[レビュー]高い信頼性を普通に使う地球に優しい電源ユニット--Antec EarthWattsシリーズ EA-650 - (page 3)

Antec
EA-650
内容:“自作ユーザーは、電源ユニットに何を求めるのか?”出力なのか、安定性なのか、それとも機能性なのか?そして今回、EarthWattsシリーズに650Wクラスの「EA-650」が追加された。環境に優しいと言われる「EA-650」を、ここでは詳しく見ていこう。

実際に使ってみよう、ついでに内部をこっそり覗いてみよう

 スペックを並べるだけというのも面白くないので、実際にEA-650を使ってみた。ベースには同社の人気本体ケースであるThree Hundredを使用、そこにAMDのQuad CPUであるPhenomを内蔵、光学ドライブとHDDが1台ずつの、シンプルだが充実したスペックの自作PCを組んだ。ちなみにビデオカードはGeForce 9600GTで、6ピンPCI-E電源コネクタを1つ接続するタイプだ。

  • EA-650と同じAntecの、人気本体ケース、Three Hundredを使って、組み込みテストをしてみた。

  • 内部にはこれらのパーツに加え、光学ドライブ1基と、500Gバイトのハードディスク、さらに4Gバイトのメモリを搭載した。まあ、ハイエンド系のエントリーマシンといったところか。

 Antecの誇るHundredシリーズの末弟、Three Hundredは電源ユニットを下部にレイアウトしたミドルタワーケースだ。同社の本体ケースとしては比較的コンパクトなのだが、EA-650との相性は良く、何の問題も無く取り付けが終わる。マザーボードやビデオカードを内蔵後、配線を行ったが、ケーブルの長さや取り回しなどはスムーズに行うことができた。

 さっそく電源を入れて、Windows Vistaをインストールした。EA-650はスペックシートで騒音値を公開していないのだが、動作音は極めて静かである。というかビデオカードや本体ケース、CPUクーラーの電動ファンノイズに紛れてしまい、EA-650単体でのノイズは確認できないレベルなのである。

  • 試しに変則的ではあるが、空調用の電動ファンが、上を向くレイアウトで搭載してみた。固定用のネジ穴の位置などには、まったく問題がない。

  • これが通常のレイアウト。Three Hundredは電源ユニットと底面の間にスペースがあって、このレイアウトでも空調には影響が出ないようになっている。

  • 実際に組み上がった状態。少しケーブルを整理すると、これだけ内部がスッキリする。また、Three Hundredは3.5インチシャドウベイの奥にスペースがあって、そこにケーブルを通せるようになっている。これは活用したい機能だ。

 動作は極めて安定しており、それは簡易ワットチェッカーで目視確認した。CPUやビデオカードに負荷をかけると、それなりに消費電力は大きくなるが、しっかりと安定している。また、この手のテストを筆者はさまざまな製品で行ってきたが、650Wクラスとしては全般的に消費電力が小さいと感じた。

  • 本体起動時は、消費電力が120W前後から始まり、160W前後がピークとなる。EA-650の場合、他社の製品と比べて数値の変化が穏やかな印象を受けた。

  • 起動終了後、ハードディスクアクセスなどが落ちつくと、だいたい130W前後で安定している。

  • スリープ状態では、復帰するまで80W前後まで消費電力は落ちる(組んだPCのスペック、環境などによっても変化する)。

  • CPUとビデオカード(3Dグラフィックス)に、かなり負荷のかかるベンチマークプログラムを走らせても、200W前後までしか消費電力は上昇しなかった。今回のテストでは、250Wを超えるシーンを見ることが無かった。

 EA-650が快適に使える電源ユニットだと分かったら、最後はこっそり、その中身を覗いてみよう。もちろん本来であれば、電源ユニットのケースは開封厳禁である。危険がある上に、開封してしまうと保証対象外となる場合がほとんどだからだ。レポートということで開封したが、原則禁止のことだとご承知いただきたい。

 さて、せっかく開けるのだから比較対象が欲しいと思い、同社の従来モデル、Antec Basiq BP550 PLUSを用意してみた(※)。構成はEA-650と似通っているが、こちらはケーブルがモジュラー式となっているほか、出力は550Wとなっている。では、EA-650の中身はというと……。※:Basiq BP650 PLUSは九十九電機の限定販売です。製品の詳しい情報はこちらをご覧下さい。

 まず分かったのはEA-650の基板が、Antec独自設計のものだということ。生産がどこで行われたにしろ、基板はAntecのオリジナル、もしくはオーダー品である。まあ、このあたりは大手メーカーなら当然と言えるのだが。一方、目立っているのはこのクラスとしては大きめのヒートシンクである。このあたりもグレードの高さを感じさせる。

 ちなみにEA-650を含むEarthWattsシリーズは、工業用グレードの保護回路を搭載しているという。各種安全性認証を取得していることはもちろん、OPP(過負荷保護)、OVP(過電圧保護)、SCP(短絡保護)、UVP(電圧不足保護)といった保護機能で、安全性を確保しているのだという。また、EA-650はActivePFCも搭載している。

 高品質をリーズナブルに導入でき、しかも安定性が高く、使っていても安心。だが、言葉を選ばずに言うと、EA-650は「普通」の電源ユニットである。いや、「普通」だからこそ、迷わず選ぶことができて、汎用性も高いと言えるのだが。

 あれこれ迷ったらEA-650、あるいはEarthWattsシリーズを選んでおけばいい。別の言い方をするなら、取り立てて特殊なニーズが無いなら、EA-650を選んでおけば間違いないということだ。実際に買って使ってみてから、環境に優しいとか、安定しているとか、そういったことを実感するのもまた、電源ユニット選びの醍醐味だと思う。

  • 原則禁止ではあるが、レポートということでケースを開けてみた。個人的な印象としては、高級感のある内部だ。

  • 電動ファンは大手メーカーとして知られるADDAのものが、「このモデル」には採用されていた(製品によって変わる可能性あり)。

  • 大きめなヒートシンクが目をひく内部。白いボンドのようなものは、パーツを固定するもので、細かく作業されていることが分かる。

  • 同社のBasiq BP550 PLUSと、内部を比較してみた。550Wクラスとの比較なので、一概には言えないが、EA-650の方がより進化し、高品質になっているように感じる。

  • 基板にはしっかり「Antec」のロゴと、EA-650の型番が入っている。OEMにしても、オリジナルパーツということだ。

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