世界を牽引するエントリーモデル--キヤノンEOS KissデジタルX - (page 2)

キヤノン
内容: 2006年はさまざまなデジタル一眼レフカメラが登場した一年となった。そのなかでもエントリークラスのカメラが続々と発売されたおかげで、多くのユーザーがデジタル一眼を手にするようになった。そのエントリークラスの先駆けとなったのが、キヤノンEOS Kissデジタルである。その「Kissデジ」が遂に三世代目へと進化した。「キヤノンEOS KissデジタルX」である。

「小さな大敵 ゴミ問題」

  • 「セルフクリーニングセンサーユニット」は電源ON/OFF時に自動的に作動する。(任意での作動も可)作動時にはモニター表示が為されるが、一瞬のことなので意識する事はほとんどない。

 「KissデジX」には他のEOSデジタルに先んじて、初めて搭載された機能がある。「EOSインテグレーテッドクリーニングシステム」だ。これはデジタル一眼にとって大きな課題となっているゴミ問題の解消に対応したものだ。デジタル一眼の内部に侵入したゴミは、撮像素子に付着して画像上に影となって写り込んでしまう。これを解消するには撮像素子表面にあるローパスフィルターを直接クリーニングするしかない。「KissデジX」ではこれを予防する為にカメラ内部から発生するゴミを極力抑えた上で、ローパスフィルターに帯電防止処理を施すことで、ゴミを付きにくくしている。

 またローパスフィルターを超音波振動することで、付着してしまったゴミをふるい落とす「セルフクリーニングセンサーユニット」を採用。電源のON/OFF時に作動(メニューから任意に作動も可)させることでゴミの影を極力写し込まないようにしている。このような機構はオリンパス等いくつかのデジタル一眼で採用されていた機構だが、キヤノン製デジタル一眼としては初めての搭載となる。このゴミ対策はデジタル一眼を使用する上ではとても重要な機構と言えるだろう。今後発売されるEOSデジタルシリーズにも搭載されることを願いたい。

 尚、「EOSインテグレーテッドクリーニングシステム」では、クリーニングした上でもゴミが残ってしまった場合、ゴミの影が映り込んだ画像をPC上のソフトで目立たなくする「ダストデリート機能」も用意されている。事前にローパスフィルターに付着したゴミの位置情報を取得しておき、撮影された画像と比較処理することで、画像のゴミの影を目立たなくする機能だ。ただしこの機能は補助的なものであり、ゴミの種類によってはあまり効果が出ない場合もある。あくまでも撮影前のクリーニングが大事ということだ。

 

「高いポテンシャルに期待するもの」

 Kissデジ第三世代となる「KissデジX」は新しくなった点だけでなく、従来からのKissデジが持つポテンシャルも確実に受け継いでいる。定評のあるAFの速さ、電源ON時の素早い起動、高感度撮影においてのノイズは非常に少ない。操作性も従来機のものを踏襲しており、そのまま「KissデジX」に機種変換しても戸惑うことなく、すぐに操作できるであろう。またEOSシステムが誇る、多種多様で高性能なEFおよびEF-Sレンズ群を使用することができるということも大きなメリットだ。上位機種とともに使用するサブ機としても「KissデジX」は最適な選択となる。

 ただあまりに完成度の高いエントリー機であるだけに、若干おもしろ味に欠けてしまう感想もある。前機「KissデジN」の時点ですでに完成度が高かったのがそう思わせてしまう要因かもしれないが、実質的にデジタル一眼の牽引役を担うキヤノンだけに、もう一歩先んじた進化を期待してしまうところだ。たとえば最近の一眼デジカメには標準のように搭載されている「ボディ内手ブレ補正機構」を、このKissデジにも搭載してもおもしろいのではないだろうか。この機構はカメラ初級者が使うエントリー機にこそ必要だとも思われるからだ。もっともキヤノンはとても優秀な手ブレ補正レンズ(IS)を多数発売している。デジタル専用レンズであるEF-SレンズにもISレンズは用意されている程だ。

 しかし非ISレンズに比べるととたんに高価になってしまうし、レンズの大きさ重量共に1ランク上の物となってしまう。せっかくの小型軽量Kissデジが大きく重くなってしまうというのはちょっと頂けない。こういった点からもボディ内手ブレ補正のメリットは大きいのではないだろうか。ぜひとも検討して頂きたいところである。

     

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