9月10日に新製品発表、「ドコモでiPhone」の現実味は?--松村太郎のApple一気読み

 8月26日~9月1日のAppleに関連するCNET Japan/ZDNet Japanのニュースをまとめた「今週のApple一気読み」。

 いよいよ、9月10日にAppleのメディアイベントが開催されることとなった。イベントでは、これまでの予測では、iPhoneの新機種が発表されると見られている。新機種は例年から考えると9月中に発売されるだろう。先週も、新型iPhoneに関する話題がたくさん流れてきた。

 早速ニュースを振り返っていこう。

新型iPhoneの姿とは?

 新型iPhoneに関して、発表の日が決まった。噂の真偽が明らかになるのもいよいよ次週ということになってきたが、その姿とはいったいどのようになるだろう。まずこれまで通りのハイエンドのiPhoneに加えて廉価版のiPhoneが登場するといわれている。

 iPhone 5では金属ボディが採用されており、色の変更や追加はありながらも、ハイエンドモデルはこれが踏襲されると見られている。プロセッサには現行のA6より31%高速な、ARMチップとしては異例の64ビット化されたA7チップを搭載するようだ。メモリの拡大や処理能力の大幅な向上といった恩恵がある。

 またカメラ機能も、より明るいレンズや、動画等の機能向上が見込まれる。センサに関しては、新たに指紋センサーの搭載との噂もあった。搭載される場所はホームボタンだという。その他、128Gバイトモデルの存在や、フラッシュが2つ搭載されるとの噂がある。

 一方、廉価版のモデルは、ちょうどiPhoneに対するiPod touchのような位置づけをイメージしてもらえればよいだろう。ハイエンドモデルとは同じ画面サイズ・解像度を保ちながら、プロセッサやカメラなどはローエンドのものを利用している。また外装もカラフルで親しみやすいものになっていた。iPhoneについても、金属からプラスティック素材に変更され、またSiriに非対応にするなどの差異がつけられる模様だ。

 また既に公開されている、iOS 7も同時にリリースされることになり、新端末を買わなくても、最新機能の一部や新しいデザインは既存のユーザーにも提供されることになる。

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「ドコモでiPhone」の現実味は?競争は端末にあらず?

 日本のユーザーにとって注目は、iPhoneを唯一扱っていない携帯電話会社であるNTTドコモがiPhoneを扱うかどうかだ。これまで報道でもつねに話題になっており、シーズンごとに注目が集まり、失望を誘ってきた。NTTドコモの首脳のコメントも、多くを語らず憶測を誘う物だったが、先週のサンケイビズでは、ドコモ副社長が次期iPhoneについて「体制は整った」とのコメントを出している。同時に、扱うことは難しいとも語り、依然として玉虫色といったところだ。

 いまドコモがiPhoneを発売したとき、誰が買うのか、という点も問題だ。

 早くiPhoneを利用したいというユーザーは既にソフトバンク、KDDIに乗り換えており、「ドコモのiPhone」がよほどネットワークや料金面でのメリットが強くない限りは、乗り換える理由がない。例えば2年前にiPhone 4Sを購入したユーザーは、2年契約が切れるタイミングで他のキャリアに移ることになるだろうが、ソフトバンクやKDDIもこれに対応する流出防止策を打ってくるはずで、手放しにドコモの勝利になるとは思えない。

 事実、ネットワーク面でドコモが優位かといわれると、100Mbps超のLTEにiPhoneが対応しないのであればむしろ不利だろう。他のキャリアへの流出を食い止めるドコモが現在進めているフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行にとっては非常に大きな材料になるはずだ。

 他方、Appleにとっては、中国、米国に次ぐ市場である日本の最大キャリアであるドコモでの発売は、販売台数の面で大きなメリットがあるはずだ。同時に廉価版iPhoneで中国の世界最大のキャリアChina Mobileが最大のターゲットになるだろう。

 ドコモが参入の有無に限らず、各携帯電話会社に導入を検討してもらいたいのは、米国で既に導入されている共有データプランだ。例えばVerizon Wirelessの場合、既にiPhoneでのデータ定額プランは契約できなくなっているが、音声・SMS主体からデータ主体の構造に移行する際に登場したのが「Share Everything」プランだ。

 2Gバイト、4Gバイト、6Gバイトなどのデータ量を決め、その分の料金を支払う。その上で、スマートフォンは1台40ドル、タブレットは1台10ドルで、そのデータ量を共有して使うことができる。この際、スマートフォンは通話・SMSは無制限になる。

 家族のスマートフォンを利用したり、1人でスマートフォンとタブレットを利用する際も、1つの契約とデータプランの中で利用できる。トータルで割安なプランを選ぶことができるようになる。この施策は、1人あるいは家族をデータプランで囲い込むことができ、MNPによるユーザーの流動性を下げることができるほか、複数のモバイルデバイスを使いこなすスタイルを提案する上でも有利だ。

 スマートフォンの端末の差異がなくなる場合、割引などではない料金施策のわかりやすさ、手に取りやすさ、納得感なども重要な競争要素になるはずだ。

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