さてこのHP35S、製造はやはり中国である。このタイプの電卓を作れるラインがHP自体に残っていたとは考えいにくいので、おそらくはどこかで製造させているのだろうが、かなりよくできている。キーのタッチは少々軽くなってはいるが、HPらしさが十分出ている。ただし、細かい点を見るとこれは昔の設計とはまったく異なることがわかる。以前のHP電卓ではキーの動く支点が手前側にあり、キーの奥側が沈み込む動作をしたため、キーが横にブレることはなかったのだが35Sのキーは、ゆすってみると横にも動く。ちゃんとした支点がない感じなのだが、それにしてはよくできており、ちょっと使ってみただけでは区別はつかないかもしれない。
筆者がなぜキーボードにここまでうるさいのか?と疑問を持たれる方には、かのHP-200LXは、実はこのHP電卓の流れをくむ製品であるといえば、ご納得いただけるであろう。
筐体に関しても古いデザインを残しつつ薄型にするなどの工夫がみられ、これならば旧来のHP電卓ユーザーでも十分満足できるであろう。
あるニュースかレビューでこのHP35Sを評して「昔のインターフェースに戻した」と書かれていたのだが、それは大間違いである。RPN電卓であるHP電卓では、このインターフェースが自然で一番使いやすいのである。
ともかくもHPがこのタイプの電卓に帰ってきたことの意義は大きいと思う。技術者ならHP電卓くらい持ってろ!と言われた時代がまだ来ることを願いつつ『おかえりなさい』と言っておこう。
・HP35S(英語)
http://www.calculators-hp.com/35s.htmlなお現在のところ日本HPからはこの件に関するアナウンスはない。日本HPは日本国内における電卓事業からはすでに撤退している。日本国内ではジュライで購入可能(ただし現時点では品切れ中)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」