導入手順は至ってシンプルだ。まずSlingboxをLANケーブルで家庭内ネットワークにつなぎ、次にアンテナ線をつなぐ。そのあとパソコン側に視聴用ソフト「SlingPlayer」をインストールし、起動すれば、それだけでテレビを観られてしまう。
初回起動時こそ、チューナーのセットアップや画質の調整を行う必要があるが、すべてウィザード形式で行われるので、まったく難しくない。TVチューナー製品を経験したことのないパソコン初心者でもかんたんに行えるレベルだ。また、UPnP対応のルータであれば、自宅外からの視聴設定も簡単にできてしまうのはありがたい。
むしろ骨が折れるのは、ケーブルの物理的な接続かもしれない。アンテナケーブルを接続するだけなら問題ないのだが、テレビをつないで直接出力しようとしたり、ビデオやDVDといった機器を接続しようとすると、AV機器並みの本数のケーブルをつなげなくてはならず、手間がかかる。もっとも、単純にテレビを視聴するだけならアンテナケーブル1本で済むので、まずはテレビを見れるようにしておき、その後必要に応じて追加すればよいだろう。
視聴に使用するソフト「SlingPlayer」は、いわゆるメディアプレーヤー的なインターフェースを持っており、直感的な操作が可能だ。チャンネル変更のレスポンスも高速で、PCIボードに接続するタイプのTVチューナーカードとほとんど差がない。ザッピングも快適に行えるので、本格的に本製品でテレビを観ようとした場合でも、不満を抱くことはないだろう。
また、SlingPlayer画面の下段には、プリセットしたチャンネルをボタンとして配置できるので、テンキーでチャンネルを入力しなくても、クリック一発でチャンネルが切り替えられるなど、ユーザーインターフェースも抜かりはない。全般的にかなり洗練されている印象を受ける。
なお、本製品に同時に接続できるパソコンは1台のみである。別のパソコンが視聴中に接続しようとするとアラートが表示される。この際、admin権限を持っていれば、それ以外のパソコンの視聴を強制的に停止させることができる。
外出先からの接続は、ダイナミックDNSサービスなどを指定する方式ではなく、添付ソフトウェア「Slingbox Finder」のウィザードで発行されるFinder IDを入力する方式になっている。言ってみれば同社オリジナルのダイナミックDNSといった体裁で、WAN側のIPアドレスが固定でない場合でも、自宅外から容易にSlingboxに接続できるのが特徴だ。
画面の解像度は、LANでは640×480、ルータを越えたWAN経由の視聴では320×240となる。640×480の映像を送信するにはかなりの帯域を必要とするため、WAN経由で320×240に落とされてしまうのは、仕方がないだろう。画質については、ネットワーク環境に左右されるとはいえ、WAN経由でも静止することなく、きちんと動画として観ることができるのは秀逸だ。
パフォーマンスに関して、ネットワーク環境と同じく大きく影響するのが、CPUパワーだ。同じLAN内で視聴した場合、ペンティアム4 2.4GHzのデスクトップPCではほとんどコマ落ちは起きなかったのに対し、Efficionを採用したモバイルノートパソコンでは、CPUの使用率がほぼ100%のままとなってしまい、操作を受け付けなくなってしまった。TVチューナーユニットを内蔵しないパソコンでの利用が主であることを考えると、やや不安が残る結果である。
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