Appleの決算、気になるiPhone発売のタイミング--松村太郎のAppleニュース一気読み

 7月23日~7月28日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

画像で見る「OS X Yosemite」
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 Appleの2014年第3四半期決算が発表された。この期間に、開発者イベントWWDC14が開催され、アップルは秋にリリース予定の新OSであるiOS 8とOS X Yosemiteを披露した。ヘッドホンメーカーBeats買収などの大きな発表はあったものの、その他はMacBook AirやiMacといったMacの主力製品のサイレントアップデートで、大々的なイベントなどを開かず、ひっそりと、しかも低価格モデルを追加するという刷新を行った。

 新OSのリリースと、新たなiPhone/iPadなど、秋に向けて大きな発表を控える中で、Appleの現状はどうなっているのか、まずはそのニュースから先週の記事を振り返っていこう。

Appleの2014年第3四半期決算

 Appleの2014年第3四半期決算が発表された。利益等は堅調ながら、稼ぎ頭となっているiPhone、iPadの販売台数は予測を下回り、特にiPadは前年同期よりも9%の減少を受けた。Tim Cook CEOはこの減少について楽観視しており、その背景には先週お伝えしたIBMとのエンタープライズ分野での包括的な提携がある。しかしコンシューマ市場においてiPadは、タブレットの飽和と競争の激化、iPhoneほど短くない買い換えサイクルという問題を抱えている。

 決算に関するサマリーは以下の通り。

  • 利益は77億5000万ドル(1株あたり1.28ドル)。前年同期は69億ドル(1株あたり1.07ドル)から増加した。アナリスト予測の1株あたりの利益は1.23ドルでこれを上回った。
  • 売上高は6%増加の374億ドルでAppleの予測レンジ360~380億ドルと一致したが、アナリスト予測379億9000万ドルよりやや低かった。
  • 売上総利益率は39.4%で前年同期の36.9%より上昇し、この数字はAppleが予測していたレンジの37%~38%を上回った。しかしiPhone 5c、iPad mini、MacBook Airなどの低価格デバイスの人気から、2012年初頭の47.4%をピークに下落傾向だ。
  • iPhoneの販売は3520万台で前年同期の3120万台を上回ったが、アナリスト予測の3590万台は下回った。
  • iPadの販売は1330万台で、前年同期の1460万台を9%下回り、アナリスト予測の1440万台も下回った。
  • Macの販売は440万台と18%増加し、アナリスト予測の390万台を上回った。
  • iPodは292万台と、2014年第2四半期の276万台を上回った。
  • iTunesやApp Store等の売り上げは44.8億ドルで前年同期から12%増加。
  • 日本・米国での利益は前年同期比でそれぞれ1%増加、欧州は6%増加、米国・日本・中国を除くアジア太平洋地域は6%増加、中国では28%の増加だった。
アップルQ3決算、利益は堅調も「iPhone」販売台数は予測下回る(7/23)
アップルのクックCEO、「iPad」販売台数減も楽観視(7/23)

iPhoneのバックドア問題

 先週、AppleのiOSに、Appleや政府機関がデバイスに侵入しデータ収集を行えるいわゆる「バックドア」が存在することが指摘された。指摘したのは、犯罪科学の専門家で著述家のJonathan Zdziariski氏だ。バックアップパスワードのセキュリティをすり抜けられるため、プライバシーを危険にさらすと警告している。

 Appleはこれに対して、バックドアの組み込みを否定した上で、iOSに設けられている診断機能を詳細に説明し、政府機関に対して協力したことはないと主張した。

 セキュリティやプライバシーに敏感な先進国のユーザーだけでなく、中国は政府機関や政府系メディアが、こうしたセキュリティ懸念について喧伝しプレッシャーをかける。例えば7月上旬には、iPhoneの位置情報機能が安全保障を脅かすと報じられ、Appleは対応に追われた。中国は前述の決算からも明らかな通り、当面の高成長市場だからだ。

アップル、製品へのバックドア組み込みを否定(7/23)
アップル、iOSの「診断機能」について詳細を説明--バックドア組み込みの指摘受け(7/24)

iPhone発売のタイミング

 Appleは次世代iPhoneの生産を指示した、とWSJが伝えた。iPhone 5s/5cの初回注文は5000万台~6000万台で、この数字は第4四半期の最後と、翌年第1四半期の大半をまかなう数字だったが、2014年の秋から冬にかけては更に多い7000万台~8000万台を生産するようサプライヤーに求めたとのことだ。

 Piper JeffrayのアナリストGene Munster氏は、iPhone発売のタイミングは9月26日金曜日になると予測している。これは今までのパターンと同じであり、第4四半期の締め日となる9月30日までの5日間で1600万台を販売すると予測している。この数字は、iPhone 5s/5cの初速をさらに上回るスピードになるとの予測だ。

 2014年はiPhoneの発売が早まるのではないか、という情報も出ていた。発売が早まれば、第4四半期に計上されるiPhoneの販売台数も多くなるが、Munster氏は早まることはなく2013年と同様に9月最終週の発売になるとの予測をしている。

アップル、次世代「iPhone」の生産をサプライヤーに指示--WSJ報道(7/23)
「iPhone 6」、発売は9月下旬か--著名アナリストが考えるその理由とは(7/24)

モバイル決済サービス

 Appleのモバイル決済サービスの導入には少なからず期待が寄せられている。しかしながら、現金、クレジットカードという世界的に標準となった決済手段を大きく変革させているのは、日本の鉄道系電子マネーくらいかもしれない。

 Appleがこうした難しい市場にチャレンジしてくるかどうかはまだ不透明だが、決済にまつわる顧客の情報やそこに至る経緯などを取得する手段を店舗側に提供できれば、新たな局面を迎えるかもしれない。ちなみにセキュリティ対策は、iPhone 5sに組み込み始めたTouch IDが有力だ。iOS 8では、Touch IDによる印象をサードパーティーによる活用が可能となっており、用途の拡大が見込まれる。

アップル、モバイル決済サービスを準備中か(7/25)

Yosemiteパブリックベータに人が集まる

 Appleは2014年のWWDCに関連して、前例にないことをいくつか行った。例えばチケットを抽選性にしたり、ドキュメントやセッションのビデオを開発者登録していないユーザーにも開放したりした。また最新のOS X Yosemiteのパブリックベータを先着100万人に対して提供するのも、新しい取り組みだ。

 Yosemiteは、iOS 7のようなすっきりとしてカラフルなデザイン、ツールバーの改良、通知センターの新機能が追加された。またiOS 8と連携するiCloud DriveやHandoffと呼ばれる作業を引き継ぐことができる機能、iPhoneのSMSや通話をMacから行える機能が利用可能になる。

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