「デジカメを分解して考えた」--フレーム回転カメラ「EXILIM」が生まれた背景とは

坂本純子(編集部)2011年02月04日 21時43分

 カシオ計算機は2月4日、デジタルカメラ「EXILIM(エクシリム)」の新製品3機種を発表した。中でも注目されるのは、1月に開催された「2011 International CES」で披露された液晶とフレームが回転するフリースタイルカメラ「EX-TR100」だ。4月の発売を予定しており、市場想定価格は3万5000円程度になる見込み。

  • EX-TR100は、カメラを分解し再構築することで生まれた

 この製品が生まれた原点は、デジタルカメラは動画も撮影できるにもかかわらず、静止画しか撮っていないという疑問にあったという。デザインを担当した長山洋介氏は、「デザインや形が静止画しか撮れないように(心理的に)させているのではないか」として、さまざまなデザインを模索した経緯を語った。

 市場に並ぶデジタルカメラは、色や形に違いはあるが、一般的に表にレンズ、裏は液晶画面と操作キーという構成になっている。「さまざまなスタイリングを検討したが、一長一短。一度デジカメを分解してみようと考えた」と明かした。

 結果、レンズは必須。それにビューア(モニタ)があれば一応機能は成立する。ただこれでは使いにくいため、フレームを加えたらどうなるか──。そこから生まれたのが、六角形をモチーフにした今回のスタイルだ。デジタルカメラを分解し、再構築することで新しいスタイルに結びついたという。「静止画と動画の垣根をなくしたフリースタイルモデル。ハイアングルからローアングルまで思いのまま撮影できる」とアピールした。

  • EX-TR100

  • レンズ部を中心にフレームは360度回転し、モニタも270度回転する

  • カラーはホワイトとブラックの2色

  • 使い方は自由自在。壁にかけて友達同士での撮影も可能だ

 デジタルカメラ市場は低価格化が進んでいる。名のあるメーカーのカメラでも1万円を切る価格で買える時代だ。その中で、カシオは絵画風の写真が撮影できる「HDRアート機能」や今回のEX-TR100のような新たなデザインで差別化を図る。

 カシオ計算機 執行役員 QV事業部長である中山仁氏は「コンパクトカメラはまだいろいろな可能性があると思っている。差別化されたモデルを中心にすれば、高単価でも売れる。コンパクトカメラでも単価を上げられると自信をもっている。差別化されたもので、飽和した市場を広げていきたい」と語った。

  • 発表会には石井竜也氏が登場し、自身の作品を披露した

 カシオは、オンライン上で画像変換が行えるサービス「IMAGING SQUARE」をオープンした。カシオのカメラだけでなく、携帯電話などさまざまな機器で撮影した画像を変換できるのが特長だ。1Gバイトまで無料で「マイアトリエ」と呼ばれるスペースを利用できる。カメラとウェブをリンクさせることで、同社が推進する“デジタルフォトアート”の世界を広げていきたい考えだ。

 スペシャルサイト「IMAGING SQUARE MUSEUM」では、石井竜也氏がプロデュースする「石井竜也 Art Garage」を開設。石井氏による作品を閲覧できる。

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