異種混合間の連携を可能にしたLinux管理ツール、オープンソースの「YaST」として提供

早川 由夏(レビューマガジン社)2004年03月23日 18時58分

 YaSTは、Linuxに関するあらゆるインターフェースとなることで、ハードやソフトを限定せず、異機種間による相互接続が実現する。YaSTは独SuSE Linuxの製品で、他社にはない特別な製品であるため、従来は競合他社の製品には提供されていなかったのだ。

 しかし、Novellが今年の1月にSuSE Linuxの買収を完了し、BrainShare 2004の開催に合わせた形で、GPL(General Public License)の管理の下、オープンソースとして提供することが決定したのだ。

 YaSTのオープンソース化により、従来は別々に管理されてきたNovell「ZENworks」「Ximian Red Carpet Enterprise」、HP「OpenView」、IBM「Tivoli」、CA「Unicenter」など様々なシステムを統合して管理できるようになったのだ。

 YaSTがオープンソースとなったことで、独立系のシステムベンダーは、YaSTを使ってあらゆるシステムと連携する環境を構築できるようになる。さらに、ソフトウェアやハードウェアの連携に制限がなくなったことで、顧客が要求するシステムを最優先に考えた効率的なソフトウェアを選択できるようになった。

 現在、YaSTは「SUSE LINUX」に組み込まれる形で提供されているが、今後は、様々なベンダーの製品の管理ツールとして組み込まれていく予定だ。

 YaSTの可能性はさらに広がる。YaSTは、様々なLinuxの管理に対して、GUIで操作できるようになる。そのため、複雑なインストールや各種の設定、ソフトウェアのバージョンアップなど、様々な作業が誰でも容易に行える。従来のLinuxは、各種の設定を行う際、アクセス手段がまちまちで、Linuxを管理するためにはある程度のスキルが要求されたのだ。しかし、YaSTを導入することで垣根が取り払われる。

 あらゆるソフトウェアとハードウェアの隙間を埋めるYaST。長年、競合他社の製品に導入されることがなかったという過去を持つだけに、オープンソース化に踏み切ったNovellの意気込みは、同社がLinux市場に本格的に取り組み、もう後戻りはしないという前向きな姿勢をあらわにしているようだ。

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