「iPad Proか、Surface Proか」の議論、Apple Payの拡大--Appleニュース一気読み

 11月17日~11月23日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。

iPad Proの成否は、アプリの対応次第

「iPad Pro」レビュー(第1回)–アーティスト目線で見た「Apple Pencil」スタイラス
「iPad Pro」レビュー(第1回)–アーティスト目線で見た「Apple Pencil」スタイラス

 iPad Proが発売され、じっくりと使ったレビューの掲載も始まった。iPad Proは12.9インチのRetinaディスプレイを備え、iPad Air 2の2枚分の画面サイズへと拡大された大型タブレットだ。薄型、長時間のバッテリ性能を確保し、iPadのデザインパターンとキャラクターを踏襲したモデルとなった。

 iPadはこれまで、家庭、そしてビジネスへの売り込みに力をおいてきた。iPad Proはよりビジネス寄りに力を入れているが、簡単な帳票作成や情報閲覧の用途ではなく、本格的な書類作成やクリエイティブツールとしての側面を強調した戦略を採っている点が新しい。

 カバーを兼ねたキーボードであるSmart Keyboardは、無接点接続でペアリングの煩わしさを軽減し、また無線で飛ばさないことによる情報漏洩リスクの低減など、セキュリティに気を配った機能性を確保している。

 そして、iPad Proをクリエイティブツールとして昇華させるのが、Apple Pencilだ。日本でも非常に品薄で手に入りにくいデバイスとなっているが、非常に軽く作られたBluetooth接続の新しいペン型デバイスは、筆圧を感知しながら滑らかに線を描ける。特に、ペン先が非常に細いため、ディスプレイ上でも細かい線入れの作業ができ、これまでのサードパーティー製のスタイラスと一線を画す。

 まずはAdobeのクリエイティブアプリケーションが先頭に立って、クリエイターへの訴求を行う一方で、MicrosoftはPowerPointでApple Pencilによる描画をサポートするなど、直感的かつ生産性の高いビジネスツールとしてのキャラクターを後押ししている。

 競合となるのはMicrosoft Surface Pro 4、そしてノートパソコンとして利用できる究極の2-in–1とも目されるSurface Bookだ。ペンの感触はどちらも非常に充実しており、好みの問題、というレベルに達している。

 また「iPad Proか、Surface Proか」という議論については、ワークフローで利用しているアプリ次第という回答が現実的な線だ。MicrosoftもAdobeも、Windows、Mac、iPad向けにアプリをリリースしている。

 Windows向けとMac向けにももちろん差異はあるし、Mac向けとiPad向けにも差異はある。ただし、WindowsのデスクトップやノートPC向けとSurfaceシリーズ向けの差異はないのだ。この点は、ワークフローという観点でのタッチデバイスの導入において、iPad Proの大きなマイナスポイントとなる。

 つまり普段使ってきたソフトウェアでそのままタッチデバイスやペンでの操作に対応できるWindowsに対して、異なる操作性となるMac版からiPad版への移行を乗り越えなければならないからだ。

 また、利用するアプリケーションはMicrosoftやAdobeのものだけではない。もしMacユーザーがiPad Proをワークフローに取り入れたいとき、Macで愛用しているアプリがiPad向けにリリースされていなければ、MacとiPadの双方を使い続けるワークフローを組まなければならないからだ。

 Tim Cook氏はiPadとMacの融合は顧客が望んでいないとして、将来的にもあり得ないとコメントを繰り返している。実際、Microsoftも、PCとタブレットの体験を両立させるというアプリの理想的な将来像について、取り組み始めたばかりで、さほど良い結果とはなっていないのが現実だ。

 いずれにしても、iPad Proの成否は、ワークフローに組み込まれているアプリの対応次第であり、Apple派より積極的な開発者支援に乗り出す必要性があると筆者は考えている。

アップルのクックCEO:「iPadとMacBookの融合した製品を顧客は求めていない」(11/17)
「iPad Pro」と「iPad mini 4」、画面性能を比較–DisplayMate調査(11/19)
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「iPad Pro」レビュー(第1回)–アーティスト目線で見た「Apple Pencil」スタイラス(11/20)
「iPad Pro」を写真で見る–アップル製大型タブレットのデザインと機能(11/20)
「Apple Pencil」、iFixitが分解–細いペン軸には小さな技術がぎっしり(11/20)

Apple Pay、カナダとオーストラリアで始まる

 Apple Payは2014年10月に米国でスタートし、2015年夏には英国でサービスが開始された。この2カ国は、各種カードブランド、各銀行発行のクレジットカードが利用できる。

 米国でも、利用できるカードの幅が拡大している。筆者は米国で、Costco提携のアメリカンエクスプレスカード、そしてFirst National Bank of Omahaが発行するJAL提携のマスターカードを所持している。

 いずれも提携カードだが、提携カードで利用できていたのはアメリカンエクスプレスだけだった。しかし最近になって、後者のカードもApple Payに登録できるようになり、ビザ、マスターカードでも提携カードでの利用が可能になりつつある。

 AppleはApple Payの普及で、アメリカンエクスプレスと提携を発表し、カナダ、オーストラリアで発行されているアメリカンエクスプレスカードでのApple Pay利用が可能になった。ただし、アメリカンエクスプレス自身が発行していないカードは、現在サポート外となっている。

 米国などの国や地域では、クレジットカードを発行する銀行と、カードブランドであるカード利用額の決済を行う銀行が分かれている。しかしアメリカンエクスプレスは、発行銀行と決済銀行を兼ねていることから、Apple Payへの対応にかかるシステム対応や交渉が比較的容易である点がポイントだ。

 ただし、米国でも、アメリカンエクスプレスは手数料の高さから、受け入れない小売り点も少なくない。日本でも、ビザ、マスターカードと比べれば、加盟店の数ではいささか不安を感じる。Appleとしては、ビザ、マスターカードとの提携も急ぐこと、発行銀行の対応や提携カードのサポートをより急ぐことが重要といえる。

「Apple Pay」、カナダで利用可能に–クレジットカード会社のサポートは限定的(11/17)
「Apple Pay」、オーストラリアでもサービス開始(11/20)

その他

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アップル、太陽エネルギーをシンガポールで社屋や新直営店に採用(11/17)
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