla-jp”を運営するという話があった時に、中心人物の小池和彦さんから手伝って欲しいと声をかけて頂いたのがきっかけです」

 Bugzilla-jpは、海外でバグやMozilla製品の開発情報を提供する「Bugzilla」の日本語版という位置付けにある。だが、あくまで運営は日本独自で進められており、スタッフの自主的な活動によって支えられている。当初大島さんは、ナイトリビルドと呼ばれる、夜な夜な開発者から発信されるリリースを追っかけたり、バグフィクスの動向をチェックすることから始めてほしいと言われた。そうした情報はほとんど英語で発信されているが、以前から英文の技術情報を読んでいたので、それほど負担ではなかった。それより手間がかかったのは、バグチェック作業用のためのツール探しだった。

 「Linux(Debian)ユーザーなので主にLinux環境のチェックを担当していますが、全体のユーザー数が少ないせいか、使えるツールのバージョンが古いままだったり、使える環境が限られていたりと、いろいろ苦労もあります。それなのにどうして続けられるのかと聞かれるのですが、実際にバグの修正にまで関われるというオープンソースならではの面白さにはまってしまったからなんです。気が付けば8年以上続いていて、いまや日課みたいなものになっています」

 現在、Mozillaでは正式リリースの前の開発中状態にある製品をTrunkと呼び、バグのチェックもTrunkの段階から行われる。大島さんの作業対象も、今はこのTrunkに対するバグチェックなどが中心だ。
「作業としてはTrunkをダウンロードして、ツールを使ってチェックにかけるんですが、作業結果が出るまでは宝探しみたいにわくわくドキドキしますよ。以前に、動作に致命的な問題があるバグを見つけたことがあるんですが、確認して報告するまでけっこう興奮しました。ただし、最近は製品が安定してほとんど大きなバグが見つからず、ユーザーとしてはありがたいことなのですが、探す側としては手応えがなくて、ちょっと淋しいところもあったりします(苦笑)」

仲間を助けたい気持ちが活動につながる

 さらに大島さんはバグチェックだけでなく、「ばぐじら救援通信」というmoz-usersのMLへ向けたメールマガジンを隔週ペースで配信している。Bugzilla-jpの近況報告をはじめ、重要だが対処に困っているバグなどについての情報をまとめたもので、「言い出しっぺが始める」という「ネットのお約束」にのっとり、2000年8月から自主的にスタートし、すでに発行号数は180号を越えている。

 「バグチェックをするようになってから、まったく未対応のバグがけっこうあることに気づき、それらにも目を向けてもらおうという意味で“救援通信”とネーミングしました。ただし、インターネットが使われ始めた頃はMLが情報収集の中心だったので、ニーズは高かったと思いますが、今では本家BugzillaやMDCなどを直接見るほうが情報としては正確ですし、情報の早さや量では個人で発信されているブログや掲示板のまとめサイトの方が便利だと感じています。最近ではFirefoxのユーザーが増えた影響か、重大なバグ情報はニュースサイトなどでも発信されるので、正直なところMLで情報を隔週単位で発信する必要があるかどうか迷っているところもあります。
 毎号の配信には苦労しているけれど、こちらもすでに習慣になっています。継続することにも意義があると思うので、今後は余裕があればもう少し視点を拡げて、Mozilla全体の開発傾向や周辺情報などといった情報や、読者のアイディアを取り入れられればいいですね」

 大島さん自身は、Mozillaの開発に取り組む日本人がもっと増えてほしいと考えている。日本語環境や日本人独自のネットの使い方に合わせた製品が開発されるには、日本からアイデアを出して、影響力を持つ必要があると感じているからだ。
「オープンソースを母体にしている団体の中でも、Mozillaはユニークな活動をしているし、個人やコミュニティーの声が開発に反映されやすいほうだと思います。つまり、頑張れば自分の成果を世界に知ってもらうチャンスがある。Linuxで使えるブラウザは事実上Firefoxしかないので、もっといいものを出してほしいという思いもあり、自分自身もいずれは何かの機会で開発のコアに関わることができればと思っています」

大島秀夫・秀の介さんの関連サイト

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