最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

現場のノウハウをそのままITへ--エンジニアと連携して、さらに事業拡大

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2010/02/26 15:00  

すべては FileMaker との出会いからはじまった

 東京・渋谷の大通りから消防署の角を曲がって坂を上ったところにあるのが、音楽制作機材や楽器、ノンリニアを中心とした映像編集機材の専門店「Rock oN 渋谷店」だ。店内にはさまざまな楽器や機材が、常時ハンズオンで触れられるようにディスプレイされている。

 このRock oN 渋谷店の店内で販売されているすべての商品は、1個1個にシリアルナンバーが付けられ、FileMakerによって構築されたデータベース(DB)で管理されている。単なる在庫管理にとどまらない、総合的かつ包括的な管理システムは、Rock oN 渋谷店を運営する株式会社メディア・インテグレーションの代表取締役・前田達哉氏が、自らの手でMacintosh Plusで動作するFileMakerで作り始めたのがきっかけだった。

メディア・インテグレーションの代表取締役・前田達哉氏

 「パソコンが普及しはじめて、FileMakerが登場したばかりの頃でした。それまでのDBよりもずっと簡単じゃないかと思って、まず在庫管理システムを作ってみたんです。この在庫管理DBを今日までに約20年間、ビジネスの成長に合わせて拡張してきました」(前田氏)

 8bit時代からのパソコン好きだった前田氏は、独学で在庫管理システムを作り上げていった。一般的な在庫管理システムを知らなかったため、個々の製品をCARD型シリアルナンバーで管理する独自の手法だ。

 「メジャーな方法ではかもしれないけれど、高額な制作機材が中心で、取り扱いが少数だから適した手法だと思いました。直感的に操作できるFileMakerの使いやすさのおかげで、システム開発の経験がない自分でも作れました」(前田氏)

 FileMakerはDBのフィールドを日常的に、柔軟に変更することができるため、新しいアイデアを思いつく度にシステムが拡張され、顧客管理システムや商品マスタが作られる際にも、その設計思想が生きてきた。店頭のレジ端末もMac上のFileMaker で動いており、キャッシュドロアーもFileMakerから開く仕組みになっている。タッチパネルにも対応するデザインなど、このシステムを作ること自体を前田氏が楽しんできたようにも見える。

FileMakerで構築したレジ端末

 個々の製品をシリアルナンバーで管理することで、副次的な効果も生まれた。販売した製品一つ一つが、いつ入荷し、どのスタッフがどのお客様に販売したものなのかが直ちにわかるトレーサビリティだ。高額な音楽制作機材においては、こういった情報を確認できることはお客様サービスにつながり、サポート品質に直結する。

 「コンピュータと言うよりも図書カード的な考え方で、ひとつの商品をひとつのカードとして在庫管理ができる。そこに他の情報のカードがリレーションしていき、さらにFileMakerの進化も伴って業務全般を管理する大規模なリレーショナルデータベースが構築されていった」(前田氏)

 この最初の在庫管理システムが、後のウェブストアを大幅にリニューアルする時にも利用されることになった。

前田氏からシステム管理を引き継いだメディア・インテグレーションの小林将臣氏

 FileMakerの機能向上にあわせて、前田氏は自らの手でシステムを拡張していき、ついにはウェブストアも構築してしまった。初期のウェブストアは、シンプルではあったが、セキュアな状態で基本情報を受け取る事ができた。

 そして、ECが普及するにつれて、オンライン決済やコンテンツ管理、より高度なセキュリティ対策などが求められるようになってきた。これ以上は専門家の手にゆだねる必要があると考えた前田氏は、初めて外部の事業者に依頼することを決断した。

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