一歩先行くクラウド活用術

クラウド時代のバックアップ要件とは--遠隔から「持たずに」実施へ

ZDNET Japan Staff2013年11月26日 07時45分

 システム障害やユーザーの操作ミス、広域災害など、システムやデータが使えなくなるようなリスクは常につきまとう。その損失に備えるためにバックアップは欠かせないが、普段は使われない、いざというときのための備えに対し、コストや運用性などが課題となっているのが現実だ。クラウド時代のバックアップについて考えてみよう。

 まず、バックアップについての課題を改めて整理する。

普段は使わないのに要件が厳しい


 バックアップされたデータは、基本的に「いざというときのための備え」でしかなく、普段は使われない。それゆえコストや運用の観点からみると「お荷物」ととらえられがちだ。特に大きな負担となるのが、バックアップのためのツールやバックアップ先のストレージを管理しなければならないことだろう。

 バックアップ対象となるデータは増え続けるため、バックアップ先のデータ容量も必要に応じて増加させなければならないし、正しくバックアップされていて、リストアできる状態であることを随時確認することも求められる。

 また、バックアップデータのセキュリティなども考慮しなくてはならない。そして、いざというときの保険のようなものだからこそ、その作業負担は軽く、ランニングコストが可能な限り安く抑えられていることも求められる。

 バックアップはデータの損失に備えるものだが、その原因としては広域災害なども考えられる。もしバックアップデータをシステムと同一拠点に置いていれば、拠点そのものが被災した際にバックアップデータまで損失してしまうリスクが残る。災害対策を考えれば遠隔バックアップが望ましいところだが、遠隔バックアップには設備や回線の負担が重くのしかかる。そこで、遠隔バックアップは勘定系や顧客情報など一部の重要データに限定し、他のデータは損失やむなし、といった折衷案のような運用をする企業もある。

クラウドへのバックアップに大きなメリット



 こうした課題に対し、近年では「クラウドバックアップ」あるいは「バックアップクラウドサービス」といった名称で、バックアップ先として利用できるクラウドサービスが続々登場している。バックアップ先となるストレージを自社で持つ必要がなく、遠隔地にあるデータセンターに手軽にバックアップできるサービスだ。クラウドサービスなら、事業者がシステム基盤を管理しているため、ユーザー側の運用負担は軽くて済み、基本的には使ったサービスの分だけ課金されるので、全体として低く抑えられる。

 またパフォーマンスも十分にあり、事業者側で複数のデータセンターに分散していることが多いので、広域災害にも強いといったメリットが得られる。

 クラウドバックアップには、Amazon Web ServicesやWindows Azureなどの外資系や国産のクラウド事業者が参入している。ストレージ仮想化ツールやバックアップツールを用いてユーザー側のストレージからクラウド上のストレージへ自動的にバックアップする、といった内容のものが一般的だ。

専用線、閉域網接続のサービスも


 もちろん、クラウドへの接続用に専用線や閉域網接続、VPNなどセキュアな回線とセットで用いることになる。その一例として、ニフティが2010年1月から提供しているIaaS型パブリッククラウドサービス「ニフティクラウド」のサービス内容を見てみよう。

 例えば「遠隔バックアップ for NetApp」というサービスでは、NetAppのストレージを利用しているユーザーを対象に、そのバックアップツール「SnapVault」や「SnapMirror」によってニフティ側のユーザー用ストレージ領域に直接バックアップするものだ。このツールの機能により、必要最低限のデータだけを転送したり、指定したタイミングでの「スナップショット」を複数作成するなど、効率的な管理が可能だ。初期費用5万2500円、月額料金は1TBあたり4万2000円、オプションで自動容量拡張サービスなども提供される。

 また、ニフティクラウド上に仮想サーバを持っているユーザーなら、バックアップ先のデータを読み取り専用モードで参照でき、分析などの業務に活用したり、広域災害などでメインのシステムが使えない場合にデータを閲覧したりといった使い方ができる。

クラウドストレージをバックアップ先に


 それとは別に、クラウドストレージをバックアップ先として利用するような使い方もある。ニフティの「ニフティクラウドストレージ」は1Gバイトあたり月額11.55円の料金で利用でき、ユーザーの持つファイルサーバから適切なツールを用いてバックアップ対象として使うことも可能だ。

 こちらはDBファイルなどの保管には使えないが、すでに基幹系のみ遠隔バックアップを施している企業などにとって、バックアップ対象から取り残されたファイルサーバを保護するのに役立つだろう。

 バックアップを目的としたサービスの選択に当たっては、用途に応じて、価格面はもちろん、ネットワークの安全性など提供者側の運営体制を見極める必要がある。

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