デジタルカメラでの撮影が本格化して、レタッチの技術も上がる中で、プロのカメラマンは「バッチツール」などを使ってシワやシミをきれいレタッチして、なおかつタレントさんやモデルさんの肌の質感はぎりぎりまで残すということをやりだした。その結果、タブレットがないとできないぐらいまでの細かいレタッチが必要になってきた。今では、撮影現場にノートを持ち込んでいても、マウスやタッチパッドでは、満足いくレタッチは全然できなくて、やるならタブレットが必要になっている。
レタッチには、丁寧か丁寧じゃないか、というのがわかりやすく出てしまうもの。マウスでレタッチした場合でも、本当に細かくて丁寧にできる人が、時間をかけてやれば満足いくものができるかもしれないけど、僕たちの場合は時間との戦いという面もある。タブレットを使って効率よくスピーディに処理しないといけない。
撮影したあと、時間があるときにゆっくりレタッチしよう、というのはまずムリで、撮ったらその日に渡したい。でもそこでクオリティは落とすわけにはいかない……。そういう時間との戦いの中でタブレットを使っていると、クオリティを落とさずにスピードも得られるという利点がかなりある。僕の場合は、実際タブレットがないとクオリティをキープすることが難しいぐらいだ。
趣味で写真撮影をしている人にとっても、やっぱりレタッチに延々と時間がかかると、うんざりしてくると思う。タブレットが便利と感じるかどうかは、撮ってる被写体にもよるとは思う。また、レタッチソフトを利用するのはRAWからの現像だけで、ほとんどレタッチせずにプリントするというなら必要ないかもしれない。でも、細かい部分をさわっている人には、使い始めると逆に、これがないと作業できないぐらいに感じると思う。また、レタッチ作業は面倒だと思っている人たちもスムーズに始められるツールではないかと思う。
タブレットだと、ペンを持ったままちょっとディスプレイから離れてレタッチの方向性を考えたり、ペンを持ったまま伸びをしたりといった自然な動作ができるのも気に入っている部分。僕の場合は、マウスで作業すると変なところに力が入ってたみたいだ。タブレットだと自然な姿勢でレタッチできるから、実際、マウスから切り替えてから肩こりが減ったぐらい。タブレットでの、ラクで効率のいいレタッチを知ってもらい、より写真を楽しむことに時間を使ってほしい。
愛知県出身。名古屋学院大学商学部卒。高校在学中よりインディーズ・ロック・バンドで活動。1991年に渡米先のロサンゼルスでアンセル・アダムスに憧れ、風景写真を撮り始める。1994年よりフリーとして活動、1998年より東京に拠点を移した。ファッション誌や音楽誌、雑誌などで多くのポートレートを撮影している。レタッチ術にも造詣が深く、著書に「おしゃれなポートレイトの撮り方」「おしゃれなポートレイトの撮り方〈2〉」(マーブルトロン)がある。
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